
2023.07.24
当て逃げの法的定義から被害を受けたときの対処法までを解説

2023.07.24
当て逃げの法的定義から被害を受けたときの対処法までを解説
駐車場は、「当て逃げ」が起こりやすい場所です。加害者の中には、「誰も見ていないから」と逃げてしまう人もいれば、ぶつかったことに気づかないまま行ってしまう人もいますが、どちらにせよ被害者からすれば大きな災難です。
ここでは、どのような行為が当て逃げに該当するのか、さらには当て逃げをされたときの対処法や、当て逃げ加害者への対応について解説します。
当て逃げとは?
当て逃げとは、一般的に物損事故を起こした後、加害者がその場から逃げることと理解されています。
その理解は間違いではありませんが、法律的には「逃げる=立ち去る」ことが問題なのではありません。では、何が問題なのか、詳しく見ていきましょう。
当て逃げにあたる義務違反
道路交通法の規定により、交通事故が発生した場合、ドライバーは事故を起こした日時・場所などを警察官・警察署に報告する義務が課されます。また、事故に関わるドライバーやその他の乗務員には、直ちに運転を中止して、負傷者を救護し、道路上の危険を防止するといった必要な措置を講じる義務も課されています。
たとえ負傷者がいなくても、事故を起こしたにもかかわらず現場から立ち去る行為は、この「警察官・警察署への報告義務」「直ちに運転を中止して、道路における危険を防止する等必要な措置を講じる義務」を果たしていません。当て逃げとは、故意にこれらの義務違反を行うことであり、犯罪として扱われる行為なのです。
なお、車同士が少しかすった程度であり、加害者が車にぶつかったことに気づいていなかった場合、義務が発生する前提となる「事故の事実」に気づいていないこととなり、犯罪とまでは至らないことがあります。ただし、ドライブレコーダーの映像などから車がぶつかったことが判明し、加害者がその事実を認めた場合、被害者は修理代を請求できます。
当て逃げの罰則

当て逃げの加害者には、刑事罰と行政罰が科されます。具体的にどのような罰が科されるのか確認していきましょう。
<刑事罰>
- ・報告義務違反…3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金
- ・危険防止措置義務違反…1年以下の懲役または10万円以下の罰金
<行政罰>
- ・安全運転義務違反…違反点数2点加点
- ・危険防止措置義務違反…違反点数5点加点
違反点数は、3年間で累積点数が6点になると30日間の免許停止処分です。つまり1回当て逃げをすると、少なくとも30日間の免許停止処分を受けることになります。
なお、当て逃げにあたるのは物損事故の場合です。人身に被害が出ている場合は「当て逃げ」ではなく「ひき逃げ」になり、刑事罰はより重くなります。
当て逃げの被害者になったときはどうすれば良いか?
当て逃げの被害者になってしまった場合、大切なのはしっかりと証拠を残しておくことです。当て逃げをされたときの対処法は、下記のようになります。
■当て逃げをされたときの対処法

警察へ通報する
当て逃げの瞬間を目撃した場合はもちろん、駐車場に戻ってきたら加害者がおらず車のボディがへこんでいたという場合も、まずは警察に通報します。警察に「事故証明書」の作成をしてもらう必要があるからです。
また、警察に連絡しておけば、もし加害者が出頭してきたときにその旨を連絡してもらうことができます。なお、事故の被害者であっても、通報をしなければ報告義務違反になるため、当て逃げを確認したら必ず警察に通報をしましょう。
車種やナンバーなど証拠を残す
当て逃げを目撃した場合などは、忘れないうちに車種やナンバーなどの証拠を控えておきます。当て逃げされた箇所や自分の車が停まっている状況なども、スマートフォンなどで撮影しておきましょう。証拠があれば、後に加害者が見つかったとき、「停め方が悪かったからぶつかった」といった虚言も防ぐことができます。
ドライブレコーダーの確認
ドライブレコーダーの映像を確認し、当て逃げの現場が映っていれば貴重な証拠となります。ぶつかった瞬間の映像を間違って上書きしてしまわないよう、データはパソコンなどに早めに移しておきましょう。
街の防犯カメラを確認
駐車場や現場の街頭に監視カメラがあれば、管理者に映像を確認してもらえるよう頼んでみましょう。加害者が防犯カメラの映像に映っていれば、加害者を探す上で有力な手掛かりになります。
保険会社へ連絡する
加害者がわからない場合は、修理費は自費で負担するか、保険を利用することになります。保険を使うかどうか迷ってしまう場合でも、まずは保険会社に連絡しましょう。 なお、当て逃げの被害で保険を使うと翌年度の等級は3ランクダウンし、保険料が高くなります。修理費の見積もりをとり、その費用額と保険料の比較検討をするのがおすすめです。
当て逃げをされたとき示談交渉はどうする?
監視カメラがなく目撃者もいない、さらには加害者の車種やナンバーもわからないとなれば、当て逃げの加害者を見つけることは難しくなります。一方、加害者の車種やナンバーが判明していれば、加害者を突き止められる可能性はぐっと高くなります。
駐車監視機能付きドライブレコーダーを設置していれば、衝突の瞬間が映っている可能性は高く、有力な証拠として活用できるためおすすめです。続いては、当て逃げ被害で請求できる項目と、当て逃げの加害者が見つかった場合の示談交渉の内容について見ていきましょう。
当て逃げ被害で請求できる項目
当て逃げの加害者が見つかった場合、被害者は加害者や加害者の保険会社に対して、修理費などの損害賠償請求ができます。一般的に、請求できる項目は下記のようなものであり、基本的に修理にかかった実費になります。
- ・車両の修理費…車両の修理にかかった費用を請求できます。
- ・車両の買い替え費用…修理費が「事故時の車両の時価額に買い替え費用を加えた額」を上回る場合、車両の買い替え費用を請求できます。
- ・代車使用料…代車使用料は、車を修理するあいだ、代車を借りる際にかかった費用です。
- ・レッカー代…レッカー移動しなければいけなかった場合は、レッカー代も請求できます。
- ・積荷、携行品などの損害…当て逃げされたことで積み荷に被害が生じたような場合は、その分も請求できます。
なお、加害者に対し慰謝料の請求はできません。慰謝料は精神的損害に対する賠償金なので、物損事故には適用されないからです。
示談交渉でもドライブレコーダーは重要
上記の損害賠償額について加害者側と示談交渉を行い、示談が成立すれば賠償金が指定の口座に振り込まれます。
なお、示談交渉では、被害者と加害者の過失割合が考慮されます。例えば、駐車場で被害者車両が明らかに非常識な停め方をしており、そのために加害者車両がぶつかったとすれば、被害者にも「過失あり」とされて賠償金額が調整されるわけです。
しかし、ドライブレコーダーの映像や現場で撮影した写真があれば、加害者側に「被害者の停め方が悪かった」などと言われても根拠を示して反論できるため、しっかり証拠を残しておくことが重要です。
一度示談が成立すると、後から追加で請求をすることはできないため、交渉は慎重に進める必要があります。自分一人で行うには難しい場合もあるため、示談交渉は保険会社に任せるのがおすすめです。
あらゆる状況に対応できる360°撮影可能なドライブレコーダーを設置しよう
当て逃げは、道路交通法が定める「報告義務」と「危険防止措置義務」に違反する犯罪であり、加害者には刑事罰と行政罰が科されます。当て逃げの被害者になってしまった場合は、警察に通報するとともに、相手の車種やナンバーを押さえることが非常に重要です。その点、駐車監視機能のあるドライブレコーダーの映像は、有力な証拠になりえます。
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