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車・バイクと自転車の事故

2022.12.27

【交通事故の過失割合】車・バイクと自転車の事故をパターンごとに解説

車・バイクと自転車の事故

2022.12.27

【交通事故の過失割合】車・バイクと自転車の事故をパターンごとに解説

警察庁の発表によると、2021年の交通事故での死者数の総計は2,636人。そのうち、自転車対自動車の事故による人数は262人と、およそ10%を占めるほか、2021年の交通事故で重症を負った方は27,204人に上ります。
ここでは、車・バイクと自転車の事故における過失割合の基本的な考え方と、主要な事故ごとの過失割合について解説します。

車・バイクは交通弱者である自転車により注意すべき

交通事故が起きたとき、事故の当事者が支払う・受け取る賠償金額は、事故の責任の割合を数字で表した過失割合に応じて支払われます。
自転車対車・バイク事故における過失割合は、事故状況別に、過去の事例などをもとにした基準が示されています。自転車は、車やバイクとの事故にあったときに、大きな被害を受けやすい存在。そのため、対車・バイク事故における自転車の基本的過失割合は、自転車側が低めに設定されているケースが多いです。

交通事故の過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
交通事故の過失割合とは?決め方や流れ、不満が残るときの対策を解説

自転車を運転するときのルールとは?

車もしくはバイクと自転車の事故の特徴として挙げられるのは、しばしば自転車側にも法令違反が目立つことです。警察庁の2021年のデータによると、実際に自転車乗車中の死者のうち約4分の3には、法令違反が認められています。

自転車は、法律上は「車両」扱いであり、道路交通法では軽車両に分類されます。そのため、道路を通行する際は、例えば「並走してはならない」「2人乗りをしない」「飲酒運転禁止」「原則として車道を通行する」「道路の左側を通行する」などのルールを守る必要があり、守っていなかった場合は、事故時の過失割合が加算されることもあるのです。

車の事故が起きたときの対応について詳しくは以下のページをご覧ください。
車の事故が起きたときの対応は?交通事故対応の手順やポイントを解説

交差点における事故の基本の過失割合

交差点は、事故が最も発生しやすい場所のひとつです。特に自転車は車やバイクと違って運転に免許が必要なく、子どもなどが運転している場合もあるため、より注意が必要です。
また、横断歩道では歩行者と同じ信号に従って走行するなど、自転車はいわば車やバイクと人の中間的な存在であることから、事故のパターンにも特有の状況が見受けられます。

自転車と、車もしくはバイクが共に直進だったときの事故

自転車と車もしくはバイクの事故において、交差点で直進同士が衝突するケースも発生しやすいパターンです。自転車が道路のどこを走っていたのかもポイントとなりますが、具体的な状況と、基本の過失割合などを確認しましょう。

自転車と、車もしくはバイクが共に直進だったときの事故

(1)共に直進の場合

信号がなく道幅が同じ交差点に、車もしくはバイクと自転車が共に直進で進入して衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
ここで考えなければならないのが、自転車がどこを走っていたのかという点です。というのも、自転車は必ずしも車から見て交差点奥を横切るとは限らないからです。場合によっては、図のように自転車が道路の左側を走るのではなく、道路の右側を走行している可能性もあります。その場合は車側の見通しの悪さ次第では、自転車の過失を加算する可能性もあります。
横断歩道において、自転車はバイクとも人とも違う動きをする可能性があり、この点は後述する事故でも考慮する必要があるのです。

直進車と右折車における事故

自転車と車もしくはバイクの事故において、交差点を直進する自転車と、右折する車もしくはバイクが事故に至るケースも比較的多く発生しています。4つの事例をもとに、基本の過失割合や判断のポイントを確認しましょう。

直進車と右折車における事故

(2)共に青信号の場合

共に青信号の交差点において、直進する自転車と右折しようとする車もしくはバイクが衝突したとき、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
前述した(1)の直進同士の事故に比べて、右折する側の車にはより大きな過失があると判断されます。交差点では一般的に、直進車優先のルールがあることに加え、立場の弱い自転車保護の観点も加わります。そのため、双方が青信号だったとしても、車に対してかなり重い判定となるのです。

(3)信号がない場合

信号のない交差点において、直進の自転車と右折の車もしくはバイクが衝突した場合、(2)の双方が青信号だった場合と同様に扱われます(信号の有無を除き、(3)と(2)は同様の状況です)。そのため、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。

(4)自転車が黄色信号、車もしくはバイクが青信号から黄色信号に変わった場合

交差点において、自転車が黄色信号で直進し、青信号で交差点に進入・黄色信号に変わった段階で右折した車もしくはバイクと事故に至った場合、基本の過失割合は「A:B=40:60」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
信号を守っていなかったのは自転車のほうなので、自転車側の責任もそれなりに大きく見られることに。ただし、自転車に非があるとはいえ、車(もしくはバイク)が強者であること、車(もしくはバイク)が右折側でより注意する必要があることなどを加味し、このような過失割合になります。

(5)共に黄色信号の場合

共に黄色信号の交差点において、直進の自転車と右折の車もしくはバイクが事故に至った場合の基本の過失割合は、「A:B=20:80」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
双方が青信号だった(2)の場合と比べて自転車の過失が少し上がっていますが、これは自転車が信号を守っていない点を考慮したものです。

同方向から直進する自転車と、右折する車もしくはバイクの事故

自転車と、車もしくはバイクならではの事故ともいえるのが、双方が交差点に同方向から進入し、右折しようとする車(もしくはバイク)と、直進する自転車が衝突するケースです。
ここでは、信号の色などが違う事例を4つ挙げて、基本の過失割合や判断のポイントを確認していきます。

同方向から直進する自転車と、右折する車もしくはバイクの事故

(6)共に青信号の場合

両者とも青信号の交差点では、同方向から直進する自転車と右折する車(もしくはバイク)が衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=15:85」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
右折する側かつ強者である車に強い注意義務が求められるケースといえます。

(7)自転車が黄色信号、車もしくはバイクが青信号から黄色信号に変わった場合

交差点に両者が同方向から進入するシチュエーションで、直進の自転車は黄色信号で進入、車もしくはバイクは青信号で進入し、黄色信号に変わったタイミングで右折して事故に至った場合、基本の過失割合は「A:B=45:55」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
自転車の過失は、交通弱者にしては重く見られており、信号を遵守できているか否かは重要な考慮要素となっていることがわかります。

(8)共に黄色信号の場合

交差点に両者が同方向から進入するシチュエーションで、自転車(直進)と車もしくはバイク(右折)が共に黄色信号だった場合、基本の過失割合は「A:B=35:65」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
互いが青信号だった場合よりは自転車の過失が大きくなりますが、やはり車が黄色信号だったことが重く判断されます。

(9)信号がない場合

前述した(6)~(8)と似た状況ではありますが、信号のない交差点で自転車(直進)と車もしくはバイク(右折)が事故に至ったケースでは、基本の過失割合は「A:B=15:85」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。判断基準は、双方が青信号だったケースと同様です。

左折する車もしくはバイクが、直進する自転車を巻き込む事故

自転車ならではともいえる事故のパターンのひとつが、同方向から交差点に進入し、自転車(直進)と車もしくはバイク(左折)が衝突するケースです。基本の過失割合や判断のポイントを確認しましょう。

左折する車もしくはバイクが、直進する自転車を巻き込む事故

(10)自転車と車もしくはバイクが同一方向から進入した場合

交差点において、左折しようとする車もしくはバイクが、後方から道路の左側を直進する自転車を巻き込んでしまう事故では、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
車には十分に道路の左端に寄って走らなかったことや、後方から来る自転車に対する注意が不十分だったことなどが過失として認められます。ただし、自転車も前方または横を走る車が左折する可能性は考慮できるはずなので、その点を加味して自転車側にも多少の過失割合がつく形に。このケースは、自転車にまつわる事故の中でも、起こりやすいケースといえるでしょう。

左折する車もしくはバイクと、前方から直進してきた自転車の事故

交差点を対向方向から直進する自転車と、左折する車もしくはバイクが衝突するケースも、代表的な事故のパターンのひとつです。基本の過失割合や判断のポイントをご紹介します。

左折する車もしくはバイクと、前方から直進してきた自転車の事故

(11)自転車と車もしくはバイクが対向方向から進入した場合

交差点において、左折で進入する車もしくはバイクと、向かい側から直進してきた自転車が事故に至ったとき、基本の過失割合は「A:B=15:85」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
(10)の同方向に向かう事故と比べてわずかに車もしくはバイクの過失が少なく判定されますが、いずれにしても左折する車もしくはバイク側がしっかりと注意する必要があります。

歩行者用信号機が設置された横断歩道、または自転車横断帯での事故の基本の過失割合

自転車は通常、車両として扱われますが、交差点を走行する際は歩行者用の信号に従います。歩行者用の横断歩道を走ることもあれば、横断歩道の横に設けられた自転車横断帯を走ることもあります。
そのような状況で車もしくはバイクとの衝突事故が起きると、基本の過失割合はどうなるのでしょうか。起こりやすいケースを見ていきましょう。

横断歩道を渡る自転車と、車もしくはバイクの事故

横断歩道を渡る自転車と、車もしくはバイクが事故に至るケースも代表的な事故といえます。信号の色が違う2つのパターンを挙げて、基本の過失割合や判断のポイントをご紹介します。

横断歩道を渡る自転車と、車もしくはバイクの事故

(12)歩行者用信号が赤(自転車側)、車もしくはバイクが黄色信号の場合

自転車が赤信号で横断歩道上を走行中に、黄色信号で交差点を直進してきた車もしくはバイクと衝突したとき、基本の過失割合は「A:B=55:45」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
黄色信号で進入した車(もしくはバイク)にも過失はありますが、赤信号にもかかわらず横断を開始した自転車には、さらに大きな過失があると判断されます。自転車が交通弱者であることを加味しても、赤信号での横断開始は重く受け止められるのです。信号を遵守できているか否かが過失割合の判定の際に、大きなカギを握っていることがわかります。

(13)歩行者用信号が青(自転車側)、車もしくはバイクも青信号の場合

自転車が青信号で横断歩道上を走行中に、青信号で交差点から右左折で進入してきた車もしくはバイクと衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
この状況において、優先されるのは横断歩道を走る自転車です。青信号で横断を始めた自転車に大きな非はなく、しいていえば進入してくる車に対して多少は注意できた可能性があるといった程度であるため、自転車の過失割合は低く抑えられています。

その他、起こりやすい自転車と車もしくはバイクの事故における、基本の過失割合

前述の事故のパターン以外にも、比較的発生しやすい事故のケースはあります。例えば、道路外にある駐車場や駐輪場から道路に進入しようとして、直進する車または自転車と事故を起こすケースや、反対に道路から道路外に出ようとして、事故を起こすケースも。また、自転車や車(もしくはバイク)が走行中に進路変更しようとして事故につながることもあります。さらに、小回りの効く自転車が、交差点以外の道路を横断する可能性も考えなくてはいけません。
こうした場合の基本の過失割合を、ひとつずつ見ていきましょう。

道路外から進入、または道路外へ出る際の事故

自転車や車もしくはバイクが道路外に出ようとしたり、反対に道路に入ろうとしたりして事故に至ることもあります。3つの事例を挙げて、基本の過失割合や判断のポイントをご紹介します。

道路外から進入、または道路外へ出る際の事故

(14)車もしくはバイクが道路外から道路に進入する場合

車もしくはバイクが道路外から道路に進入しようとし、道路を直進している自転車と衝突した場合、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
基本的には交通の流れを途切れさせる車(もしくはバイク)側により大きな注意義務があり、さらに車と自転車の立場の違いも加味されて、このような過失割合となります。一方で、道路に進入しようとする車は通常は徐行するものなので、直進する自転車にも事故を回避できる余地はあったと判定され、わずかに自転車側にも過失が認められる形です。

(15)自転車が道路外から道路に進入する場合

自転車が道路に進入する側、車もしくはバイクが道路を直進する側であったときの事故では、基本の過失割合は「A:B=40:60」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
交通の流れに沿って直進していた車(もしくはバイク)側の過失は少なく判定されるものの、自転車との立場の違いなどを考慮し、車(もしくはバイク)側のほうの過失が大きくなります。

(16)車もしくはバイクが、道路外に出る場合

車もしくはバイクが道路外に出るため右折したところ、直進する自転車と衝突したケースでは、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
右折して道路外に出ようとした車もしくはバイクに対して重い注意義務があると判断されます。自転車は車側と同じ方向、または対向から直進する2つのパターンが考えられますが、いずれにしても基本的過失割合は変わりません。

進路変更による事故

2台の車両が同方向に進む場合に、前方の自転車や車もしくはバイクが進路変更することによって、事故が発生するケースもあります。この場合の具体的な事例を3つ挙げて、基本の過失割合や判断のポイントを確認しましょう。

進路変更による事故

(17)前方の車もしくはバイクが進路変更した場合

前方を走っている車もしくはバイクが進路変更し、そこに後方から自転車が直進して事故を起こした場合、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
自転車側にも多少の前方不注意が認められますが、前方で進路変更を行った車もしくはバイク側の過失のほうがはるかに大きなものとなります。

(18)前方の自転車が、障害物をよけるために進路変更した場合

前方を走る自転車が進路変更し、そこに後方から車もしくはバイクが直進して事故に至った場合、自転車の進路変更が障害物をよけるために行われたものなら、基本の過失割合は「A:B=10:90」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。
自転車が障害物を避けるために進路変更することが予測できるはずで、そのことが車側の過失割合を高める理由となります。

(19)前方の自転車が、単に進路変更した場合

前方を走る自転車が進路変更し、そこに後方から車もしくはバイクが直進して事故に至った場合、自転車の進路変更の理由が障害物をよけるためなど、後方から前を走る自転車が進路変更を行う可能性を容易に認識できるような状況などではない場合、基本の過失割合は「A:B=20:80」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)となります。

交差点ではない場所で横断する自転車と、直進する車もしくはバイクの事故

どちらかといえば自転車が歩行者に近い動きをすることで、交差点でも横断歩道でもない場所で、自転車と車、もしくはバイクの事故が起こることもあります。こうした場合、強者である車(もしくはバイク)側は、自転車が人に近い動きをすることも想定しておくことをある程度求められることになります。具体的な状況や基本の過失割合などを確認していきましょう。

交差点ではない場所で横断する自転車と、直進する車もしくはバイクの事故

(20)自転車が交差点や横断歩道ではない道路を渡る場合

交差点ではなく、横断歩道もない場所で、歩道から自転車が道路を横断しようと飛び出してきた場合、基本の過失割合は「A:B=30:70」(Aが自転車、Bが車もしくはバイク)です。
車側の過失が重く見られますが、交差点でもなく横断歩道でもない場所であることから、自転車にも一定の過失があったと判断されます。
ただし、事故の発生場所が幹線道路であった場合など、本来自転車が横断すべきではない場所であれば過失割合にはさらに修正が入り、自転車側の過失が大きくなることもあるでしょう。

自動車保険に加入して、万が一の事故に備えよう

自転車対車もしくはバイクの事故は、車やバイク側の基本的過失割合が高くなるケースが多いです。事故状況によっては、思わぬ額の賠償金を支払わなくてはいけない場合や、強制保険である自賠責保険の補償だけでは、必要な賠償額に満たないこともあります。どんなに気をつけても事故を完璧に防ぐことは難しいため、万が一に備えて任意の自動車保険に加入しておくと安心でしょう。

三井住友海上では、事故後の示談交渉においてしばしば当事者間で意見が食い違うこともある事故時の状況を明確に記録し、証拠としても活用可能なドライブレコーダーをセットする自動車保険「見守るクルマの保険(プレミアム ドラレコ型)」をはじめ、さまざまな自動車保険を取りそろえています。また、事故で被害を受けた場合の損害賠償請求を弁護士に委任する弁護士費用や法律相談費用などを補償する「弁護士費用特約」をはじめ、必要な特約をおひとつから組み合わせていただくことも可能です。
この機会に、もしものときの備えとして、自動車保険の加入や補償内容の見直し、必要な特約の追加を検討してみてはいかがでしょうか。

示談について詳しくは以下のページをご覧ください。
示談書とは?交通事故での作成のポイントや記載事項などを解説

弁護士費用特約について詳しくは以下のページをご覧ください。
自動車保険の弁護士費用特約とは?メリットや使う場面、注意点を解説

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■記事監修
弁護士 坂本 玲央(東京弁護士法人)

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