海難事故の場合には本船からの連絡をもとに多くの関係者が係わってきます。海難事故に対して手際よく対応するためには、それぞれが関係者間の役割分担およびその仕事がどのようになされるのか十分理解していなければなりません。関係者間の主な役割は以下のとおりです。個別の海難により状況は異なりますが、以下では典型的な事例を想定してご説明します。

1. 本船の役割

本船では船長が中心となって現場での応急処置、会社への連絡を行ってください。会社はこの連絡に基づいて関係者と打ち合わせ、本船の救助対策、修理の手配あるいは運航スケジュールなどを決定しますので、船長は客観的な事実を簡明に報告する必要があります。海難事故においては特に初期の段階で、本船から的確かつ十分な報告がなされるか否かがその後の処置に非常に重大な影響を与えます。船長は冷静に実情を把握し、まず客観的な事実を簡明に報告し、さらに事情の許す限り自身の意見をつけ加えてください。

2. 会社の役割

会社は本船からの連絡を基に関係者と打ち合わせを行います。例えば、座礁の場合であれば、救助業者の選定につき保険会社と協議を行い、早急に救助業者を手配し本船を安全な状態へ復帰させる必要があります。また、その後の対応(救助費協定はどうするか、修繕はどこで行うか等)を保険会社と打ち合わせることとなります。さらに、荷主、用船者、P.I.クラブ(船主責任保険組合)等、状況に応じて各関係者と連絡をする必要があります。現地で修繕ということになれば、工務監督の現地派遣を検討することとなります。

3. 保険会社の役割

保険会社は会社からの連絡と依頼を受け、救助業者と連絡をとり、必要に応じ事故現場へ急行し、あるいはサーベイヤーを手配して損傷程度の調査や修繕仕様の推定等を依頼します。また、衝突の場合は、会社と打ち合わせの上、弁護士を手配し、乗組員からの事情聴取や相手船との交渉を依頼することもあります。三井住友海上では昼夜休日を問わず、船会社の皆さまからの海難事故についてのご連絡に対応できる体制を整えております。