2023.07.24
ながら運転の厳罰化とは?対象となる行為と罰則を解説
2023.07.24
ながら運転の厳罰化とは?対象となる行為と罰則を解説
「ながら運転」は、スマートフォンやカーナビを注視したり、通話したりしながら運転する危険な行為です。ながら運転は、2019年に道路交通法の改正によって厳罰化されました。ながら運転による事故件数自体は減ったものの、2021年からはやや増加傾向にあり、警察庁が注意を呼びかけています。
この記事では、ながら運転の定義と罰則、発生状況のほか、ながら運転をやめる方法を解説します。
目次
ながら運転とは主にスマホやカーナビを見たり操作したりしながら車を運転すること
広義のながら運転とは、車の運転中に、運転以外の何かの動作をすることを指します。この記事における「ながら運転」は、スマートフォン(スマホ)などの携帯電話やカーナビの画像注視(保持・非保持)しながら、あるいは通話(保持)しながら車を運転する「ながらスマホ」に焦点をあてています。
スマートフォンやカーナビを使用しながら運転する行為は、以下のように道路交通法で明確に禁止されています。
■道路交通法 第71条(運転者の遵守事項)5の5
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
「自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」
※e-Gov法令検索「道路交通法」
なお、「停止しているときを除き」とあるように、信号待ちなどで停止しているあいだにスマートフォンやカーナビを注視・通話する行為は、禁止対象になっていません。また、ハンズフリー通話をしながらの運転は、スマートフォンを手で支えたり持ったりしないので、基本的には使用が認められています。
ながら運転の発生状況と厳罰化
車の運転中にスマートフォン等の携帯電話やカーナビを使用していたことが原因の事故は、これら機器類の普及とともに、件数が増えてきました。
警察庁が発表している統計資料によると、運転中の携帯電話使用等に起因する事故の件数は、2012年には1,935件だったものが、2017年には2,832件まで増加。2018年~2019年は少し減ったものの、相変わらず高い水準にありました。この中には死亡事故も含まれており、2017~2019年は平均41件でした。
■携帯電話使用等に係る使用状況別交通事故件数の推移
※警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
このような状況を受けて、2019年12月1日の道路交通法改正で、運転中にスマートフォンなど携帯電話を使ったり、それにより交通の危険を生じさせたりした場合の罰則が強化されたのです。罰則強化の内容は、以下のとおりです。
■ながら運転の罰則比較
違反内容 | 携帯電話等使用等(保持)違反 ※携帯電話等を使用等、または手に持って画像を表示して注視した場合 | 携帯電話等使用等(交通の危険)違反 ※携帯電話等を使用等、または手に持って画像を表示して注視した場合であり、なおかつ交通の危険を生じさせた場合 |
---|---|---|
罰則 | 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 (5万円以下の罰金) | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 (3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金) |
違反点数 | 3点(1点) | 6点(2点) |
反則金額 (普通車の場合) | 1万8,000円(6,000円) | 刑事罰を適用(9,000円) |
※( )は改正前の内容
この改正を受けて、携帯電話使用等に関する交通事故件数は大幅に減少しました。事故件数は2022年で1,424件、死亡事故は2022年が28件と、ピーク時の約半分の水準になっています。
スマホのながら運転をやめるためにできること
スマートフォンなど携帯電話を使用しながら運転してしまうのを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、ついやってしまうスマートフォンのながら運転をやめる方法をご紹介します。
スマートフォンの電源を切ったりドライブモードにしたりしておく
車の運転中はスマートフォンの電源をオフにするか、ドライブモードに設定して音が鳴らないようにします。その上でバッグの中や後部座席等、目が届かない場所にしまっておくと、つい見たり手に取ったりしてしまうのを防げるでしょう。
ハンズフリーキット(スピーカータイプ)を使う
Bluetooth機能でスマートフォンと接続して使うハンズフリーキット(スピーカータイプ)なら、車の運転中でも道路交通法違反にならずに通話が可能です。
ただし、ハンズフリーとはいえ通話に熱中しすぎてしまうと、運転に関する行為がおろそかになり、安全運転義務違反になる可能性があるので注意が必要です。
スマホにながら運転防止アプリを入れる
スマートフォンに「ながら運転防止アプリ」をインストールしておくと、スマートフォンに気をとられずに運転できるようになります。
例えば、三井住友海上は、ながら運転防止アプリ「FOUR SAFETY」を法人向けに提供しています。FOUR SAFETYは、専用のシガープラグ型端末をシガーソケットにセットした状態で車のエンジンをかけると、アプリが起動。時速20kmを超えるとスマートフォンの操作を制御する仕組みです。
FOUR SAFETYについて詳しくは以下のページをご覧ください。
FOUR SAFETY ~『ながら運転』防止支援サービス~
AI搭載ドライブレコーダーを装着する
ドライブレコーダーの中には、AI(人工知能)がドライバーの顔の角度や動作によってながら運転を検知し、アラートを出してくれるタイプのものがあります。
三井住友海上がフリート契約(車を10台以上保有している企業向けの契約)向けに用意しているオリジナルのドライブレコーダー「F-ドラ(エフドラ)」もそのひとつ。専用インカメラによって、脇見運転や携帯電話を使用しながらの運転などドライバーの危険運転挙動を検知し、注意喚起するシステムです。
ながら運転の厳罰化対策にスマホアプリを活用しよう
ながら運転は、法改正で厳罰化されるほど危険な行為です。特に、運転中にスマートフォンを持って通話したり、注視したりする行為は、1回で免許停止になる可能性もあります。
もし、どうしてもスマートフォンの通知が気になってしまう場合は、運転中のドライブモードへの切り替えはもちろん、無料の「ながら運転防止アプリ」の利用を試してみるのがおすすめです。
三井住友海上では、ながら運転防止アプリを提供していますので、厳罰化されたながら運転にしっかりと対応したいとお考えの方は、ぜひお試しください。