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車同士の事故

2022.12.27

【交通事故の過失割合】車同士の事故の場合をパターンごとに解説

車同士の事故

2022.12.27

【交通事故の過失割合】車同士の事故の場合をパターンごとに解説

交通事故が起きたとき、事故の当事者が支払う・受け取る賠償金額を算出する際の要素として、事故の責任の割合を数字で表した「過失割合」があります。
ここでは、車同士の事故における基本となる過失割合を、具体的な事故のパターンごとに解説します。

事故の当事者が支払う賠償金額は過失割合に応じて算出する

車同士の事故はさまざまな状況で起こりえるもの。その中でも、交差点での接触、後続車による追い越し、急ブレーキによる追突、道路外から道路に進入する場合など、特に事故が起きやすいケースがいくつかあります。

事故の当事者同士の責任の割合を数字で表した過失割合は、過去の事例などをもとにして、基本となる過失割合が示されています。この基本の過失割合をベースとし、実際の事故で加味すべき要素がある場合は、「修正要素」として過失割合を加減算します。

交通事故の過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
交通事故の過失割合とは?決め方や流れ、不満が残るときの対策を解説

車の事故が起きたときの対応について詳しくは以下のページをご覧ください。
車の事故が起きたときの対応は?交通事故対応の手順やポイントを解説

修正要素とは

修正要素とは、個別の事故の状況に応じて、基本の過失割合から修正すべき要素のこと。
車同士の事故の修正要素には、例えば交差点の見通しや減速したかどうか、徐行したかどうか、早回り右折(ショートカット右折)を行ったかどうかなどがあります。また、著しい過失や、重大な過失なども修正要素として考慮されます。

交差点での車同士の事故における基本の過失割合

交差点は多くの車が行き交う場所であり、歩行者や自転車等にも気を配る必要があるため、特に車同士の事故が発生しやすい場所といえます。そのため、交差点には多くの交通ルールが設定されており、それが過失割合に大きな影響を与えます。

信号機がない交差点における直進車同士の事故

交差点に進入した直進車同士が出会い頭に事故を起こした場合、信号がないのであれば、一見すると過失割合は五分五分に思えます。しかし、実際には「左方車優先」「広路車優先」「直進車優先」といったルールによって、基本の過失割合が変わります。

信号機がない交差点における直進車同士の事故

(1)道幅が同じ場合

道幅が同じ交差点において直進車同士が衝突した場合は、左方車優先のルールがあてはまり、ABが同じくらいのスピードで交差点に進入した場合には、基本の過失割合は「A:B=40:60」です。ここでいう左方車優先とは、「信号機がない交差点を車が通行するときは、原則として左方車の進行を妨害してはならない」という交通ルールです。
ただし、道路の優先関係や道幅にもよりますが、「信号機のない交差点に進入しようとする場合、減速しなければならない」という交通ルールもあるので、左方車であっても減速しなかった場合は、過失割合が逆転するケースもあります。

(2)一方の道幅が明らかに広い場合

一方の道幅が明らかに広い交差点において、直進車同士が衝突したときは、広路車優先のルールが適用されます。信号機のない交差点において、どちらかの道が明らかにもう一方の道よりも幅が広い場合、幅の広い道を走る車のほうが優先されることになります。国道などの幹線道路とそれ以外の狭い道が合流した交差点をイメージするとわかりやすいでしょう。
そのため、信号機のない交差点において、直進車同士が同じくらいのスピードで交差点へと進入し、衝突事故が起きた場合には、左方車かどうかというよりかは、道幅の広さが考慮され、基本の過失割合は「A:B=30:70」(Aが広路車、Bが狭路車)となります。

対向する道を走る直進車と右折車の事故

交差点での車同士の事故でよくあるのが、一方が直進、もう一方が右折しようとして衝突するケースです。

対向する道を走る直進車と右折車の事故

(3)お互いが青信号だった場合

共に青信号での交差点進入であれば、右折車は交差点を直進する車の進行を妨害してはならないという直進車優先のルールが重視され、過失割合が決まります。この場合の基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが直進車、Bが右折車)となり、右折車の過失はかなり大きなものとなります。
ただし、「右折車がすでに右折した状態で直進車が追突したかどうか」や「どちらかに速度違反があったかどうか」をはじめ、「右折車側に合図がなかった場合」など、多くの修正要素があるため、過失割合が修正要素によって変動することも珍しくありません。

(4)黄色信号と青信号の場合

直進車が黄色信号で交差点に進入し、一方の右折車は青信号で交差点に進入した場合はどうでしょうか。Bの右折車は青信号で交差点に進入した後に、黄色信号で右折、その後信号の色は赤に変わっています。
この場合の条件では、基本の過失割合は「A:B=70:30」(Aが直進車、Bが右折車)となります。(3)のお互いが青信号だった際の過失割合が一気に逆転し、直進車優先であっても、直進車の過失がかなり大きいと判断される形に。あらゆる事故の条件において、信号を遵守できているか否かは重要な考慮要素となっていることがわかります。

(5)信号がない場合

同じ交差点における直進車と右折車の事故でも、信号がない交差点の場合はどうなるのかというと、基本の過失割合は、お互いの信号が青信号だったケースと同じ過失割合となり、「A:B=20:80」(Aが直進車、Bが右折車)となります。

右折または左折車と直進車の事故

信号のない交差点を直進する車と、信号のない交差点に右折または左折で進入した車が事故を起こした場合の過失割合を見ていきましょう。

右折または左折車と直進車の事故

(6)直進車と左方の右折車が衝突した場合

道幅が同じ交差点において、直進車と直進車から見て左方から交差点に進入してきた右折車が衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=40:60」(Aが直進・右方車、Bが右折・左方車)です。
直進車より右折車の過失が大きくなるものの、「左方車優先」のルールも適用されるので、右折車の過失割合が若干少なくなります。ただし、直進車優先のルールを逆転するほどではありません。

(7)直進車と左方の左折車が衝突した場合

道幅が同じ交差点において直進車と、直進車から見て左方から交差点に進入してきた左折車が衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=50:50」(Aが左折・左方車、Bが直進・右方車)となります。似たような状況でも、右折か左折かで過失割合が少し変動することがポイントといえます。

(8)直進車と右方の右折車が衝突した場合

道幅が同じ交差点において直進車と、直進車から見て右方から交差点に進入してきた右折車が衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=30:70」(Aが直進・左方車、Bが右折・右方車)となります。
直進かつ左方という2つのルールが適用されるため、Aの直進車の過失は小さいものとされます。

(9)広路の直進車と狭路の右折車が衝突した場合

交差点において広路の直進車と、狭路から右折で進入した車が衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが直進・広路車、Bが右折・狭路車)となります。
道幅に違いがある場合は、過失割合を定める際の条件として考慮の対象に。基本の過失割合について、左方車か否かという点よりかは、直進車優先や広路優先が重視されていることがわかります。

(10)狭路の直進車と直進車の向かう狭路へと進入した右折車が衝突した場合

交差点において、狭路の直進車と広路から右折で直進車の向かう狭路へと進入した車が衝突した場合、基本の過失割合は、「50:50」(Aが直進・狭路車、Bが右折・広路車)となります。
基本の過失割合においては、Aは直進車かつ左方車であるものの、狭い道を走っていることや、Bは広い道を走っているものの、右折車かつ右方車であることなどが考慮され、過失割合は五分五分であると判断されています。

右折車同士の事故

交差点を右折する車同士が事故に至った場合の過失割合と、ポイントについて確認しましょう。代表的なパターンをご紹介します。

右折車同士の事故

(11)右折車同士の場合

道幅が同じ交差点で右折車同士が衝突した場合、基本的には「左方車優先」のルールが適用され、基本の過失割合は、「A:B=60:40」となります。

左折または右折しようとしている車と後続の直進車の事故

交差点に差し掛かる所で前方の車が交差点で左右どちらかに曲がろうとし、後続からの直進車と衝突する事故もよくあります。過失割合や条件を確認しましょう。

左折または右折しようとしている車と後続の直進車の事故

(12)前方右左折車と後方直進車が衝突した場合

交差点に差し掛かる道幅が十分にある道路を2台の車が走っているときに前方直進車が右左折して、後続直進車を巻き込むように衝突することがあります。このとき、基本の過失割合は「A:B=20:80」に。右折または左折しようとしている車が、あらかじめ道路の中央または左側端に寄れる状況であったにもかかわらず、中央などに寄ろうせずに交差点を曲がろうとしたことに重い責任があると考えられていることがわかります。

T字路交差点での車同士の事故における基本の過失割合

T字路交差点とは、十字に交わっている交差点ではなく、T字の形に交わっている交差点をいいます。このタイプの交差点の事故は、十字路交差点での似た状況の事故とは、基本の過失割合が変わる可能性があります。次にご紹介する、T字路交差点における事故のパターンを確認しましょう。

左折または右折しようとしている車と、直進車の事故

T字路交差点において、右左折車と直進車の事故も、比較的起きやすいパターンといえます。過失割合やポイントを確認しましょう。

左折または右折しようとしている車と、直進車の事故

(13)直進車と右左折車の場合

道幅が同じT字路交差点において直進車と、右折または左折で進入する車が衝突したケースでは、基本的に直進車優先のルールが適用されるため、基本の過失割合は「A:B=30:70」(Aが直進車、Bが左折または右折車)です。
ただし、十字路の交差点に比べ、直進車も交わる道路からの左折または右折車を比較的予測しやすいと考えられ、十字路の交差点における基本的な過失割合に比べて直進車の過失割合はやや重くなっています。

道の外に出る・道の中に入る車と、直進する車の事故における基本の過失割合

お店やガソリンスタンドなどに立ち寄るため、走行していた車が道の外に出る場合があります。反対に、お店やガソリンスタンドから出た車が道に進入することもあります。こうした道路への出入りの際に、車同士の事故は起こりやすいもの。事例ごとに、基本の過失割合を確認しましょう。

道路外から道路に進入・退出する車と直進車の事故

道路外への進入・退出をしようとする車と直進車との事故も、比較的発生しやすいパターンです。3つの事例をご紹介します。

道路外から道路に進入・退出する車と直進車の事故

(14)直進車と右折で進入した車の場合

道路外から道路に右折で進入する車が、道路を直進する車と事故を起こした場合、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが直進車、Bが道路外から進入した車)となります。道路に進入する側であるBに大きな過失があると判断されます。
ただし、道路外から進入する車がゆっくりとしたスピードで道路に進入し、合流する前に少し頭を出して待機するなどしていた場合には、直進車であるAの過失割合が加算される場合があります。

(15)直進車と左折で進入した車の場合

道路外から左折で進入する車が、道路を直進する車と事故を起こした場合、(14)と同じく道路外から道に出た側のほうが過失は大きいとされるため、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが直進車、Bが道路外から進入した車)となります。

(16)直進車と対向車線から直進して目前で右折した車の場合

直進車から見て対向車線から直進してきた車が、目前を右折して道路外に出ようとしたときに衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=10:90」に。道路外に出るために右折する場合は、右折車にかなり大きな注意義務が求められるのです。

同一道路を走る車同士の事故における基本の過失割合

同じ方向に向かって走る車同士で起きる可能性があるのが、追い越しまたは車線変更によって事故に至るケースです。この場合、道路が追い越し禁止だったかどうかや、ウインカーが出ていたかどうかなどで、過失割合が変わります。

追い越し・進路変更での車同士の事故

追い越しや進路変更によって車同士の事故に至るケースも、比較的起こりやすいパターンだといえます。具体的に3つの例を挙げて、過失割合やポイントを見ていきましょう。

追い越し・進路変更での車同士の事故

(17)追い越し禁止場所の場合

後続車が前方の車を追い越そうとして事故を起こした場合、その場所で追い越しが禁止されていると、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが前方の直進車、Bが追い越し車)です。

(18)追い越し禁止場所でない場合

追い越しが禁止されていない場所での追い越しによる事故では、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが前方の直進車、Bが追い越し車)と、少しだけ追い越した側の過失が少なくなります。いずれにしても、追い越す側には十分な注意が求められるケースといえます。

(19)進路変更の場合

前方を走っていた車が進路変更を行って後続直進車がこれに衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=30:70」(Aが後続の直進車、Bが前方の進路変更車)です。
先程の追い越しとは異なり、後続の車も「すでに前方に車がいる」ことは認識できているわけですから、前方車の急な進路変更も多少は予測できるだろうという点が加味されていることが伺われます。

後続直進車と、前方の急ブレーキ車の追突事故

前方車の急ブレーキによって、後続車が前方車に追突する事故も、比較的発生しやすいものといえます。過失割合やポイントを押さえておきましょう。

後続直進車と、前方の急ブレーキ車の追突事故

(20)前方が急ブレーキ車、後方が直進車の場合

追突事故の場合、基本的には被追突車には過失がなく、追突車の前方不注視や車間距離不保持等の一方的過失によるものと考えられます。しかし、前方を走っていた車が理由のない急ブレーキをかけ、後続の直進車が追突した場合は、基本の過失割合は「A:B=70:30」(Aが後続の直進車、Bが前方で急ブレーキを踏んだ車)となります。
前方車の急ブレーキという事情があるにせよ、追突した側も普段から十分な車間距離をとって走行することが求められているのです。

万が一のときには、自動車保険を活用すると過失割合の交渉も心強い

事故が発生すると、当事者またはその代理人同士で過失割合を決める交渉(示談交渉)が行われ、過失割合に応じて損害賠償金を支払う・受け取ることになります。
過失割合は、過去の判例などをもとに示された基本の基準から、修正要素による調整を行いますが、交渉が難航することも少なくありません。当事者がみずから交渉に臨むと、知識や経験が乏しいために、相手方が提示してきた過失割合に不満があっても、うまく主張できないことも考えられます。

自動車保険には、事故で被害を受けた場合の損害賠償請求を弁護士に委任する弁護士費用や法律相談費用などを補償する「弁護士費用特約」といった、万が一のときに頼れる特約もあります。

車を運転する以上、事故を起こすリスクはゼロとはいえません。三井住友海上では、事故時に証拠としても活用可能なドライブレコーダーをセットする「見守るクルマの保険(プレミアム ドラレコ型)」をはじめ、さまざまな自動車保険を取りそろえています。弁護士費用特約など、必要な特約をおひとつから組み合わせていただくことも可能です。
この機会に万が一への備えとして、自動車保険の加入や特約の追加を検討してみてはいかがでしょうか。

示談について詳しくは以下のページをご覧ください。
示談書とは?交通事故での作成のポイントや記載事項などを解説

弁護士費用特約について詳しくは以下のページをご覧ください。
自動車保険の弁護士費用特約とは?メリットや使う場面、注意点を解説

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■記事監修
弁護士 坂本 玲央(東京弁護士法人)

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