日本籍船(あるいは日本の便宜置籍船)同士の衝突事故の示談交渉は、両船が本邦の保険会社に付保されている場合が多いため、船主の皆さまと協議しながら保険会社同士の話合いにより円満に解決される場合が多いといえます。
示談は、双方の損害額と過失割合を話合いにより取決め、それぞれ相手の損害額に対する自船の責任割合分を支払うことになりますが、実際の損害賠償金の精算は双方の賠償金を相殺した差額を支払うのが一般的です。
両船の損害が軽微である場合には話合いによって示談できますが、損害額が大きい場合は、海難審判の裁決結果を参考にして示談します。
外国船との衝突の場合は弁護士を通じての交渉となりますが、考え方は基本的には同じです。ただし、外国の領海あるいは公海での衝突についてはどの国の法律に従って解決するのかにより差がでてきます。国によっては特別の航法を定めている地域もありますし、船主責任制限の考え方も異なります。(特に船主責任制限についてアメリカ合衆国においては船主に対して厳しい考え方が支配的です。)なお、示談で解決できない場合は訴訟において解決を図ることとなります。