万一船舶が海難事故に遭遇した場合、事故直後にとるべき対応には、次の四つの段階があります。
人命の安全を第一に考えることは当然ですが、この対応の良否は、船舶・積荷の損傷や海洋環境の保護ならびに、救助の可否に重大な影響を及ぼします。したがって、船長および会社(*)はこの処置を誤らないよう常に心がけることが重要です。

  • 「会社」とは船舶所有者、または船舶管理者若しくは裸用船者その他の組織若しくは人を指します。ISMコードでの「会社」の内容と同様です。以下文中でも同様の意味で使用します。

1. 応急処置をとる

船長は、適切な判断と強固な決意をもって乗組員を督励し、人命および船舶・積荷や環境の保全のため、(ISMコード取得会社はISMコードに基づき作成した手順書に従って)、迅速にかつ最善の応急処置を行い、損害の防止軽減に努めなければなりません。
また、最近では海洋汚染も大きな問題となりますので、油流出の防止や、流出した油の除去などにも万全の対策を講じることが大事です。

2. 会社へ連絡する

海難発生の場合には、船長は直ちに海難の内容、危険の状況などを会社へ急報しなければなりません。(ISMコード取得会社は、ISMコードに基づいて会社が作成した緊急事態に対応するための24時間体制の連絡網に従ってください)この報告が適切に行われるかどうかは、それ以後の関係者の処置に重大な影響を与えます。
必要な連絡項目を事故原因別にご案内していますので、各手続きのページをご参照ください。

3. 救助方針を決定する

報告を受けた会社は速やかに対策を決定しなければなりませんが、さらに三井住友海上や場合によって、P.I.クラブ(船主責任保険組合)への連絡も必要です。当社では船舶の海難事故のご連絡をいただいた際に、直ちに関係者の皆さまと救助作業の要否、救助業者の手配などを打合せさせていただく体制を整えております。

4. 救助後の処置

(1)航海を継続できるか判断する

船舶が危険な状態から脱出し、あるいは救助に成功した後でも、船長が独断で航海を継続することは避けるべきです。航海を再開する場合には、救助完了後であっても、当該船舶は、それからの航海に耐えられる状態(堪航性の保持)でなければなりません。従って、船長としては、堪航性の有無について判断に迷うときは、船級協会検査員または運輸局検査官の検査を受ける等の処置をすることが必要です。

(2)海難報告書を提出する

また、船長は、管海官庁(国内であれば運輸局、市町村役場、海外であれば大使館、領事館)に速やかに海難報告書を提出して認証を受けなければなりません。(船員法第19条)

(3)共同海損を宣言するかを決定する

積荷がある場合は共同海損となります。詳細は共同海損の手続きをご参照ください。