
2023.07.24
追突事故で加算される違反点数は?通知が来るタイミングと処分の流れ

2023.07.24
追突事故で加算される違反点数は?通知が来るタイミングと処分の流れ
追突事故のような交通違反を起こした時、ドライバーに対して違反点数が加算されます。3年間の累積点数が一定水準に達すると、免許停止・免許取り消しといった行政処分が科される仕組みです。
もし、追突事故を起こしてしまった時、違反点数加算や行政処分についての手続きは、いつからどのように進んでいくのでしょうか。
この記事では、追突事故によって加算される違反点数と科される行政処分のほか、違反点数加算の通知が来るタイミングと行政処分の流れについて解説します。
目次
追突事故とはどんな事故?
追突事故とは、駐停車している車の後部に、走行してきた後続車が衝突する事故のことです。同一方向に向かって走行中の車に、後ろを走る車が衝突した事故も該当します。
内閣府の統計資料によると、2021年中に発生した交通事故(人身事故)のうち、追突事故は全体の30.5%を占めており、交通事故を類型別で見たときに、最も件数の多い事故となっています。
■事故類型別・交通事故発生件数(2021年)

- ※内閣府「令和4年交通安全白書」
- ※警察庁の統計データを使用しています。「人対車両その他」は、人対車両の事故のうち、歩行者横断中以外の事故(対面通行中、背面通行中等)を指します。「正面衝突等」は正面衝突や路外逸脱等を指しています。
一方で、同資料の死亡事故の発生件数を見ると、追突事故の割合は全体の5.1%にとどまっています。
■事故類型別・交通死亡事故発生件数(2021年)

- ※内閣府「令和4年交通安全白書」
- ※警察庁の統計データを使用しています。「人対車両その他」は、人対車両の事故のうち、歩行者横断中以外の事故(対面通行中、背面通行中等)を指します。「正面衝突等」は正面衝突や路外逸脱等を指しています。
このことから、追突事故は、死亡事故に至ることは多くはないものの、一定数起きていることが特徴といえます。
追突事故によって加算される違反点数(行政処分)
追突事故を起こした際に加算される違反点数は、一律ではなく、状況によって異なります。ここでは状況別の違反点数について解説します。
人身事故の場合
追突事故で相手を死傷させた時には、「人身事故」になります。
そもそも違反点数には、基礎点数と付加点数の2種類があります。人身事故の場合は「基礎点数+付加点数」の合計値が加算される仕組みです。
■基礎点数と付加点数の違い
基礎点数 | 信号無視や安全運転義務違反、酒酔い運転、ひき逃げ等、違反行為ごとに決まる点数 |
---|---|
付加点数 | 交通事故の種別や被害の程度ごと、運転者の不注意(過失)の程度ごとに決まる点数 |
■追突事故(人身事故)の違反点数加算例
事故の程度 | 基礎点数 | 付加点数 | 合計点数 |
---|---|---|---|
追突事故で軽傷を負わせ、その責任の程度が重い場合 | 2点 | 6点 | 8点 |
酒酔い運転で追突事故を起こし、相手を死亡させた場合 | 35点 | 20点 | 55点 |
追突事故を起こし相手を死傷させた場合は、基礎点数が最低でも2点加算、付加点も同じく最低でも2点加算なので、少なくとも4点の違反点数が加算されることになります。
交通違反の程度が軽微であれば、原則として不起訴となり、行政処分として違反に応じた額の反則金を納めます。反則金を支払えば刑事処分は免除され、前科も付きません。
ただし、重大な違反の場合には、刑事処分が下される可能性が高まります。刑事罰として規定年数内の懲役または罰金が科される可能性があるのです。
物損事故の場合
追突事故によって人がケガをするなどの被害が出なかった時には、「物損事故」扱いです。
行政処分上は事故扱いにならないため、原則として違反点数は加算されません。ただし、物損事故でも違反点数が加算されるケースもあります。
ちなみに、行政処分の対象にならない物損事故でも、相手方の車や建造物に損害を与えれば、民事上の賠償責任が生じます。その際に自動車保険(対物賠償保険)を利用すると保険の等級は下がり、来年以降の保険料支払額が増えることになります。
追突事故等により違反点数が加算されたらどうなる?

追突事故(人身事故)を起こして違反点数が加算され、それが累積して一定の点数に達すると、免許停止・免許取り消しなどの行政処分を受けることになります。最後に交通違反をした日を起点に過去3年間の累積点数を計算し、一定基準に達していると、ドライバーが行政処分を受ける仕組みです。
何点累積でどのような行政処分を受けるかは、以下のポイントによって異なります。
<行政処分を受けるポイント>
- ・過去に何回の行政処分を受けているか
- ・違反行為が「一般違反行為」か「特定違反行為」なのか
一般違反行為とは、信号無視や速度超過、安全運転義務違反等、比較的軽微な違反です。特定違反行為とは、飲酒運転や救護義務違反(ひき逃げ)等、悪質性の高い違反が該当します。
例えば、過去に行政処分歴がない人が、違反点数の累積点数において6点以上14点以下になると一定期間の免許停止処分を受けます。累積点数が15点以上だと免許取り消し処分になります。
■行政処分歴がないドライバーの累積点数と行政処分
一般違反行為 | 特定違反行為 | ||
---|---|---|---|
累積 点数 | 行政 処分 | 累積 点数 | 行政 処分 |
1~5 | 処分なし | 35~39 | 免許取消3年 |
6~8 | 免許停止30日 | 40~44 | 免許取消4年 |
9~11 | 免許停止60日 | 45~49 | 免許取消5年 |
12~14 | 免許停止90日 | 50~54 | 免許取消6年 |
15~24 | 免許取消1年 | 55~59 | 免許取消7年 |
25~34 | 免許取消2年 | 60~64 | 免許取消8年 |
35~39 | 免許取消3年 | 65~69 | 免許取消9年 |
40~44 | 免許取消4年 | 70以上 | 免許取消10年 |
45以上 | 免許取消5年 |
これに加え、軽微な交通違反では、行政処分として「反則金」の支払いが科せられます。違反が重大な場合は、刑事処分が下される可能性が高まります。刑事罰としての罰金刑や、懲役刑が科せられる可能性があるのです。
また、ゴールド免許だった場合は、次回更新時にブルー免許に変わります。
追突事故で行政処分を受けるまでの流れ

追突事故(人身事故)を起こしたら、行政処分が科されるまでどのような段階を踏み、処分を受けるまでにどのくらいの期間がかかるのでしょうか。ここでは、追突事故を起こした時の、行政処分を受けるまでの流れを解説します。
通知書が届くタイミングは事故から1~4週間後
累積点数によっては通知書が届かない場合もありますが、追突事故を起こして累積点数が一定の点数に近付いている場合は、事故後1~4週間程経つと、警察から通知書が送られてくることがあります。通知書の名称と内容は、違反累積点数の状況と処分内容によって異なります。
■追突事故(人身事故)で送付される通知書
通知書名称 | 送付条件 |
---|---|
累積点数通知書 | 累積点数が免許停止の基準に近付いている場合 |
行政処分出頭通知書 | 90日未満の免許停止処分に該当する場合 |
意見の聴取通知書 | 90日以上の免許停止処分または免許取り消し処分に該当する場合 |
累積点数が少なく、免許停止や免許取り消しまでに余裕がある場合、これらの通知書は発行されないことがほとんどです。つまり、通知書が届かなければ、特に何か対応する必要はないのです。
累積点数を知りたい場合は、自動車安全運転センターで「累積点数等証明書」を発行してもらえば確認できます。
累積点数通知書以外の通知書を受け取った場合は出頭または意見聴取に出席
累積点数通知書以外の通知書を受け取った場合は、通知書に記載された日程を確認し、出頭または意見の聴取に出席することになります。
・行政処分出頭通知書
行政処分出頭通知書を受け取り、指定された場所に出頭した日から免許停止処分が始まります。ただし、停止処分を受けた場合、停止処分者講習を受講することができます。講習後に実施される試験の成績によっては、免許停止期間が短縮されます。
・意見の聴取通知書
意見の聴取とは、処分が公正適切に行われることを保障するため、当事者から直接話を聞く制度です。ここでの質疑応答や違反を起こした背景についての説明の結果によって、処分内容が軽くなる場合もあります。
意見の聴取後、処分内容が決定されます。免許取り消し処分の場合は、免許を取得できない期間(欠格期間)が指定され、免許停止処分の場合には、停止処分者講習を受講でき、講習後に実施される試験の成績によっては、免許停止期間が短縮されます。
免許取り消し処分の場合は、欠格期間満了後または前に取消処分者講習を受け、欠格期間が満了してから再び免許を取り直すことになります。
追突事故を起こした際の過失割合
交通事故(人身事故)の違反点数は、加害者だけに科されるとは限りません。被害者であっても、過失割合が認められれば、違反点数が加算される可能性はあります。
交通事故の過失割合とは、交通事故の当事者双方にどのくらい責任があるのかを数値で表したものです。
過失割合は、当事者双方の話し合いによって決まります。その際は、過去の判例の積み重ねなどから事故パターンごとに導かれる「基本の過失割合」を基にしつつ、個別の状況を加味して修正が行われ、最終的な過失割合が決まることが一般的です。
追突事故の過失割合は、一般的には「ぶつけられた側(被害者)0:ぶつかった側(加害者)100」となるケースが多いです。
自動車事故の過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
【交通事故の過失割合】車同士の事故の場合をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車対バイクの事故の場合をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車と歩行者の事故をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車・バイクと自転車の事故をパターンごとに解説
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追突事故では「どんな違反があったのか」によって、加算される違反点数や行政処分が変わります。過失割合を決める上でも、「どんな違反があったのか」を証明できるかどうかが、とても重要になるのです。
ドライブレコーダーの録画映像は、客観的な証拠として非常に有効であり、実際にドライブレコーダーの録画映像により、追突事故の過失割合が変更されたケースもあります。
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