地震発生後、数時間のうちに災害対策本部を設置

2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード6.5の地震が発生。その28時間後の4月16日1時25分に、同じ熊本地方を震源とする、マグニチュード7.3の地震が発生しました。これは1995年の阪神・淡路大震災と同じ規模です。気象庁は4月14日の地震を前震、4月16日の地震を本震とする見解を発表。この地震で、熊本を中心とする数々の地域が甚大な被害を受け、多くの人々が避難生活を余儀なくされました。

福岡県福岡市にある、三井住友海上火災保険 九州損害サポート第一部に所属する多くのメンバーが前震に遭ったのは、ちょうど帰宅途中。周囲にいる通行人の携帯電話から、一斉に緊急地震速報のアラームが鳴る異常事態に、メンバーたちは誰かの指示ではなく自主的に会社に戻りました。そこからすぐに、4つの会議室の間仕切りをはずし、机を搬入して、書類を並べるラックを作成。夜遅くまでかかって災害対策室を設置しました。

岡本

九州地方は、全国的にも台風や集中豪雨をはじめとする自然災害が多い地域であり、九州損害サポート第一部のメンバーは、災害に対する思いや意識が特に高く、今回の地震でも自主的に会社に戻ってきました。また、熊本支店(営業店)とも密に連携し、現地の状況を早くから把握していました。そして、お客さまから被害のご連絡を数千件規模で一斉にいただいても対応できるような、熊本地震の保険金のお支払いを専門に行うための災害対策室を設置したのです。

前震の翌日4月15日には、お客さまのもとに赴いて被害状況を確認する「立会調査」実施のための拠点を、熊本に設置。その後、4月16日の本震を受けて、久留米と大分にも立会拠点を設置しました。

「すべてはお客さまの信頼に応えるために」を合言葉に

前震の翌日4月15日の時点で、お客さまからの被害のご連絡はすでに1,290件。福岡の災害対策室では、約100名体制でお客さま対応にのぞみつつ、東京の本社人事部をはじめとする各所との連携により、さらなる増員対応を進めました。

「少しでも早くお客さまに安心をお届けしたい」という思いから、九州損害サポート第一部では臨戦態勢をとりました。通常は自動車の事故対応を行っている社員を含め、総勢135名が地震後初めての週末となる4月16日~17日に休日対応を行い、1,500名を超えるお客さまに(被害のご連絡を受け付けていることと現場確認までには1週間から2週間程度を頂戴したい旨の)電話対応を行いました。その翌週末には総勢200名が休日対応を行い、3,500名を超えるお客さまに、ご自宅への訪問日時のお約束の電話連絡を行いました。

岡本

災害対策室や立会拠点の全員が「すべてはお客さまの信頼に応えるために。その価値観だけはブレないように」と、心を1つに合わせていました。社員・鑑定人・派遣スタッフ等、最終的には約350名の体制でお客さま対応にあたりましたが、人数は増えても価値観は一貫していました。

今回の熊本地震では、地震発生11日後という過去の対応より早い段階で「まごころコール」を3,000名のお客さまへ一斉に実施しました。「まごころコール」とは、被害の連絡をいただいていないお客さまに対して、当社から「大丈夫ですか?被害はありませんか?」と電話でお声がけさせていただくことです。

また、災害対策室や立会拠点の4カ所と東京本社を結んで、毎日決まった時間にWeb会議を実施。これにより、このプロジェクトにかかわる全員が、顔を合わせながら意思疎通できました。さらに、本社が考える問題点や次の施策、拠点側が抱える問題や行動すべきことをいち早く共有でき、迅速に次の一手を打つことができたのです。

お客さまに寄り添う対応を、現地や災害対策室で徹底

この熊本地震では、鉄道や高速道路等の交通網が麻痺し、被災地では日用品・食料等の物資不足に陥りました。三井住友海上では、前震の翌日4月15日から支援物資の発送を開始。時には福岡で調達した物資を何台ものタクシーに積んで届けてもらいました。また、一般道を使って片道7~8時間かけて立会へ行くこともありました。さらには、宿泊施設がなかなか確保できず、旅館の大部屋に大人数で宿泊することもありました。

そうした中でも、実際に立会調査を実施する際には、できるだけ被災されたお客さまに寄り添った対応を心がけました。しっかりと身分を証明するための名刺や腕章、室内での立会調査用使い捨てスリッパ等の使用を徹底。現場ではつねに、三井住友海上の調査員として見られていることを意識して行動しました。

村田

私は熊本立会拠点のまとめ役として、現地に滞在。立会調査にも何度か同行し、実際にお客さまとお話しさせていただくこともありました。やはり、多くのお客さまは不安を抱えた状況にありましたので、単純に調査をしてお支払金額をお伝えするだけではなく、お客さまに積極的にお声がけしたり、親身になってお話を聞いたりするよう努めました。お客さまの中には、当社の訪問や対応に涙を流して喜んでくださる方もいらっしゃり、その後の震災対応業務にもさらに力が入りました。

全社一丸となった対応で、いち早くお客さまに安心をお届けできた

今回の熊本地震の対応にあたって、さまざまな取組を実施しました。どの取組に対しても「すべてはお客さまの信頼に応えるために」という価値観を全員が共有したおかげで、本震後約1か月で80%のお客さまに保険金のお支払いが完了。いち早くお客さまに安心をお届けすることができたのです。

岡本

お客さまからも「他社のどこよりも早く立会に来てくれてうれしかった」、「契約者に寄り添った好感が持てる対応でした」等の声をいただきました。1日も早くお客さまに安心や保険金をお届けすることが、災害対策室の使命だと思い行動してきましたので、「こんなに早く対応してもらえると思わなかった」という感想をいただけたことは、対策本部を管理していた立場として、本当にうれしいです。

2016年10月現在、ご連絡を受けた約2万3,000件の被害のうち、98.7%のお客さまへの保険金のお支払いが完了しました。熊本地震対応は収束しつつありますが、引き続き迅速な対応を行うため、災害対策室は運営を継続しています。

「少しでも早く安心をお届けする」ための取組が、お客さまの不安を払拭するために保険会社がなすべきことであることがわかりました。今後は、災害対応にあたる人員をより効率的に管理できるシステムの充足等により、災害対応のさらなる迅速化を図っていきます。

  • 所属部署、役職、内容は取材時点のものです。

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