2022.06.29
自動車保険の等級とは?保険料割増引率の決まり方や引き継ぎ方を解説
2023.07.24
自動車保険の等級とは?保険料割増引率の決まり方や引き継ぎ方を解説
自動車保険の「等級」は、保険料の支払い金額を左右するものであり、保険契約者の事故歴に応じて設定されるものです。
保険は加入者が少しずつ保険料を出し合って万が一のリスクに備えるものですが、保険を過去に利用して補償を受けた人とそうでない人で保険料の負担が不平等にならないように、こうした等級制度が設けられました。保険料の決まり方には独自のルールがあり、個人向け自動車保険の場合は、「等級(ノンフリート等級)」によって保険料が決まります。等級ごとに保険料の割引または割増を行っているため、同じ補償内容でも、保険料負担は異なるのです。
ここでは、等級制度の概要と自動車保険料の決まり方、等級の引き継ぎ方などについて解説します。
自動車保険の等級制度は事故歴に応じて保険料が変わる
自動車保険の「等級制度」は、契約者の事故歴に応じて、保険料が割引になったり、割増になったりする制度です。
そもそも保険とは、保険加入者が保険料を出し合い、事故などで補償が必要になった方を支える仕組みです。不平等にならないよう、補償を受けた方は保険料が割高になり、補償を受けていない方は保険料が割安になるよう調整しているのが自動車保険の等級制度なのです。
なお、現在のご自身の等級は、「自動車保険証券(任意保険証書)」、あるいは加入保険会社の契約者専用ページで調べることができます。
■自動車保険証券の「等級」記載位置
等級はどうやって決まる?
自動車保険には「フリート契約」と「ノンフリート契約」の2種類があります。
両者の違いは、保険契約者が所有・使用する車の総契約台数です。契約する車が10台以上の場合はフリート契約、9台以下だとノンフリート契約になります。個人が加入する自動車保険は、基本的にノンフリート契約です。
ノンフリート契約の等級は1~20までの20段階
ノンフリート契約では、1~20まで20段階の等級(ノンフリート等級)があり、車1台単位の契約ごとに等級が設定されます。等級の数字が大きいほど保険料の割引率は高くなり、数字が小さいほど割引率は低くなります。1~4等級になると、保険料が割り増しになるので注意してください。
はじめて自動車保険を契約した時は、年令等にかかわらず新規6等級(6S)からのスタートです。
■ノンフリート等級の割増引率のイメージ
ノンフリート契約の等級は、1年間無事故だと翌年に1つ上がり、保険金支払対象事故があったら下がります。上がる時は常に1等級ずつですが、下がる時は事故の内容によって異なります。ただし、ノーカウント事故は、無事故の場合と同様に取り扱います。
事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類に分けられており、以下のような例が該当します。
<3等級ダウン事故の例>
- ・相手を死傷させ、対人賠償保険金が支払われる事故
- ・相手の物(車、店舗、ブロック塀など)を壊してしまい、対物賠償保険金が支払われる事故
- ・自分の車を壊してしまい、車両保険金が支払われる事故
<1等級ダウン事故の例>
- ・火災や盗難の被害に遭い、車両保険金のみ支払いを受けた場合
- ・飛び石等でフロントガラスが傷つき、車両保険を使って交換した場合
<ノーカウント事故の例>
- ・人身傷害保険金(ドライバーや同乗者がケガをした際に支払われる)のみが支払われた事故
- ・車が故障し、ロードサービスを使って修理工場まで運搬する費用に保険を使った場合
- ・車両保険無過失事故特約が適用されるもらい事故により車両保険金が支払われる場合
自動車保険料の割増引率はどうやって決まる?
自動車保険料の割増引率は、同じ等級でも、前年以前の事故の有無によって変わります。前年以前に「事故有」の場合、同じ等級でも「無事故」に比べて、割引率が低くなるケースが多いのです。
「事故有」で適用される割増引率を「事故有係数」といい、「無事故」の場合に適用される割増引率は「無事故係数」といわれます。
事故有係数は、一度事故を起こすとずっと適用されるわけではなく、事故ごとに適用される年数が決まっています。この事故有係数が適用される年数が「事故有係数適用期間」です。
事故有係数適用期間は、保険契約時に無事故の場合は「0年」です。1等級ダウン事故を1回起こすと事故有係数適用期間1年が加算されます。その後、事故を起こさず事故有の割増引率が1年間適用されると事故有係数適用期間1年から1年分が差し引かれ、「0」に戻る仕組みです。
■1等級ダウン事故を起こした時の例
事故有係数適用期間について、詳しくは以下のページをご覧ください。
事故有係数適用期間とは?事故時の等級の扱いと併せて解説
「事故有係数」によって、同等級でも自動車保険料の割増引率が変わる
ノンフリート等級制度においては、同じ等級であっても「数年以内に事故があったかどうか」で割増引率が変わります。無事故の場合は、事故有と比べて割引が大きくなるのが特徴です。
例えば、7等級で無事故の場合は割引27%ですが、7等級で事故有では割引14%となります。
<等級および事故無/有による、自動車保険料の割増引率>
事故なし | 事故あり | |
---|---|---|
1等級 | +108% | |
2等級 | +63% | |
3等級 | +38% | |
4等級 | +7% | |
5等級 | -2% | |
6等級(F) | -13% | |
7等級(F) | -27% | -14% |
8等級 | -38% | -15% |
9等級 | -44% | -18% |
10等級 | -46% | -19% |
11等級 | -48% | -20% |
12等級 | -50% | -22% |
13等級 | -51% | -24% |
14等級 | -52% | -25% |
15等級 | -53% | -28% |
16等級 | -54% | -32% |
17等級 | -55% | -44% |
18等級 | -56% | -46% |
19等級 | -57% | -50% |
20等級 | -63% | -51% |
※Fは継続契約の場合です。新規(S)の割引率は異なりますので、ご注意ください。
※2023年1月1日以降の始期契約に適用
保険料の割増引率は、等級と事故有係数適用期間によって決まるので、20等級で無事故を続けている人を除いては、毎年変わります。例えば、20等級・無事故の人が3等級ダウン事故を起こした場合、翌年以降の等級と保険料の割引率は以下のようになります。
■3等級ダウン事故を起こした時の例
等級は引き継げる?
ノンフリート契約の等級は、他社の自動車保険から乗り換えても原則として引き継ぎ可能です。ここでは、等級が引き継げるケースと引き継げないケースについて解説します。
等級を引き継げるケース
等級の引き継ぎが可能なのは、次のようなケースです。
・保険会社を変えたケース
ノンフリート等級制度は、各保険会社共通の制度です。加入保険会社を乗り換えても、原則として等級はそのまま引き継がれます。保険期間中に事故があった場合は、等級ダウンや事故有係数適用期間も加算されます。
なお、等級を引き継ぐには、前の自動車保険の契約満期日または解約日の翌日から7日以内に、新しい自動車保険の開始日が始まる必要があります。
■自動車保険の等級の引き継ぎが可能な期間
・車を買い換えたケース
車を買い換えた時は「車両入替」という手続きを行うことで、自動車保険の対象となる車が変更できます。この場合も、従来の等級はそのまま維持されます。
・家族間で引き継ぐケース
家族への等級の引き継ぎは、ご契約のお車を主に運転する人として登録している「記名被保険者」を、引き継ぎたい家族の名前に変更することで可能です。なお、引き継ぎが可能な「家族」の範囲は、記名被保険者の配偶者、記名被保険者の同居の親族、記名被保険者の配偶者の同居の親族に限られます。
記名被保険者について詳しくは以下のページをご覧ください。
記名被保険者とは?契約者との違いや変更時の扱い、等級引き継ぎ
等級の引き継ぎができないケース
一方で、自動車保険の等級の引き継ぎができないケースも存在します。以下のようなケースでは、等級の引き継ぎができないのでご注意ください。
・2台目の車を購入し、新たに保険に加入するケース
現在保険に加入している車とは別に2台目の車を購入し、新たに保険に加入する場合は、現在の保険契約の等級を新契約に引き継ぐことはできません。(1~5等級や事故有係数が適用される契約で、一定の条件を満たす場合は等級や事故有係数適用期間を継承します。)
ただし、保険会社によっては、2台以上まとめて契約した場合は保険料が割り引かれるほか、セカンドカー割引といった選択肢もあります。
<セカンドカー割引なら7等級からスタート>
セカンドカー割引とは、2台目を新規6等級からではなく、新規7等級からスタートできる制度です。上の等級からスタートするので、その分保険料がお得になります。
・解約から一定期間が経過したケース
保険の解約日または満期日の翌日から次の保険の開始日までの期間が7日を超える場合は、等級を引き継ぐことはできず、リセットされます。一度車を手放すなどで、次に保険に加入するまで時間が空く場合は、保険会社に「中断証明書」を発行してもらうことで、等級を最大10年間維持できます。
・保険会社から契約を解除されたケース
保険料の未払いなどで保険会社から契約解除の通知を受けた場合、等級を引き継ぐことはできません。
自動車保険の等級引き継ぎについて詳しくは以下のページをご覧ください。
自動車保険の等級は引き継ぎ可能?条件や家族間でお得な方法を解説
無事故なら保険料も安くなる
自動車保険料の割増引率は、契約する人の年令や、ゴールド免許か否か、自動車の型式別に見て過去に事故が多い傾向かどうか(型式別料率クラス制度)など、さまざまな要素によって変わります。その中でも等級は、自動車保険料の決定において重要なものです。
無事故運転を続けていれば、その分保険料が安く抑えられ、少ない負担で万が一の時の安心感を得ることもできるのです。
三井住友海上の自動車保険(任意保険)は、基本となる補償に加え、豊富な各種特約ををお選びいただけます。また、はじめての方におすすめの自動車保険や、2つのカメラで360°全方位の撮影が可能な専用ドライブレコーダーがセットできる自動車保険等、さまざまなタイプを取りそろえています。この機会にぜひ、三井住友海上の自動車保険(任意保険)をご検討ください。
- ※お詫びと訂正
当初掲載時に、ノンフリート等級の割増引率イメージ図版にて割増引率に関する表現に一部誤りがございました。誤解を招く表現があったこと、深くお詫び申し上げます。 - ※この記事の内容は、2022年6月時点の内容です。今後の商品改定等によって補償内容等が変更になる可能性があります。
- ※この記事の内容は、2022年6月時点の法令等にもとづいて作成しています。