
2023.07.14
居眠り運転の反則金や違反点数は?居眠り運転防止のためにできること

2023.07.14
居眠り運転の反則金や違反点数は?居眠り運転防止のためにできること
車の運転中に眠気が襲ってきた経験は、ドライバーなら誰にでもあるのではないでしょうか。しかし、眠気をそのままにして運転する「居眠り運転」は、非常に危険な行為です。居眠り運転による交通事故は、絶対に避けなくてはなりません。
この記事では、居眠り運転で交通事故を起こした場合はどうなるのか、車の運転中に眠くなる原因のほか、居眠り運転を防ぐための方法などを解説します。
目次
居眠り運転とは車の運転中に居眠りをしてしまう行為のこと
居眠り運転とは、車の運転中に居眠りをしてしまう行為を指しています。道路交通法では、居眠り運転について直接的に定めた条文はありません。しかし、同法第70条には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」という「安全運転の義務」が定められています。つまり居眠り運転は、この「安全運転義務違反」にあたるのです。
居眠り運転で交通事故を起こすと、運転免許に違反点数2点が加算されます。さらに普通車の場合は、反則金9,000円が科されることになります。
居眠り運転が過労運転と判断されることも

車の運転中の居眠りが原因で交通事故を起こしても、すべて居眠り運転だと判断されるわけではありません。状況によっては居眠り運転ではなく、過労運転と判断されるケースもあります。
過労運転は、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と、道路交通法第66条「過労運転等の禁止」で明確に禁止されています。
もし、居眠りが原因で交通事故を起こしても、居眠りの原因が過労や何らかの疾患、薬物の服用にある場合、居眠り運転ではなく過労運転となるのです。
注意したいのは、居眠り運転より過労運転のほうが、はるかに科される罰則は重いこと。その理由は、「正常に運転ができないおそれ」があるにもかかわらず運転しているからです。
具体的には、運転免許の違反点数が25点加算されます。これは、無免許運転や酒気帯び運転とほぼ同等の罰則です。前歴がなくても運転免許取り消し対象となる上に、2年間は運転免許を取得できなくなります。
また、居眠り運転のように、一定期間内に反則金を支払えば、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに事件が処理される交通反則通告制度の適用もありません。民事責任と刑事責任を問われるほか、刑事罰として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるのです。
居眠り運転で起きた交通事故の事例

居眠り運転は、ハンドルやブレーキ操作による危険回避ができないため、重大事故を引き起こすことがあります。事業用自動車の居眠り運転によって起きた交通事故は、以下のとおりです。
■居眠り運転で起きた交通事故
発生年月日 | 事故要因 |
---|---|
2014年11月 | 疲労と睡眠不足で集中力が低下したドライバーが、休憩場所を探しながら走行していたところ、前方車両の減速に気づかず追突。計9名が軽傷を負い、タンク車に積載していたガソリンなどが路上に漏れ出た。 |
2016年3月 | 連続する乗務の疲れから居眠り運転をしたドライバーが、渋滞で停止中の車列に気づかず、回避操作もせず約80kmで追突。相手車両のドライバー2名が死亡し、計4名が軽傷を負った。 |
2016年10月 | 長時間労働による疲労の蓄積で居眠り運転をしたドライバーが、車道を進む秋祭りの参加者に突っ込み、引いていた太鼓台に衝突、秋祭りの参加者のうち1名が死亡、5名が重傷、34名が軽傷を負った。 |
- ※国土交通省「事業用自動車事故調査委員会 報告書」
車の運転中に眠くなる原因
車の運転中に眠くなる原因は、多くが疲労と睡眠時間の不足です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」(2014年3月)においても、「睡眠時間が6時間未満の人は、7時間の人と比べて居眠り運転の頻度が高い」「交通事故を起こした人で、夜間の睡眠時間が6時間未満の場合、追突事故や自損事故の頻度が高い」ことが国内外の研究結果として示されています。
車の運転中に眠くなる原因として、睡眠時間以外では以下のような要素が関係しています。
病気の影響
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が停止した状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。SASによって十分な睡眠がとれず、結果として居眠り運転をすることがあります。ドライバー自身がSASであることを自覚していないケースも多くあるので注意が必要です。
薬物の作用
道路交通法第66条では「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」とされています。この薬物とは、危険ドラッグや麻薬などに限ったものではありません。ドライバーが服用した花粉症の薬や風邪薬などの副作用によって、眠気を引き起こし、居眠り運転となってしまうこともあります。
食事による作用
食べすぎや早食い、糖質の多い食事は、食後の血糖値が急上昇と急降下を起こす「血糖値スパイク」を起こすことがあるので注意してください。血糖値スパイクは、眠気や倦怠感、集中力の低下を招くおそれがあります。
高速道路催眠現象
高速道路のような景色の変化が少ない道路を一定速度で走っていることで、睡魔に襲われたり、意識が朦朧としたりする「高速道路催眠現象」という現象があります。これも居眠り運転の一因です。
居眠り運転を防ぐ方法

居眠り運転を防ぐためには、疲労を溜めないことや睡眠不足にならないようにしっかり睡眠をとること、眠気を感じたらすぐに休憩や眠気覚ましの対処をすることが重要です。
居眠り運転を防ぐためにすぐにできる方法を、詳しく見ていきましょう。
カフェイン摂取+15分以上の仮眠
コーヒー1、2杯程度のカフェインを摂取するだけでなく、15~30分程度仮眠をとると、高い覚醒効果があります。公益財団法人高速道路調査会の「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究」においても、居眠り運転対策としておすすめされています。
覚えておきたいのは、カフェイン摂取の効果は少なくとも15分経過後。ドライバーの約30%は、15分以内にカフェインの効果が出ると誤った認識をしているそうです。
長時間運転の際は2時間の走行ごとに休憩を挟む
長時間の運転は、気づかないうちに疲労が蓄積しています。2時間の走行ごとに休憩して、疲労回復に努めたいところです。高速道路には50kmごとにサービスエリア、15kmごとにパーキングエリアがあるので休憩に活用しましょう。休憩時は、車から降りてストレッチしたり、カフェインや糖分を含む飲み物を飲んだりすると、疲労回復に効果的です。
日頃から適切な睡眠時間を確保するように心掛ける
居眠り運転防止の大前提として、日頃から適切な睡眠時間を確保し、疲労回復するよう心掛けることが大切です。十分な睡眠時間に加え、生活リズムを整えたり、睡眠前のスマートフォン使用などを避けるようにしたりして、質の高い睡眠がとれるように工夫してみてください。
同乗者と話したり、音楽を聴いたり、ガムを噛んだりする
同乗者がいる場合は、会話に付き合ってもらう方法も有効です。刺激的な音楽を聴いたり、ガムを噛んだり、窓を開けて外気を取り込んだりすることでも、一時的な覚醒効果が期待できます。ただし、持続性には欠けるので注意してください。
ドライブレコーダーの居眠り運転検知機能を活用する
AI(人工知能)がドライバーの眠気を検知する機能がついたドライブレコーダーも販売されています。
例えば、三井住友海上の自動車保険にセットできるプレミアムドラレコ型には、インカメラの「顔認証」で、ドライバーの表情や挙動を検知してアラートでお知らせする機能が備わっています。
ドライブレコーダーは、自分の居眠りを防ぐだけでなく、自分が居眠り運転の被害にあった時の証拠として活用できることもあるので、活用を検討してみましょう。
居眠り運転による事故で、過失割合に影響は?
「過失割合」とは、交通事故の当事者双方の事故に対する責任の割合を数字で表したものです。
交通事故では、過去の判例などから、事故の類型ごとに「基本の過失割合」が存在しています。実際の事故では、この基本の過失割合をもとにしつつ、個別の状況を加味して修正が加えられ、最終的な過失割合が決まるのが一般的です。この過失割合にもとづいて、賠償金が支払われます。
過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
交通事故の過失割合とは?決め方や流れ、不満が残るときの対策を解説
過失割合は「加害者:被害者=80:20」といったように割合で表されます。しかし、加害者側が居眠り運転をしていた場合は、加害者側の過失割合は10~20%加算されるのが一般的で、「加害者:被害者=90:10」や「加害者:被害者=100:0」になることもあるのです。
ただし、過失割合を修正する個別状況は、居眠り運転だけではありません。「スピードを出しすぎていた」など、被害者側にも過失割合を加算される状況があれば修正が加えられます。
事故パターンごとの基本の過失割合について詳しくは以下のページをご覧ください。
【交通事故の過失割合】車同士の事故の場合をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車対バイクの事故の場合をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車と歩行者の事故をパターンごとに解説
【交通事故の過失割合】車・バイクと自転車の事故をパターンごとに解説
居眠り運転対策にドライブレコーダー付き自動車保険がおすすめ
居眠り運転は、重大な交通事故を招く可能性があります。居眠り運転による事故を起こさないために、日頃から十分な睡眠をとることはもちろんですが、カフェイン+仮眠をとったり、長時間の運転時は2時間ごとに休憩をとったりするなど、しっかり対策しましょう。ドライバーの眠気検知機能がついたドライブレコーダーの活用もおすすめです。
三井住友海上では、眠気等、ドライバーの危険運転を検知する機能を備えたドライブレコーダー付きの自動車保険プランをご用意しています。事故発生時に録画映像を証拠として使えたり、事故緊急自動通報サービスにより事故対応のサポートを受けられたりするなどメリットが多いので、ぜひ加入を検討してみてください。