救助を依頼するときには

  • 救助契約の内容
  • 救助の完了地点
  • 単独救助か共同救助か

をはっきりさせておくことが必要です。

1. どのような救助契約か

救助契約は当事者の一方が救助を約束し、相手方がそれに対して報酬を与えることを約束する契約です。したがって、この内容、条件を前もって熟知していないと、後日思わぬ不利益を被ることがあります。
救助契約の種類と特徴を「海難救助契約の内容 1. 主な救助契約とその特色」にまとめましたので、ご参照ください。いざという時には熟読する時間もないと思われますので、万が一に備えてあらかじめご一読ください。
特に外地で救助作業を依頼する場合、船長はサインをする前に救助業者の提示する契約書の内容を十分確認してください。具体的事例として、単なる曳航作業を依頼したつもりであるにもかかわらずロイズ書式の救助契約にサインをしたために、後日高額の請求を受けた例もあります。

また、一部の外国において通常の入出港時に曳船を使用中、浅瀬に乗り上げた場合、同じ曳船に曳きおろしを依頼した事例で離礁後高額な救助報酬を要求された例や依頼した業者ではない救助業者が無線連絡を聞き、本船に乗り込み、サインを取り付けるという例さえありますので十分注意してください。

2. 救助完了地点をどこにするか

救助の終了地点を確認します。それにより、救助業者の救助料の請求権がどこで発生するか、また、救助費用としてどこまでの作業を含めて考えるかが明確になります。
この点がはっきりしないと、後日関係者間で協議する際のトラブルのもととなります。例えば、座礁した船を救助して修繕地や安全な場所まで回航するとき、どこまでが救助であり、どこからが回航かについて紛糾するもととなります。

3. 単独救助か共同救助か

船体だけの救助か、積荷もともに救助するのかを明確にします。これにより、単独救助か共同救助に分かれます。
燃料が船主所有でなく用船者の所有のときには、船体と燃料の共同救助の考え方をとります。
こうしたときには、荷主、用船者との連絡を密にして共同の救助である点を確認し合っておく必要があります。共同救助の場合は、後日救助費を関係者で分担すべきことになるからです。