「外国籍」という強みを武器に着実にステップアップ

近年あらゆる場面で「グローバル」という言葉を目にするようになりました。実際にコンビニエンスストアや飲食店等で外国人スタッフの接客を受けることも少なくなく、日常生活の中でもグローバル化を感じる場面が多々あると思います。外国人留学生の日本企業への就職率も増加傾向にあり、当社においても、現在多くの外国籍社員たちが外国籍ならではの視点を武器に活躍しています。国際業務部 業務チームに所属する叶さんもその中の一人です。

「日本の大学院を卒業する際、あらゆる進路を考えましたが、2011年に東日本大震災を経験したことで、自然災害が多発する日本を支える損害保険に興味を持ちました。また、子どものころから好奇心旺盛でいろいろなことに挑戦したいという思いから、ジョブローテーション制度がある日本企業での就職を考え、あらゆる業界と関わりながら多くの経験を積むことができる当社への就職を志望したのです。」

また、世界中に拠点を持ち、積極的にグローバル化を推進している当社であれば、中国語・英語・日本語の3カ国語を話せるという自身の強みを十分に活かせると感じたそうです。
叶さんは、入社後から現在に至るまで、国際業務部 業務チームにおいて、海外で発生した大きな事故や災害に関する情報を収集・分析し経営に報告するとともに、現地での保険金支払業務が適正かつ迅速に行われるようサポートしています。また、大きな訴訟事案に対しても事実関係を客観的に分析・検証して、適正な対応を働きかけており、今年度からは海外事業の収支に関連する業務にも携わっています。

「国際業務部は地域毎に担当分けをしているので、常に現地のスタッフと密に連携をとりながら案件をサポートしています。米国は大型の訴訟案件、発展途上国はインフラ関連の案件等、国や地域によって発生する業務内容は全く異なるため、入社以来5年間同じ部署に所属していますが、毎日新たなことを学べる環境だと感じます。今年から担当し始めた海外収支も以前から興味があった分野なので、知識を蓄積していきたいです。」

日本で働くことで見えてきた真の「日本文化」とは

着実に経験を積み、現在ではあらゆる業務を担っている叶さんですが、入社当初は日本で働くこと自体に戸惑いを感じることも少なくなかったそうです。
特に大きな違いを感じたのは「コミュニケーションの取り方」。日本では「空気を読む」文化で、相手の表情や行動から気持ちを読み取って行動するということが美徳とされている傾向があります。一方で、叶さんが以前生活していた中国と米国では、「遠慮をしないで言う」ダイレクトなコミュニケーションが求められるため、職場での振る舞いには気を遣っていたと言います。

「大学2年間と大学院2年間の計4年間は日本で生活していたので、それなりに日本文化を理解していたつもりでした。しかし、学生時代は周りに外国人留学生や帰国子女の日本人が多かったこともあり、仕事となるとまた別の話。私にとって、相手の細かな言動から真意を探るのは簡単なことではなく、正直なところ、『はっきり言ってくれないとわかりません!』と思うこともよくありましたが、コミュニケーションの取り方に良いも悪いもありません。日本で暮らし、日本企業に勤めている以上、日本文化を尊重したいという思いがありました。」

そこで、叶さんが常に意識していたのは周囲の人を観察すること。社内での社員同士のやりとりでも電話応対でも、実際に周囲の日本人がどのように他人とコミュニケーションを取っているのかを見て、聞いて、自分のものにしていったそうです。

「今までの私にとっては、『はっきり伝える』ことが当たり前のコミュニケーションでしたが、日本の『相手を尊重し、思いを汲み取る』コミュケーションを身に付けたことで、自身の応対力の幅が広がったと感じています。また、相手の言いたいことを正しく理解できたときや、相手を傷つけずに指摘すべき点を伝えられたときには、『すごい!よくできた!』と自分を褒めるようにしています。」

また、日本で働く中で見えてきたのが「日本人の勤勉さ」だと叶さんは言います。大型台風の通過によって交通網が機能していなくても、出社するために多くの会社員があらゆる手段を駆使して会社に向かう姿に、日本人の仕事に対する責任感を強く感じたようです。

「先日、大型の台風が東京を通過したとき、電車がようやく再開したと思ったら、駅には出社する会社員の長蛇の列ができていました。普段の数倍も混雑する電車に乗り、時間をかけて出社することは、多くの方が『出勤できる環境になったら会社に行って仕事をすべき』という考えだからであり、仕事に対して強い責任感を持っていることに感心しました。」

このように、日本人の多くが仕事に対して強い責任感を持つ一方で、柔軟な働き方ができる環境づくりがまだまだこれからであると叶さんは感じました。しかし近年、育児や介護等、個人が抱えるさまざまな事情を考慮し、当社も含め多くの企業でフレックス勤務やテレワークといった柔軟な働き方の導入・整備が徐々に進められているとも感じているようです。例えば、叶さんの職場では、今年全員がテレワークを経験しました。通勤時間の節約や、打ち合わせや電話等に中断されることなく集中して業務に取り組めるというメリットを実際に体感するとともに、問題なく業務を遂行できたことで以前に感じていたテレワークに対する不安も解消されたようです。今後は、多様で柔軟な働き方ができる職場がより増えていくでしょう。

さらに、働き方の多様性だけでなく、従業員一人ひとりの意欲・能力を存分に発揮するためには、AIやIoTといった先進技術を活用することによる生産性向上も必要といえます。叶さんもそうした動きに着目しており、社内のデータサイエンティスト養成のための研修に参加。今後はルーティーンワークの自動化や業務の効率化にも積極的に取り組んでいきたいと意気込んでいます。

「日々の業務の洗い出しをすると、当社は働き方改革等に取り組んでいるものの、まださまざまなルーティーンワークを抱えていると思います。そうした業務は積極的に機械に任せ、その分空いた時間を他のクリエイティブな業務や、個人が余暇を楽しむ時間に充てられればいいなと思います。そうすれば、社員の仕事に対する意欲も高まっていくのではないでしょうか。」

「相手を理解しよう」という気持ちが「グローバル化」につながる

多くの企業がグローバル化を推進している中で、外国籍社員として日本で働く叶さんは、「グローバル=語学力」ではないと言います。「グローバル」と聞くと、ついつい語学力に目が向いてしまいがちですが、重要なのは異なる文化・価値観を持つ人々への理解と尊重です。叶さんも以前、チームでイスラム教徒のセコンディ(当社海外拠点からの出向社員)を受け入れた際に実感しました。

「イスラム教徒のセコンディを受け入れた際、お祈りの部屋の用意や、豚肉不使用の食事等に気を付けていました。しかし、本人に話を聞くと、『お祈りの前に手・顔・足を洗わないといけないが、お手洗いとお祈りの部屋が離れていて不便だった』、『お祈りの時間帯に打ち合わせが入っていて困った』といった本音を教えてくれました。勝手な思い込みや自身の知識不足を感じたと同時に、初めから細かな要望を聞いておけばよかったと反省しました。」

この経験を通じて、叶さんは「グローバル」な人材であるためには、異文化への理解を深めるために絶えず努力し続けなければならないことについて学びました。
日本国内にいても異なる文化・価値観を持つ外国人と関わる機会が増えている中で、この「異文化理解」は今後誰にとっても必要なスキルとなってくるでしょう。まずは相手のことを知ろうと一歩踏み出すことから、「グローバル化」してみませんか?

  • 所属部署、役職、内容は取材時点のものです。

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