1. 救助報酬の担保要求と差押え

救助契約が「ロイズ救助契約標準書式」で締結された場合は通常、救助業者は救助作業を完了すると、ただちにロンドンで事務弁護士(Solicitor)を選任し、救助した船舶、積荷の価額や救助作業内容を考え、担保金額(Security)を通知してきます。ロイズ評議会は、これを受けて船主、荷主に担保の提供を求めてくるので直ちに保険会社と相談する必要があります。
上記担保の提供があるまで、救助業者は船舶、積荷を留置する権利があるので迅速な手配が必要です。タイムリミットは作業終了日より21日以内となっております。当社の場合は、当社もしくは英国所在の当社代理店からロイズ評議会あてに保証状(Letter of Guarantee)が提出できるので船舶はすぐに運航できます。
積荷とともに救助された場合、船舶保険者は船舶の救助費分担相当分だけしか担保を提供できませんので積荷相当分は荷主に手配していただくか、やむを得ぬ場合は船主が荷主に代って銀行保証状の手配をし、ロイズ評議会に提供して船貨の留置を解除してもらい、仕向港で荷主から共同海損盟約書(Average Bond)と積荷保険者の共同海損分担保証状(L/G)を取付けて積荷を引渡すケースも考えられます。

2. 仲裁(Arbitration

被救助者と救助業者との間で救助報酬について協定が成立しないときは、ロンドンにおける仲裁によって報酬額を裁定してもらうことになります。この場合船舶側としても事務弁護士の選任が必要となりますが、当社経由で有能な弁護士の手配が可能です。

仲裁のためには、次のような資料が必要となります。

  • 署名された救助契約書(写)
  • 航海日誌、機関日誌およびベル・ブック
  • 本船の使用海図
  • 事故発生から救助完了まで本船が受発信した電文、FAX等の写
  • 遭難時から救助完了後7日間の天気予報と気象情報
  • 遭難で被った損傷と救助作業で受けた損傷についての鑑定書
  • 船位鑑定書
  • 修繕費関係証拠書類
    (造船所請求書、損傷図、検査料請求書、その他)
  • 船荷証券、インボイス、パッキングリスト、ストウェージプラン
  • もしあれば用船契約書(写)
  • 海難報告書、もしあれば地方海事調査機関に提出した報告書(写)
  • 船長報告書(Statement of Fact
  • 救助完了時の燃料の種類、量および価格
  • 救助船船長と交わした確認書
  • 積荷損害についての鑑定書と損害明細書
  • 安全無線電信証書、安全構造証書、安全設備証書、国際満載吃水線証書
  • 一般配置図、外板展開図など
  • 船級協会鑑定書