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ひき逃げにあった人と逃走する車

2023.07.13

ひき逃げにあったら誰が保険金を支払う?補償を受ける方法を解説

ひき逃げにあった人と逃走する車

2023.07.13

ひき逃げにあったら誰が保険金を支払う?補償を受ける方法を解説

一般的に交通事故が発生したら、加害者は事故の被害者に対して損害賠償金を支払う義務を負います。しかし、加害者が事故現場から逃走してしまうことがあります。加害者が逃走したいわゆる「ひき逃げ」の場合、被害者に支払う損害賠償金はどうなるのでしょうか?
この記事では、ひき逃げの発生状況やひき逃げした時の罰則のほか、ひき逃げにあって加害者が見つからなくても補償を受ける方法などを紹介します。

ひき逃げとは死傷事故発生時に救護対応などをせず事故現場を離れる行為のこと

ひき逃げとは、人の死傷を伴う交通事故(人身事故)発生時に、道路交通法に定められた必要な措置を行うことなく、事故に関わる車両のドライバーなどが事故現場を離れる行為を指します。

人身事故が起きた時、当該事故に関わる車両のドライバーなどには、運転を停止し、ケガ人を救護して、道路上のさらなる危険を防止するといった「安全措置」を講じる義務があるのです。
しかし、交通事故を起こした際に救護などの対応を怠ったり、悪意がなくても事故現場を離れたりすれば、ひき逃げと認定される可能性が高まるので注意してください。

<ひき逃げに該当する可能性がある行為>

  • ・人身事故を起こした直後に、ケガ人を救護せずに現場から立ち去った
  • ・事故現場にはとどまったが、ケガ人を救護しなかった
  • ・事故現場にはとどまったが、二次的交通事故を予防するための措置を講じなかった

なお、警察への事故の報告はドライバーの義務です。これを怠ると、道路交通法の「事故報告義務違反」にあたります。

ひき逃げ事故の発生状況

法務省の統計資料によると、ひき逃げ事件(人の死傷を伴う交通事故に係る救護措置義務違反)の発生件数は2004年をピークに減少傾向にあります。一方で全体検挙率は年々上昇しており、2020年時点の死亡事故に限ると、検挙率は97.8%です。

■ひき逃げ事件の発生件数と検挙率の推移

ひき逃げ事件の発生件数と検挙率の推移
  • 法務省「令和3年度版 犯罪白書」
  • 警察庁交通局の統計データを使用しています。「全検挙率」は、ひき逃げの全事件の検挙率を指します。「重傷」は交通事故による負傷の治療を要する期間が1か月(30日)以上のもの、「軽傷」は同未満のものです。検挙件数には、前年以前に認知された事件に係る検挙事件が含まれることがあるため、検挙率が100%を超える場合があります。

ひき逃げ事件を起こしたらどうなる?

ひき逃げ事件を起こしたらどうなる?

ひき逃げ事件の検挙率は、死亡事故の場合97.8%です。事故現場から逃げても、ほぼ特定されると考えて間違いないでしょう。逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあると判断された場合は、逮捕・勾留される可能性があります。
仮に逮捕されると警察官から取り調べを受け、48時間以内に検察官に身柄と記録が送致されます。検察での取り調べが行われた後、起訴か不起訴かが判断され、起訴されると刑事裁判を受けることになるのです。

なお、人が死傷する交通事故を起こすと、刑事上の責任、民事上の責任、行政上の責任の3つの責任を負うことになります。ここでは、それぞれの責任について解説します。

刑事上の責任

一般に交通事故を起こした場合の刑事上の責任としては、「過失運転致死傷罪」または「危険運転致死傷罪」などに問われます。ひき逃げの場合、相手方の救護を怠ると救護義務違反となります。これは相手方と直接接触しなくても、相手方が「大丈夫」と言って先に立ち去っても、救護義務違反とみなされることがあるので注意が必要です。
また救護をしたとしても、警察への連絡を怠れば、事故報告義務違反が成立することがあります。

■ひき逃げ事件を起こした場合に問われる可能性がある刑事上の責任

犯罪の種類法定刑
過失運転致死傷罪7年以下の懲役もしくは禁固、または100万円以下の罰金
危険運転致死傷罪(危険運転の要件を満たした場合)ケガ:15年以下の懲役
死亡:1年以上の懲役(最高で20年)
救護義務違反と危険防止措置違反(人身事故)10年以下の懲役または100万円以下の罰金
事故報告義務違反3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金

行政上の責任

行政上の責任としては、加害者側に道路交通法の救護義務違反として特定違反行為の基礎点数35点が加算される上、交通事故の被害の程度によって付加点数2~20点も加算されます。
前歴がなくてもひき逃げ1回で免許取り消しとなり、少なくとも3年間は運転免許の再取得ができなくなります。

民事上の責任

民事上の責任としては、被害者に対する損害賠償責任を負います。治療費や交通費、休業損害、逸失利益、後遺症慰謝料、死亡慰謝料などを、過失割合にもとづいて支払わなければならないのです。

ひき逃げにあったときはどうすればいい?

ひき逃げにあい大破したバイク

もしひき逃げの被害者となったら、どのように行動すればいいのでしょうか。ここでは、ひき逃げにあった時の適切な対応について解説します。

安全な場所へ移動し、警察に通報した上で病院へ行く

ひき逃げにあったら、まずは二次的被害を避けるために安全な場所へ移動します。移動が終わったらすみやかに警察に通報し、警察が到着するまでの時間を利用して、加害者の特徴をメモしておきましょう。ひき逃げの目撃者がいたら、証言に対する協力を求め、連絡先を交換しておきます。
警察が到着したら詳しく事情を説明します。物的証拠の提出や事故現場での実況見分に協力し、保険金請求を行う際などに必要な事故証明書を入手します。

ケガの程度がひどい時には、救急車を呼んで病院へ行きましょう。たいしたケガではないと思っても、できる限り時間を開けずに病院へ行って診てもらうようにしてください。

加害者に損害賠償請求をする

警察の捜査によって加害者が判明すると、加害者に対して損害賠償請求を行うことができます。
加害者が自動車保険の対人賠償保険に加入している場合は、相手方の加入保険会社に直接請求することも可能です。

加害者不明時は自分の自動車保険の人身傷害保険で対応する

もしひき逃げの加害者がわからない場合や、判明した加害者が無保険のため、十分な損害賠償を得られない場合、被害者ご自身が加入している自動車保険(人身傷害保険)からの補償を受けられます。
三井住友海上の自動車保険では、人身傷害保険に自動車事故特約をセットすると、治療費や働けないあいだの収入、精神的損害などについての補償を受け取ることができます。

また、事故相手が無保険で、自分(被保険者)や家族が死亡または後遺障害を被った場合、自賠責保険ではカバーしきれなかった損害額についての補償を受けられる無保険車傷害特約もあります。

事故相手が無保険車だった場合の対応について詳しくは以下のページをご覧ください。
無保険車傷害とは?補償の対象条件や対象者、補償金額などを解説

加害者が保険無加入あるいは損害賠償できないケースでは政府保障事業を受ける

もし、ひき逃げの加害者が不明もしくは自賠責保険に入っていない場合でも、政府保障事業による被害者救済制度があります。
これはひき逃げの被害者が受けた損害を、国(国土交通省)が加害者に代わって補填するものです。ただ、支払限度額は自賠責保険と同じで、必要最低限の補償額となります。
なお、ご自身が加入する自動車保険(人身傷害保険)から補償を受けた時には、政府保障事業による補償は受け取れないことに注意してください。

万が一に備えて、人身傷害保険付きの自動車保険を選ぼう

ひき逃げの加害者は検挙されることが多いですが、中には加害者が見つからなかったり無保険だったりするケースも考えられます。

その際に政府保障事業による補償は受けられるものの、補償額は最低限度にとどまります。自動車保険の人身傷害保険に自動車事故特約を追加し、万が一の際はご自身の加入保険から補償が受けられるようにしておくと安心です。さらに弁護士費用特約をセットしておけば、加害者との交渉が難航した際も、弁護士に交渉を依頼する際の費用が補償されます。
三井住友海上の自動車保険は、人身傷害保険に自動車事故特約を追加できる上、弁護士費用特約もセットできるメリットがあります。自動車保険加入をお考えなら、ぜひ三井住友海上の自動車保険をお選びください。

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■監修:森川弘太郎(第二東京弁護士会)

森川弘太郎

東京弁護士法人代表弁護士。IT法務、エンターテインメント法務、フランチャイズに特化した企業法務専門の法律事務所にて勤務した後、東京都内3拠点の法律事務所(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。東京弁護士法人は「弱点のない総合型法律事務所」を目指し、各弁護士が個人向け業務・法人向け業務、民事事件・刑事事件問わず横断的に案件を扱う。

■監修:関口勇太(第二東京弁護士会)

関口勇太

東京弁護士法人立川法律事務所所属。大学卒業後に大手テニススクールにてテニスコーチを務めながらテニス選手として活動し、その後、弁護士を志す。現在は、地元である東京都立川市に拠点を構える立川法律事務所(東京弁護士法人本部)にて、刑事事件・離婚・相続・交通事故等の個人向け業務から企業法務等の法人向け業務まで幅広い業務を取り扱いつつも、刑事弁護を得意分野としている。

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