
2024.02.09
水害で車が水没したら自動車保険は使える?等級の変化や対処法を解説

2024.02.09
水害で車が水没したら自動車保険は使える?等級の変化や対処法を解説
近年は、台風による大雨や集中豪雨、局地的な大雨による水害が増加しており、車が水没するケースも増えています。水没による損害を避けるには、どうやって対策すればいいのでしょうか。
ここでは、車の水没の定義と被害を受けた場合の車両保険の補償範囲のほか、自動車保険の等級に及ぼす影響、水没してしまった場合の対処法などについて解説します。
目次
車が水没する場面とは?

車の水没には、大きく分けて3つの場面があります。
<車の主な水没場面>
- ・駐車場などでの水没
- ・アンダーパスでの水没
- ・津波による水没
大雨によって河川や下水道などから水があふれ、駐車場に水が流れ込んだことで水没してしまったという場面が挙げられます。また、道路を走行中に、線路や道路の下を通るため低くなっている道路区間(アンダーパス)に進入してしまい、水没する場面も多いです。
さらに、地震などによって引き起こされた津波により、車が水没するケースも考えられます。
水没による被害の範囲

水没車(冠水車)とは、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の中古自動車査定基準によれば、「室内フロアよりも上まで浸水した車」を指します。また、水没の痕跡により、中古車市場で商品価値の下落が見込まれる車も水没車に含まれます。
タイヤの半分より下が水に浸かった程度であれば、車の機能には基本的に問題はなく、水没扱いにはなりません。
ただし、同じ水没車でも、水没の度合いによっては修理可能な場合と修理ができない「全損」となる場合があります。以下のようなケースには注意が必要です。
異臭
水没車の車内に川の水や汚水、汚泥などが入り込むことで、雑菌やカビが繁殖しやすくなり、ドブのような異臭が出ることがあります。
錆・腐食
海水が車内に入り込んだ場合、塩分を含んだ水により、各部品に錆が発生することがあります。特にアクセル・ブレーキなどのペダル周りやシートレールなどは、浸水により錆が生じやすくなるので注意が必要です。
電気系統のトラブル
現代の車は、さまざまな制御を電気とコンピューターで行っています。したがって、電気系統が水没の影響を受けていると、動かした時にショートし、故障や火災が発生するおそれがあるのです。
エンジンのトラブル
車のエンジン内部に水が入った場合、エンジンをかけた時に爆発が起こる「ウォーターハンマー」という現象が起こり、車両火災につながるおそれがあるので注意してください。
車が水没したら自動車保険は使える?
台風による大雨や集中豪雨などによって車が水没した損害に対しては、自動車保険の「車両保険」を使うことができます。
車両保険とは、車の修理代などを補償する保険です。台風や竜巻・洪水・高潮などによる水没で、車が受けた損害については、車両保険に加入していれば、基本的に補償を受けることができます。ただし、水没以外の事故と同様、状況などに応じて個別に判断される場合があるので、加入の際に確認するようにしてください。
なお、車両保険には、「一般型」と、保険料が安くなる代わりに補償範囲が限定的な「エコノミー型」の2種類がありますが、いずれも水没被害は補償が受けられます。
ちなみに、津波による車の水没は、車両保険では補償対象にならないので注意が必要です。なお、三井住友海上では、地震・噴火・津波でお車が全損となったときに補償する、地震・噴火・津波「車両全損時定額払」特約をご用意しています。
全損の場合、免責金額は差し引かれずに支払われる
車両保険は、損害の額(修理費等)から免責金額(自己負担分)を差し引いた金額が支払われるのが基本です。しかし、エンジンまで水没するなどで修理不能と判断されたときや、修理費等が保険金額を超えた場合は「全損」となります。全損の場合は差し引かれずに保険金が支払われます。
車両保険の免責について詳しくは以下のページをご覧ください。
車両保険の免責金額はいくらにする?自己負担額がないケースも解説
車が水没して車両保険を使った場合、等級はどうなる?
車が水没して車両保険を使った場合、気になるのは自動車保険の等級と翌年度以降の保険料への影響です。車両保険を利用すると翌年度の自動車保険の等級は1等級ダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されるので、翌年度以降に支払う保険料は上がります。
自動車保険の保険料は、1~20等級に区分された「ノンフリート等級」と、「無事故」あるいは「事故有」かの「事故有係数」の適用によって、割増引率が変動します。ノンフリート等級は数字が20に近いほど保険料の割引率は大きくなることで保険料が安くなり、1に近いほど保険料が高くなる仕組みです。
また、事故有のほうが割引率は小さくなるため、保険料が高くなります。
■等級による保険料割増引率の違い(継続契約の場合)
無事故 | 事故有 | |
---|---|---|
1等級 | +108% | |
2等級 | +63% | |
3等級 | +38% | |
4等級 | +7% | |
5等級 | -2% | |
6等級(6F) | -13% | |
7等級(7F) | -27% | -14% |
8等級 | -38% | -15% |
9等級 | -44% | -18% |
10等級 | -46% | -19% |
11等級 | -48% | -20% |
12等級 | -50% | -22% |
13等級 | -51% | -24% |
14等級 | -52% | -25% |
15等級 | -53% | -28% |
16等級 | -54% | -32% |
17等級 | -55% | -44% |
18等級 | -56% | -46% |
19等級 | -57% | -50% |
20等級 | -63% | -51% |
- ※Fは継続契約の場合です。新規(S)の割引率は異なりますので、ご注意ください。
- ※1~4等級では保険料は割増、5~20等級では保険料は割引になります。
- ※2023年1月1日以降の始期契約に適用される割増引率です。
水没による損害は、1等級ダウン事故として扱われます。例えば、現在の等級が20等級で、事故有係数が「無事故」だった場合、車両保険を使うと、保険料の割引率は以下のとおりです。
■水没による損害(1等級ダウン事故)にあったときの等級の変化

- ※翌年中に保険を使わなかった場合です。
ノンフリート等級は、保険を使わずに1年が過ぎると翌年度に1等級アップし、事故などによって保険を使うと、翌年度に事故の内容に応じて3等級または1等級ダウンする仕組みとなっています。
保険を使ったことがない状態では「無事故」の割引率が適用されますが、1等級ダウン事故によって保険を使った場合は、1年のあいだ「事故有」係数が適用されます。その後、保険を使わず1年が経過すると、翌年度には「事故有」の年数が0年となり「無事故」の割引率が適用となるほか、等級は1等級アップします。
台風などの被害による車両保険の利用について詳しくは以下のページをご覧ください。
台風被害で車両保険は使える?等級の扱いや補償内容をチェック
車の水没対策

車両保険が適用されるとはいえ、やはり車を水没させないようにするのが一番です。ここでは、車の水没を防ぐための対策をご紹介します。
低い土地やアンダーパスを通らない
局地的に短時間激しく降る大雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」のときには、冠水しやすい谷間やくぼ地、低地のほか、道路や線路の交差により、周囲より低くなっている道路区間(アンダーパス)は避けたほうがいいです。ゲリラ豪雨は予測が難しいため、雨が降ってきたときには立ち入らないようにしましょう。
車の保管場所に気をつける
台風などによる大雨が予想される場合は、あらかじめ、車を高台に避難させておくことも有効です。
自治体によっては一時的な車両避難場所を設けるなどの対策に取り組んでいる場合があるので、お住まいの自治体の情報をチェックしてみてください。
車が水没したときの対処法
突然のゲリラ豪雨で、車が水没してしまうことも考えられます。ここでは、車が水没しそうになった、または水没してしまった場合の対処法をご紹介します。
走行中の場合
豪雨の最中にアンダーパスに進入してしまい、車が水没しそうになった場合は、自身の安全を確保することを最優先にしてください。
車内まで浸水してしまった場合には、慌てずにまずは車を停めてエンジンも停止し、ドアが開くようならドアを開けて避難します。
水深がドアの高さの半分を超えると、車のドアは内側から開けることが難しくなります。その際は、電気系統がまだ無事なら窓を開けて脱出し、窓が開かないなら脱出用のハンマーなどを使って窓ガラスを割り、外へ脱出するようにしてください。
車外へ出られても、車の周囲に溜まった水が深い場合もあるので、水深を測りながらゆっくりと移動します。マンホールの蓋が外れていてもわからないおそれもあるので、傘などの長い棒で、足元を探りながら歩きましょう。
駐車中・危機回避後に車が水没した場合
駐車中に車が水没してしまった場合や、脱出後に車の完全な水没が確認できた場合は、水が引くまで放置し、水が引いた後にロードサービスに連絡します。
水没車は、外見上は問題ないように見えますが、電気系統のダメージにより感電などのおそれがあります。そのまま走らせるのは大変危険なので、カーディーラーや自動車修理工場に車を運び、チェックしてもらうのがいいでしょう。
水没に備えて車両保険に加入しておこう
近年、ゲリラ豪雨の発生回数は増加傾向にあり、いつどこで予想外の大雨にあうかわからない状況になっています。
自動車保険の車両保険は、大雨や河川の氾濫による車の水没のほか、高潮といった自然災害による損害、事故や盗難などによる損害にも備えられるので、万が一のために加入しておくことをおすすめします。
三井住友海上の車両保険は、「一般補償」と「10補償限定」特約の2種類から選択可能です。いずれも水没による損害は補償されますし、盗難や当て逃げ、台風・竜巻・ひょうなどによる損害にも備えることができます。
安心・安全なカーライフのために、ぜひ三井住友海上の自動車保険をご利用ください。
- ※この記事の内容は、2023年12月時点の内容です。今後の商品改定等によって補償内容等が変更になる可能性があります。
- ※この記事の内容は、2023年12月時点の法令等にもとづいて作成しています。