現在地
ホーム>個人のお客さま>自動車保険>高齢ドライバーの交通事故は増加中?高齢者による事故を減らす方法
高齢ドライバー

2023.07.13

高齢ドライバーの交通事故は増加中?高齢者による事故を減らす方法

高齢ドライバー

2023.07.13

高齢ドライバーの交通事故は増加中?高齢者による事故を減らす方法

車の安全装備の充実などを背景に、交通事故発生数は2004年をピークに減少に転じ、2022年にはピーク時の3分の1以下になりました。ただし、高齢ドライバーによる事故の割合は増加傾向にあり、死亡事故全体に占める高齢ドライバーの事故の割合も増加中です。
この記事では、高齢ドライバーによる交通事故の状況と事故原因のほか、事故を起こさないための対策について解説します。

運転免許保有者の2割を占める高齢ドライバー

高齢ドライバーとは、一般に前期高齢者である65才以上の運転者のことを指します。警察庁の統計資料によると、2021年時点で65才以上の運転免許保有者は全体の23.5%を占めています。75才以上に限定しても全体の7.4%です。
高齢ドライバーのうち、70才以上のドライバーについては、高齢者マーク(高齢運転者標識)を車に貼ることが奨励されています。

高齢ドライバーの事故の状況

警察庁の統計資料を見ると、2022年の65才以上の高齢ドライバーによる事故件数(原付以上運転者で第1当事者となったもの)は、10年前と比べて65.9%にまで減少しました。ただ、全体の事故件数が大きく減少しているのに対し、高齢ドライバーによる事故の割合は、16.3%から24.4%に増えています。

中でも75才以上の高齢運転者と75才未満の運転者の死亡事故を比較すると、75才以上の高齢運転者では、工作物衝突や路外逸脱といった単独事故が多い傾向があります。事故原因の第1位は「操作不適」で、ハンドルの操作不適とブレーキとアクセスの踏み間違いがその大半を占めています。

このような状況を受けて、2022年施行の改正道路交通法では、75才以上の免許更新手続が3点改正されました。

■道路交通法における75才以上の免許更新手続改正点(2022年施行)

改正後改正前
認知機能検査の検査方法
  • ・時間の見当識
  • ・手掛かり再生
  • ・時間の見当識
  • ・手掛かり再生
  • ・時計描画
高齢者講習
  • ・2時間講習
  • ・2時間講習
  • ・3時間講習
運転技能検査75才以上の高齢ドライバーのうち、普通自動車対応免許保有者で過去3年間に一定の違反行為をした場合、免許更新時等に運転技能検査の受検を義務付け-
道路交通法における75才以上の免許更新手続改正点(2022年施行)
  • 運転寿命延伸プロジェクト・コンソーシアム「高齢ドライバーを取り巻く現状」

このほか、安全運転サポート車等限定条件付免許(サポカー免許)が新設されたのも、大きなトピックといえます。

高齢ドライバーの事故が起きやすい理由

高齢ドライバーの事故が起きやすい理由

高齢ドライバーによる事故が起きやすい主な原因としては、どんなことがあるのでしょうか。ここでは、高齢ドライバーの事故の起きやすい理由を挙げてみます。

身体機能の低下

一般的に、高齢者は加齢に伴って身体機能が低下します。その結果、危険に対する操作が遅れがちになることが考えられます。運転免許を受けている全国の満65才以上の男女1,092人を対象とした「高齢者の交通事故防止に関するアンケート」で、若い頃と比べて変わったことを質問したところ、約半数が「とっさの動作や複雑な動作がスムーズにできないようになった」と答えています。

認知機能の低下

認知・判断・操作を頻繁に行うのが車の運転です。個人差はありますが、注意力や集中力、瞬間的な判断力の低下により、危険に気づかなかったり、とっさの判断が遅れたりすることもあります。

長年の運転経験による慣れと自信

身体機能・認知機能の変化を自覚しつつも、慣れや長年の運転経験からつい油断してしまうこともあります。

高齢ドライバーが事故を起こした時はどうなる?

高齢ドライバーが死傷事故を起こした場合は、一般のドライバーが事故を起こした時と同じく、刑事上、民事上、行政上の責任を問われることになります。ここでは、事故を起こした時の刑罰などについて紹介します。

刑事上の責任

自動車運転中の過失によって、人を死亡させるかケガをさせた場合は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第5条の過失運転致死傷にあたり、刑事罰として7年以下の懲役・禁固、または100万円以下の罰金が科されます。

アルコ―ルや薬物を摂取して正常な運転が困難な状態で走行していた、無免許運転だったなどの事情があった場合は、同法第2条の「危険運転致死傷罪」に該当するケースがあります。この場合の刑罰は、人を負傷させた場合には懲役15年以下(無免許運転の場合には刑が加重され、6ヵ月以上の有期懲役)、人を死亡させてしまった場合には1年以上の有期懲役になります。人に被害がない物損事故は、基本的には刑事上の責任は問われません。ただし、住宅に突っ込んで建物を破壊したような場合は、6ヵ月以下の禁錮または10万円以下の罰金を科されることがあります。

民事上の責任

交通事故の加害者は、被害者に対して損害賠償責任を負います。対象となるのは、ケガの治療費や車両の修理費、慰謝料などで、過失割合に応じた分を支払うことになります。

行政上の責任

交通事故を起こすと、行政上の責任も負います。運転免許の違反点数加算による免許取り消しや免許停止処分といった行政処分も受けることになるのです。

高齢ドライバーが交通事故を起こさないためにできること

高齢ドライバーが交通事故を起こさないためにできること

高齢ドライバーが交通事故を起こさないためには、高齢ドライバーの事故率が高い事実を踏まえ、慎重な運転を心掛けることが大切です。ここでは、高齢ドライバーが運転に際して気を付けたいポイントをご紹介します。

高齢者マーク(高齢運転者標識)をつける

高齢ドライバーが高齢者マークをつけて運転することは、自身の安全確保につながります。
それは、高齢者マークをつけた普通自動車に対しては、やむをえない場合を除き、幅寄せや割込みが禁止されているからです。高齢者マークをつけた車に幅寄せなどの行為を行うと、道路交通法違反となります。
70才以上75才未満の高齢ドライバーの高齢者マーク装着は努力義務ですが、貼っておいたほうが安心でしょう。

高齢ドライバー自身の運転について、家族や周囲の声を聞く

高齢ドライバーが自分自身では「まだ大丈夫、運転に問題はない」と思っていても、知らず知らずのうちに身体機能や認知機能の低下などにより運転技能が低下し、交通事故につながりかねない危険な運転を行っているケースもあります。
家族や周囲の声を聞くことは、自分の運転を客観的に見つめ直すことができる機会となるのです。

定期的な眼科検診を受ける

高齢ドライバーは加齢や病気によって視力低下や視野障害が起こることもあります。定期的に眼科を受診し、眼底検査を含む検診を受けておくと安心です。

サポカー(安全運転サポート車)に買い替える

サポカー(安全運転サポート車)とは、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)やペダル踏み間違い急発進抑制装置(PMPD)など、交通事故を未然に防ぐ技術が搭載された車です。高齢ドライバーはこのような運転サポート機能がついている車への買い替えを検討してみるのもいいでしょう。

サポカーについて詳しくは以下のページをご覧ください。
【サポカー限定免許とは?】5月から運転技能検査の義務化も

運転免許の自主返納も検討する

自分の最近の運転を振り返って、これまで問題なくできていた動作や手順を間違えたり、忘れたりすることが増えていたら、運転免許の自主返納を検討するタイミングなのかもしれません。
自分の心身の状態や運転技能を客観的に見つめ直し、運転免許の返納を考えてみてください。

高齢ドライバーが事故を起こさないために気を付けたいことについて詳しくは以下のページをご覧ください。
高齢ドライバーのための安全運転アドバイス

高齢ドライバーの安全運転のためにドラレコ付きドライブレコーダー付き自動車保険に加入しよう

高齢ドライバーは、身体機能や認知機能の低下などから事故を起こしやすい傾向があるので、自身の運転能力を把握した上で、慎重な運転を心掛けることが大切です。

高齢ドライバーの安全運転のサポートをしてくれるドライブレコーダーを装着すると、ご家族の方も安心できるでしょう。三井住友海上では、運転診断レポートで高齢ドライバーの運転を客観的に振り返ることができたり、高速道路での逆走などを防ぐ安全運転支援アラートなどが備わったドライブレコーダー付き自動車保険「見守るクルマの保険(プレミアム ドラレコ型)」をご用意しています。

高齢ドライバーの安全運転と万が一の補償のために、三井住友海上の自動車保険をご利用ください。

皆さまの安心・安全をご支援する自動車保険(任意保険)

詳しく見てみる

お気軽にお問い合わせください

■監修:森川弘太郎(第二東京弁護士会)

森川弘太郎

東京弁護士法人代表弁護士。IT法務、エンターテインメント法務、フランチャイズに特化した企業法務専門の法律事務所にて勤務した後、東京都内3拠点の法律事務所(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。東京弁護士法人は「弱点のない総合型法律事務所」を目指し、各弁護士が個人向け業務・法人向け業務、民事事件・刑事事件問わず横断的に案件を扱う。

■監修:関口勇太(第二東京弁護士会)

関口勇太

東京弁護士法人立川法律事務所所属。大学卒業後に大手テニススクールにてテニスコーチを務めながらテニス選手として活動し、その後、弁護士を志す。現在は、地元である東京都立川市に拠点を構える立川法律事務所(東京弁護士法人本部)にて、刑事事件・離婚・相続・交通事故等の個人向け業務から企業法務等の法人向け業務まで幅広い業務を取り扱いつつも、刑事弁護を得意分野としている。

ページの先頭へ