現在地
ホーム>会社情報>サステナビリティ>駿河台緑地>緑地の生物多様性と地域コミュニケーション
緑地の生物多様性と<span class="br br--sp">地域</span><span class="br br--sp">コミュニケーション</span>

緑地の生物多様性と地域コミュニケーション

都会の中で、植物や鳥、虫等のいきものと人がともに心地よくいられる場所でありたい。周りの緑地とのつながりを考えて緑化することで、自社だけで取り組む以上の効果が生まれています。地域の人たちが楽しめる緑地、未来に価値を残せる自然資本として、駿河台緑地を拠点とした生物多様性への挑戦を続けています。

Green Ecosystem

緑化がもたらした、いきもの豊かな生態系

駿河台緑地では、都会の中にいきもの豊かな生態系をつくることをめざして、植栽や土壌、水等について綿密な計画を立てて環境づくりをしています。飛来してほしい野鳥が好む植物、呼び寄せたい虫たち等、各分野の専門家と協力して幅広い観点から検討を重ねた上でさまざまな施策をうち、その効果を継続的にモニタリングし、ときには軌道修正も加えながら、着実に前に進めてきました。そうした取組の結果、以前までは見られなかったいきものがこの緑地を訪れるようになっています。

さらに、いきものだけでなく人にとっても心地よい場所となることを考えてきたことが実を結び、緑地を使ったイベントへの子どもたちの参加や、屋上菜園を利用する人たちからの喜びの声等、地域とのコミュニケーションの場にもなっています。

駿河台緑地に集うヒメアマツバメの様子 <時間:1分27秒>
本動画では、駿河台緑地に営巣するヒメアマツバメの姿を紹介しています。生物多様性に配慮した緑地には、都心では珍しいヒメアマツバメをはじめ、さまざまないきものが集まってきます。[2022年12月上旬の様子]
生態系の背景イラスト
歩く男性
歩く女性
歩く男性
歩く男性
羽ばたく鳥
羽ばたく鳥
羽ばたく鳥
羽ばたく鳥
羽ばたく鳥
羽ばたく鳥

Wild Birds, Insects and Plants

駿河台緑地で見ることができる野鳥・虫・植物たち

以下の野鳥・虫・植物たちの写真は、すべて駿河台緑地で撮影されたものです。

野鳥の種類

皇居と上野公園の中間に位置する駿河台緑地には、両拠点を往来する野鳥が羽を休める場所として、さまざまな野鳥が飛来します。ハヤブサをはじめ、都心ではあまり目にすることがない貴重な野鳥も訪れています。

キジバト
ジョウビタキ
シロハラ
スズメ
ハヤブサ
ヒメアマツバメ
ヒヨドリ
メジロ

    植物の種類

    宿根草・花等の植物は、虫が花粉媒介を行うものを中心に選定しています。初春からできるかぎり長期間蜜源が持続するように開花時期を連続させており、駿河台緑地では年間を通して花を見ることができます。

    アジサイ
    ウメ
    カワヅザクラ
    カキツバタ
    クリスマスローズ
    サンシュユ
    ツワブキ
    リンゴ

      虫の種類

      駿河台緑地には、トンボやチョウ等、おなじみの虫たちもたくさん生息しています。花粉を求めて花から花へ移動する虫たちの行動によって、野鳥の餌となる蜜源の確保が可能になるとともに、駿河台緑地の豊かな緑が保たれているのです。

      アキアカネ
      アサギマダラ
      キイロテントウ
      ナツアカネ
      ナミアゲハ
      ヒキガエル
      ホタルガ
      ルリタテハ幼虫

        Ecological Network

        生態系ネットワークを築くために

        取組 01

        在来種を優先し、1本1本考えながら選んだ植栽

        2012年の再開発時には、飛来してほしい野鳥が好む実をつける樹種、薬剤による病害虫防除が不要な樹種、人へのアレルギーを起こさない樹種、多様ないきものが集まれるよう高木から低木までさまざまに、そして花期が途切れないように…と1本ずつ考えながら選定しました。さらにはできるだけ自生種や関東一円の在来種を優先することで、地域本来の環境を大切にする方針を取っています。

        樹種ごとの細かい検討

        薬剤による病害虫防除が不要で、アレルギーフリーの樹種

        自生種や関東一円の在来種をできるだけ採用

        とくに、誘致目標種の野鳥が採餌、営巣のために好む樹種

        樹種

        蜜源

        この木に集まる野鳥は?
        (誘致目標種/飛来確認済み)

        呼べる可能性の
        あるチョウ

        在来種

        アレルギー

        害虫

        エノキ

        アカハラ、シメ/シロハラ、ルグミ、メジロ、ムクドリ 等

        ゴマダラチョウ 等

        カキノキ

        有力

        アカハラ/ジョウビタキ、ツグミ、ムクドリ、コジュケイ 等

        キタテハ 等

        サルスベリ

        普通

        コゲラ/ムクドリ、シジュウカラ

        アブラムシ

        年間を通して蜜源を確保し、
        野鳥や虫にとって魅力的な場所に

        駿河台緑地は、春夏秋冬、常に野鳥や虫たちに集まってもらえる場所をめざしています。宿根草(シーズンを過ぎても根が残って、毎年花を咲かせる草)や花木は、昆虫が花粉媒介を行う種類のものを選び、初春からできるかぎり長く蜜源が持続するように開花時期を連続させる考え方で選ばれています。

        宿根草や花木

        前庭広場の花ごよみ

        建物の前に広がる前庭広場には、四季を通じてさまざまな⽊々が、花や実をつけます。

        植物名

        3月

        4月

        5月

        6月

        7月

        8月

        9月

        10

        11

        12

        1月

        2月

        常緑⾼⽊

        クロガネモチ

        シロダモ

        ソヨゴ

        落葉⾼⽊

        エノキ

        マユミ

        ヤマモミジ

        カキノキ

        サルスベリ

        黄葉

        紅葉

        紅葉

        常緑低⽊

        クチナシ

        サツキツツジ
        ヒラドツツジ

        キンメツゲ

        アセビ

        ナンテン

        新緑

        落葉低⽊

        ニシキギ

        ヤマハギ

        ヤマブキ

        ハコネウツギ

        ヤマツツジ

        ドウダンツツジ

        ユキヤナギ

        紅葉

        紅葉

        地被類

        オタフクナンテン

        ヤブコウジ

        ツワブキ

        ビンカミノール

        紅葉

        取組 02

        野鳥が安心して利用できる緑地を作る

        屋上庭園には、人の立ち入りを制限しているバードサンクチュアリがあります。サンクチュアリ内にはビオトープや水飲み場のバードバスを設け、地面は敢えて粗放管理とすることで土壌生物等のいきものが発生しやすくしています。土壌生物を食べる昆虫が集まってくるため、野鳥にとって採餌しやすく、人がいないので安心して営巣できる場所です。
        また、庭園内には常緑樹と落葉樹をバランスよく植栽しています。常緑樹は剪定しすぎないように管理していますが、これで鳥たちは冬でも外敵から身を守る場所を確保できるのです。

        バードサンクチュアリ

        取組 03

        生態系にも人にもやさしい混ぜ垣

        花が咲く樹種、実がなる樹種、香りが楽しめる樹種、色が美しい樹種。駿河台ビルの屋上庭園は馬蹄型で、内側の生け垣はいろいろな樹種を交互に植える「混ぜ垣」の形を取っています。当初はチョウを呼ぶためツバキやサザンカのみの樹種にしていましたが、チャドクガが発生したため、薬剤散布しないための根本的な解決方法を検討しました。混ぜ垣の配置で、ある虫が好む樹種の隣にその虫が嫌う樹種を植えることで、仮に害虫が発生しても被害が広がりにくくなることがわかりました。こうした努力で日常的にほとんど農薬を使わず維持管理ができています。人体や自然環境への影響を配慮するとともに、訪れる人々に四季を通して、樹木の恵みを感じてもらえる混ぜ垣です。

        混ぜ垣

        取組 04

        継続的なモニタリングで緑地の意義を確認

        「鳥には翼があるから、嫌な場所だなと思ったら来ない。だから、野鳥のモニタリングをすれば緑地が魅力的なものになっているのか確認できると思って始めたんです」社員によるボランティア団体「MS愛鳥倶楽部」による探鳥会を始めた理由を元社員がそう語りました。月に2回開催していた社員による探鳥会は、会社が主催して地域の人たちと一緒に行う活動へと変化し、現在も月に1回継続しています。
        それに加え、野鳥のためにバードバスやビオトープを作り、5ヵ所に自動撮影カメラを設置しました。この記録の分析を法政大学人間環境学部の高田先生とゼミ生に依頼し、毎月のデータを集計いただいています。分析から「個体数と種数に全体的な増加傾向がみられる」ことや「周辺にまとまった緑地の少ない本地域で、駿河台緑地が移動(漂鳥を含む渡り鳥)と滞在(留鳥)の両面で重要な役割を果たしている」などの報告があり、生物多様性への取組が実を結んでいることを実感しています。

        モニタリングデータ

        敷地内5ヵ所に設置したモニタリングカメラによるデータの一部。

        Environmental Communication

        環境に関する地域とのコミュニケーション

        自然と人が交わる情報発信基地ECOM駿河台

        ECOM駿河台は、環境(ECO)とコミュニケーション(COMMUNICATION)をコンセプトにつくられた地域に開かれたコミュニケーションスペースです。一階は気軽に食事が楽しめるダイニングレストラン、二階は展示・イベントスペースになっています。
        イベントスペースでは、自然を題材にした作品に取り組むアーティストの作品展示や環境・いきもの保護活動等に携わる団体と共催の写真展などの他、自然をもっと知って楽しんでもらうことを目的とした講座やワークショップを開き、大人から子どもまでいろいろな人が立ち寄る場所になっています。また、ECOM駿河台では、社員と地域の皆さんが一緒に参加するイベントも開催しています。

        ECOM駿河台

        都心で野菜づくりができる屋上菜園

        屋上庭園の一角には、屋上菜園を設けており、周囲をビルに囲まれた都心で野菜づくりが行える貴重な場所になっています。25区画、各約6㎡の屋上菜園は、地域の皆さん(30分圏内に在住・在勤の方)や社員に2年間無償で貸し出しています。初心者でも、屋上菜園栽培のプロによる有料のアドバイスとサポートを受けて、季節ごとの野菜やハーブを育てることができます。近隣の保育園の利用もあり、先生たちが育てたお芋を子どもたちが収穫するイベントも行われました。申し込みの順番待ちが出るほどに、皆さんから親しまれる存在になっています。
        田んぼのスペースもあり、地元の小学校の児童が来園して、田植えや稲刈りの学習体験も行っています。

        屋上菜園

        Interview

        生命の鼓動と息吹あふれる緑地

        2014年の春にご縁をいただいて学生とともに探鳥会を始め、以後、ビル渓谷を流れる清流のような風薫るこの緑地の虜になりました。
        2016年からはバードバスに取り付けたカメラのデータ集計と分析に関わり、馴染みの常連鳥の仕草や不意に訪ねて来る珍客鳥たちにいつも爽やかな発見と感動を与えられています。
        いかにここが都内の大きな緑をつなぐ役割を果たし、鳥たちに安息のひと時をもたらしているかは、年々の飛来数と種数の増加が物語っています。
        緑に施すちょっとした工夫が彼らを惹きつけてやまないのではと想像します。
        毎月の探鳥会では探せば隠れ、油断すると現れる鳥たちとの駆け引きが密かな楽しみで、それも頭上を乱舞するヒメアマツバメにはお見通しなのかもしれません。
        常緑に紛れて姿は見えずとも生命の鼓動と息吹あふれる、そんな魅力いっぱいの緑地です。

        高田雅之氏

        法政大学 人間環境学部教授

        高田雅之

        (たかだまさゆき)氏

        2016年から駿河台ビルの屋上に飛来する野鳥を観察する会「探鳥会」を、一般参加者やゼミの学生らとともに定期的に実施。いきものと都市の共存について研究を重ねている。専門分野は自然環境政策、景観生態学、生物多様性、保全生態学。

        ページの先頭へ