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「グリーンインフラ」としての可能性

自然環境が持つ多様な機能や恵みを、防災・減災など社会課題の解決に役立てるグリーンインフラという考え方が注目されています。
駿河台緑地は、都心にあるグリーンインフラとして、自然環境と、いきものと人の営みのよりよい関係をめざしています。

快適性と機能を備えた

「グリーンインフラ」としての駿河台緑地

駿河台ビルでは、建物の壁面や屋上庭園の緑地も、街路や広場の緑地も、いきものと人のことを考えてつくられています。「東京という都会の生物多様性はどうあるべきか」「損害保険会社の本社ビルとして、自然災害にいかに対処するか」といった社会的な視点からの配慮がなされているのです。さらに建物や敷地内のあちこちに、豊かな地球環境を守るために、あるいは失われた地球環境を取り戻すために、貴重なエネルギーや水資源の節約を促す工夫が盛り込まれています。

駿河台緑地マップ

駿河台緑地マップ
木

仕組み 01

壁面緑化

建物や土地の温度上昇を抑制する壁面緑化

壁面緑化とは、建物の壁を植物で覆うことをいいます。土地が限られる都心部では、縦の面積も有効に使うことが求められます。これによって美しい景観を作るだけでなく、植物を求めるいきものの誘引効果、建物の温度上昇を抑えることによるヒートアイランド対策や省エネルギーへの効果が期待されています。在来種の壁面緑化に加え、一部区画では壁面緑化にどんな植物が適合するかを見極める実験も行っています。

木

仕組み 02

レインガーデン

都市型洪水を防ぎ、
雨水を再利用するレインガーデン

レインガーデンは地上に降った雨水を下水道に直接放流せず、植栽された土壌を通して時間をかけて地下にしみこませる仕組みです。晴れているときはガーデンとして、雨が降ったときは雨水の一時的な貯留槽・浸透施設として機能します。駿河台緑地内の歩道にモデルとして小さなレインガーデンを2基設置していますが、いわば駿河台緑地全体がレインガーデンといえます。平均1mの土壌の厚さがあり、土の状態がよい屋上庭園は、約2,500㎡の面積で推計約750㎥※の雨水を貯留できるのです。これだけの深い土壌を支えるため、建物側の平均耐荷重は2,000kg/㎡あります。

これに加え、駿河台ビルの地下には大型の雨水槽があり、ゲリラ豪雨等で一気に下水に流れる水をこの雨水槽が受け止めることで都市型洪水の緩和に貢献しています。この雨水槽は水循環の中心にもなっており、貴重な水資源の節約にも役立っています。
※時間降雨量100ミリの雨が3時間降った量。一般的な25mプール(480㎥)の1.5個分に相当(1レーン:2m×8レーン、深さ1.2mで計算)。

水循環の仕組み
木

仕組み 03

街路樹・複列植栽

良好な街並み景観の拡充に
貢献する街路樹・複列植栽

ビル周辺の通りには、緑量のある街路樹が整備されています。かつては歩道幅員が狭く、街路樹のための十分な植栽スペースが確保されていない状況にありましたが、2012年の再開発時に大幅に環境整備を実施。周辺地域・行政と連携して「電線の地中化」を行うなどして樹木の植栽や2列植栽化を進め、緑豊かな街並み景観の保全・拡充を図りました。駿河台ビル建設時からある既存の特殊街路樹等の貴重な緑資源は保存しながら、生物多様性の観点に配慮して、チョウや鳥を呼ぶ樹木を選んでいます。

Column

くすのき

駿河台緑地を見守る「くすのき」

駿河台ビルからの地下鉄連絡となる「くすのきプラザ」。この壁の中には、ビル建設前からこの地に生きる在来種「くすのき」の根があります。2012年の再開発に伴う地下鉄出口設置工事の際、壁を曲面状にすることでくすのきの根を傷めないようにし、そのままの形で保存できるようにしました。
そうやって守ってきたくすのきですが、あまりにも大きく育ったため、枝が折れて通行する人にケガをさせてしまうのではないか、一定の高さまで伐採したほうがよいのではないかと心配する声が出てきました。しかし伐採は木にダメージを与え、集まるいきものにも影響します。話し合った結果「倒木・枝折れ管理マニュアル」を作成し、いきものにも人にも影響の少ない方法を取ることにしました。こうして、くすのきは今でも大きな体で駿河台緑地を見守り続けています。

Interview

損害保険会社が運営することに意義がある

三井住友海上駿河台ビルは、まだビルにおける緑化が一般的ではなかった1984年から、4割を超える緑地を備え、時代に先駆けた都市緑化である。屋上庭園では年中、ほぼ天水だけで高木を育むことができるのは、水持ちがよく、フカフカとした良質な土壌が維持されていることの表れだ。雨水を土が貯留する力が高く、豪雨の際も緑地から水が流れ出ることなく、周囲の浸水を防ぐ効果がある。健康的な土壌は、高木や低木、草花など多様な植生を丁寧に維持することで保たれ、そこにはいきものも多く集う。
ビルの地下には3500トンの大規模な雨水槽も備え、館内で有効活用されていることも特筆すべき点だ。損害保険会社が緑と水といきものをつなぐビルを運営していることに大きな意義がある。現在、三井住友海上を含むMS&ADグループと熊本県球磨川流域における緑の流域治水プロジェクトを協働している。都市と地方部、それぞれで緑のもつ多面的な機能の社会実装を一緒に推進していきたい。

島谷幸宏氏

熊本県立大学 特別教授

島谷幸宏

(しまたにゆきひろ)氏

建設省(現国土交通省)時代に河川の自然再生に携わる。河川環境研究室長、国土交通省九州地方整備局武雄工事事務所 所長、九州大学大学院教授を経て、2021年から現職。博士(工学)。専門は河川工学、河川環境。最近はグリーンインフラ、流域治水、小水力発電導入等に取り組んでいる。

Other Initiatives

駿河台ビルにとどまらない
三井住友海上とMS&ADホールディングスの環境取組

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