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駐車場での事故

2023.02.14

駐車場での事故の区分や対処の流れとは?運転での注意点も紹介

駐車場での事故

2023.02.14

駐車場での事故の区分や対処の流れとは?運転での注意点も紹介

事故が起こるのは、何も道路だけとは限りません。例えば、駐車場も車や歩行者が頻繁に往来し、事故が起きやすい場所のひとつ。駐車場は公道ではないので、駐車場で事故が起きた場合は公道上での事故とは扱いが異なることもあります。
ここでは、私有地か道路かによって駐車場事故の扱われ方が異なることや、万が一事故を起こしたり巻き込まれたりした時の対処の流れをはじめ、駐車場を走行する際にドライバーが気を付けるべきポイント、過失割合などについて解説します。

駐車場での事故の実態

駐車場内での事故は、意外に多く発生しています。公益財団法人交通事故総合分析センターが発表した「事故類型別(詳細)・昼夜別 道路線形別 全事故件数」によると、2021年の1年間で起きた交通事故は全部で305,196件。そのうち、駐車場内での事故は15,100件で、約5%に相当します。

駐車場内の内訳としては、人対車両の事故が4,641件、車両相互の事故が9,384件、車両単独事故が1,075件。最も多いのはバック中の車両同士の接触事故で、車両相互事故の約3分の2にあたる6,099件発生しています。

■2021年の駐車場内での事故の内訳

2021年の駐車場内での事故の内訳

このような事故が多い原因としては、駐車場内では車が駐車スペースを探して移動したり、人が車に乗り降りするために出入りしたりと、不規則な動きが多いことや、駐車することに気をとられて周りへの注意がおろそかになりやすいことなどが挙げられるでしょう。

このほか、駐車場では当て逃げ事故も発生しがちなほか、数は少ないながらも、機械式立体駐車場で人が機械に挟まれて死亡するといった痛ましい事故も起きており、過去には消費者庁や国土交通省から注意喚起がなされています。

駐車場における事故は、私有地か道路かで扱いが変わる

駐車場における事故の扱いは、その駐車場が道路交通法の対象とならない個人の所有する「私有地」とみなされるのか、道路交通法の対象である「道路」とみなされるのかで変わってきます。それぞれの場合で事故がどう扱われるのか、詳しく見ていきましょう。

事故の発生した駐車場が道路交通法の適用のない私有地である場合

契約者だけが利用できる月極駐車場や民家の駐車場などは、それが私有地であれば、基本的には道路交通法が適用される「道路」ではないことになります(ただし、私有地の駐車場であっても不特定多数の人が通行できる場所であれば、「道路」にあたるものとして道路交通法が適用される可能性もあります )。

交通事故とは、道路交通法の規定する道路上で起こったものだけを指すので、道路交通法上の「道路」にあたらない駐車場で事故が起きたとしても、交通事故扱いにはなりません。駐車場が道路交通法の適用がない私有地ならば、同法上の罰則も受けないのです。

ただし、たとえ私有地内での事故であっても、自動車運転過失致死傷などの人身事故を起こした場合は刑事上の責任が発生するほか、民事上の責任も生じます。事故の内容次第では、免許停止などの行政処分も受けることになります。

事故の発生した駐車場が道路とみなされる場合

道路交通法が規定する道路は公道だけに限らず、たとえ私有地内での事故であっても、不特定の人や車が自由に通行できる場所であれば、道路交通法上の道路として扱われる場合があります。

例えば、不特定の人や車が自由に通行できる私道をはじめ、空き地や広場、商業施設・病院の駐車場などは、道路として扱われる可能性が高いです。道路として扱われる場所で事故が起きた場合は、あくまで公道での交通事故と同じように扱われます。

実際に道路に該当するかどうかは、ケースバイケースで慎重に判断されるものです。しかし、商業施設や病院の駐車場等は道路とみなされる可能性が高いため、これらの場所で事故が起きた際は、公道と同じように交通事故として扱うのが一般的です。

駐車場での事故解決には、基本的に駐車場の管理者は関与しない

駐車場内で事故を起こした場合は、事故を起こした当事者同士で過失割合について話し合い、互いの損害賠償額が決まることが一般的です。民法第709条(不法行為)に該当する駐車場内の事故は、当事者間で解決を図ることになっており、原則として駐車場の管理者は関与しないのです。

ただし、駐車場に置かれていたポールなどの工作物が危険な状態で管理されていたことが原因で発生した事故であれば、民法第717条の「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」により、工作物の所有者と管理者が同じ場合は、被害者に対して損害を賠償する責任を負うことになります。

万が一の駐車場事故の時、対処の流れはどうなる?

万が一の駐車場事故の時、対処の流れはどうなる?

万が一駐車場内で事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりした場合は、その場所が私有地だとみなされない限り、基本的には公道上での事故と同じように対処します。
具体的には、以下のような流れで対応することになります。

1. 安全な場所に車を止め、エンジンを切る

まずは車を安全な場所まで移動して止め、エンジンを切ります。

2. 負傷者を救護し、周囲へ事故の発生を知らせる

負傷者がいる場合はただちに救護する義務があるため、必要に応じて救急車を手配するほか、応急処置も行います。
また、ハザードランプをつけるなどして、周りに事故の発生を知らせてください。これにより、さらなる事故の発生を防ぎます。

3. 警察に報告する

警察に事故が発生したことを報告します。私有地扱いとなる駐車場では道路交通法が適用されず、警察への届け出は義務ではないものの、私有地であっても道路交通法が適用され、公道と同じように扱われるケースがあるからです。

警察に届け出を済ませていない場合、道路交通法が適用され事故扱いになっても、交通事故証明書が発行されないこともあるため注意してください。

交通事故証明書について詳しくは以下のページをご覧ください。
交通事故証明書とは?必要な場面や入手方法、注意点をチェック

4. 事故の相手方・目撃者などの情報を集め、事故状況を保存する

事故の相手方の身元や連絡先などの情報を集めて保存しておくほか、目撃者がいれば、目撃者の連絡先等を聞いておきます。
また、現場の様子を記録しておくことも大切です。写真や動画を使って記録しておけば、後々役立つかもしれません。そのほか、駐車監視機能付きのドライブレコーダーを使用している方は、ドライブレコーダーに記録された映像も保存しておけば、役立つ可能性があります。

ドライブレコーダーの駐車監視機能について詳しくは以下のページをご覧ください。
ドライブレコーダーの駐車監視機能とは?メリット・デメリットを解説

5. 保険会社への連絡

保険会社に連絡し、事故の状況を伝えます。保険を使用しない限り等級は下がらないので、安心してください。

6. 病院で医師の診断を受ける

軽いケガでも、後々まで痛みを引きずることになったり、後遺障害が残ったりすることもあるので、病院で診断を受けておきましょう。

7. 事故車を修理に出す

事故車に修理が必要なら、修理に出します。車が走行不能の状態で、加入している自動車保険にロードサービスが付帯されていれば、ロードサービスを受けることができます。

ロードサービスについて詳しくは以下のページをご覧ください。
三井住友海上のロードサービス

レッカーサービスについて詳しくは以下のページをご覧ください。
レッカーサービスの内容は?費用や来るまでの時間、必要な状況を解説

8. 示談や損害賠償請求をする

自動車保険に加入していれば、保険会社を通じて示談や損害賠償請求を行うことになります。ただし、相手方の過失が100%で自身には一切の過失がない場合、被害者みずからが加入する保険会社は交渉の代理人になれない点には注意しましょう(弁護士法の非弁行為にあたるためです)。

なお、事故直後に現場で示談を持ちかけられても、適切な示談金額で交渉できずに被害者が十分な補償を受けられない可能性などがあるため、その場で話し合いに応じてはいけません。

示談書について詳しくは以下のページをご覧ください。
示談書とは?交通事故での作成のポイントや記載事項などを解説

事故の対応の手順やポイントについて詳しくは以下のページをご覧ください。
車の事故が起きたときの対応は?交通事故対応の手順やポイントを解説

■駐車場内での事故の対応手順まとめ

駐車場内での事故の対応手順まとめ

駐車場内を走行する時にドライバーが注意するべきこと

駐車場内は歩行者も多く、駐車スペースを探しながらの運転になるので、公道を走る時とは違った注意が必要です。駐車場を走行する際に気を付けたいのは、以下のような点になります。

周囲の車や歩行者の動きに注意する

駐車場ではついつい空いているスペースを探すことにばかり気をとられがちかもしれませんが、ミラーでの確認に加えて目視確認もしっかりと行い、周囲の動きや人の動きには十分注意を払っておきましょう。

相手が止まってくれると油断しない

相手が車両でも歩行者でも、「相手が止まってくれるだろう」という考えは禁物です。

ブレーキとアクセルの踏み間違い

駐車場内ではほかの場所に比べ、ブレーキとアクセルの踏み間違いが多くなる傾向があります。ペダルの踏み間違いは大事故につながりかねないので、車の操作は慎重に行う必要があります。

バック駐車の場合は、後方の死角に人や車がいないか注意

駐車場内の車同士の事故は、バック中に起きることが多いため、駐車場内でバック駐車する際などは、後方の死角に人や車がいないか十分注意しましょう。

駐車場内では十分に速度を落とす

駐車場内では、駐車スペースに停めるために前の車が後退したり、物陰などから歩行者が現れたりします。これらに対処するためには、あらかじめ駐車場内では十分に速度を落としておくことが大切です。
具体的には、歩行者がいる時やバック運転の時は人が歩くくらいのスピードにとどめ、それ以外の時も、時速10km以下で徐行することを心掛けてください。

通路が交差する所ではいったん停止して安全確認を行う

駐車場内は子どもが突然飛び出してきたりすることも多いので、通路が交差する所では一時停止を欠かさず、安全確認を行います。

出庫する時は、はじめに車の頭を少しだけ出して停車し、周囲に出庫を知らせる

出庫の際は、まず少しだけ頭を出し、周囲に出庫を知らせることで衝突の危険を回避しましょう。

駐車場事故における過失割合

駐車場事故における過失割合

相手がいる事故が起きたら、話し合いによって当事者双方の事故に対する責任を数字で表す「過失割合」を決めます。交通事故の賠償金は過失割合にもとづいて算出されるので、非常に重要なものです。この過失割合は、過去の事例をもとにした基本の過失割合から、個別の事故の状況を加味した上で修正されることが多くなっています。

例えば、車両同士の事故の場合、自分が駐車スペースに停車しているところに、相手車両がぶつかってきたのであれば、基本の過失割合は自分:相手=0:100です。
一方、駐車場内の交差通路で出合い頭にぶつかったケースでは、基本の過失割合は50:50になります。ただし、個々の状況によって過失割合は変わります。

また、駐車場内での歩行者と車の事故では、歩行者:車の基本の過失割合は10:90になります。
ただし、歩行者が歩行者専用通路を歩いていた、歩行者側の急な飛び出しがあったなどの事情があれば、過失割合は調整されます。

交通事故の過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
交通事故の過失割合とは?決め方や流れ、不満が残るときの対策を解説

自動車保険なら駐車場での事故にも備えられる

駐車場には、駐車の際に急な停止や後退をする車もおり、死角から不意に歩行者が現れることもあります。事故を回避するためにも、車間距離やスピードには気を配り、慎重な運転を心掛けましょう。
もしも駐車場内で事故を起こしたり、巻き込まれたりしてしまった場合は、私有地であっても不特定の人や車が自由に出入りできる場所であれば、公道上での事故と同じように対応するのが一般的です。その場合は、治療費や車の修理代といった損害賠償費用も同じようにかかるので、万が一に備えるためには自動車保険に入っておくと安心です。

三井住友海上の自動車保険は、相手への賠償やケガの補償、車の補償、ロードサービスといった基本的な補償のセットに、ご希望に応じた特約を組み合わせてご加入いただけます。また、事故の際に証拠としても活用できるドライブレコーダー付きのプランもお選びいただけます。この機会にぜひ、三井住友海上の自動車保険をご検討ください。

  • この記事の内容は、2023年2月時点の内容です。今後の商品改定等によって補償内容等が変更になる可能性があります。
  • この記事の内容は、2023年2月時点の法令等にもとづいて作成しています。

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■監修:森川弘太郎(第二東京弁護士会)

森川弘太郎

東京弁護士法人代表弁護士。IT法務、エンターテインメント法務、フランチャイズに特化した企業法務専門の法律事務所にて勤務した後、東京都内3拠点の法律事務所(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。東京弁護士法人は「弱点のない総合型法律事務所」を目指し、各弁護士が個人向け業務・法人向け業務、民事事件・刑事事件問わず横断的に案件を扱う。

■監修:関口勇太(第二東京弁護士会)

関口勇太

東京弁護士法人立川法律事務所所属。大学卒業後に大手テニススクールにてテニスコーチを務めながらテニス選手として活動し、その後、弁護士を志す。現在は、地元である東京都立川市に拠点を構える立川法律事務所(東京弁護士法人本部)にて、刑事事件・離婚・相続・交通事故等の個人向け業務から企業法務等の法人向け業務まで幅広い業務を取り扱いつつも、刑事弁護を得意分野としている。

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