2023.02.14
車の盗難手口や盗難防止グッズは?被害時の対応方法なども解説
2023.02.14
車の盗難手口や盗難防止グッズは?被害時の対応方法なども解説
車の盗難被害は2003年をピークに徐々に減っているものの、いまだに全国で年間5,000件以上(2021年)の被害が起きています。特に、高級車や人気車は狙われやすいので、盗難対策を欠かさず行いたいところ。
ここでは、車の盗難被害の実態と盗み出す手口をはじめ、盗難防止グッズの種類や選び方のほか、万が一被害を受けた時の対応の流れなどについて解説します。
目次
車の盗難被害はどれくらい起きている?
警察庁の公表しているデータによると、自動車盗難の認知件数(警察が発生を認知した件数)は、2021年は5,182件。ピークだった2003年の64,223件に比べれば10分の1以下となり、近年で見ても2019年が7,143件、2020年が5,210件と減少傾向が続いています。しかし、いまだに年5,000件以上と、多くの盗難被害が発生している状況です。
盗難被害にあいやすい車種は?
一般社団法人日本損害保険協会がまとめた、2019~2021年に保険会社が行った盗難被害への保険金支払い状況に関する「第23回自動車盗難事故実態調査結果」によると、盗難被害が多い車種は、トヨタの「プリウス」「ランドクルーザー」「アルファード」「クラウン」のほか、レクサスの「レクサスLX」「レクサスRX」「レクサスLS」などが挙げられます。
海外で人気のある高級SUV車をはじめ、ハイブリッドカーやワンボックスカーなど、特定車種が狙われる傾向があります。
都道府県別では愛知・千葉・大阪での被害が多く、発生時間帯は深夜帯が半数超
保険会社21社の「第23回 自動車盗難事故実態調査結果」によると、都道府県別の車両本体盗難による支払件数は、愛知県(18.5%)、千葉県(11.8%)、大阪府(11.7%)が2021年のトップ3でした。地域で見ると関東圏が多く、2021年データで約45.5%以上を占めています。
また、盗難が発生した時間帯は、22~9時の深夜~朝の時間帯が最も多く、いずれの年も車両本体の盗難の半数超がこの時間帯に発生しています。
■2021年 車両本体盗難の支払件数(都道府県別TOP5)
■2021年 車両本体盗難の発生時間帯
昨今は、自宅に駐車している場合でも注意が必要
警察庁のデータによると、発生場所は一般住宅の割合が36.8%で1位、駐車場は27.9%で2位でした(2021年データ)。2003年は駐車場が全体の60%を超えて1位でしたが、その後駐車場の割合は徐々に減少し、2020年に一般住宅と駐車場の順位の逆転が起こっています。
昨今は、駐車場に止めているあいだだけでなく、自宅に止めている時も盗難対策が必要な時代になっているといえそうです。
■2021年 自動車盗難の駐車場所別認知件数の割合
注意したい車の盗難手口
車を盗み出すにはさまざまな手口がありますが、近年は車側の変化に合わせて、新しい手口が多数登場しています。代表的な盗難の手口を紹介しましょう。
オーソドックスな手口
昔から存在する車の盗難の手口としては、次のようなものがあります。
・窓ガラスを割る、針金等でドアを開錠する
窓ガラスをハンマーで割ったり、窓の隙間から針金などでドアを開錠したりして車内に侵入する手口は、以前からある手口です。
ハンドルについている始動用のキーシリンダー(車のキーを差し込み施錠と解錠を行う部分のこと)を外して直接配線をつなぎ、エンジンを始動させて車を持ち去ります。
・キーがつけっぱなしの車を狙う
コンビニエンスストアの駐車場で、持ち主がキーをそのままにして車から離れた時など、キーがつけっぱなしの車を狙う方法もあります。警察庁によると、2021年のデータで、約23%が「キーがついていた、または運転席や周辺に放置されていた」状況下での盗難となっています。
・自宅からキーを盗む
車の持ち主の自宅に侵入してキーを盗み出し、それを使って車を盗む手口もあります。
新しい手口
車の盗難で、新しい手口としては次のようなものがあります。耳慣れない言葉もあるかもしれませんが、一通り確認しておきましょう。
・リレーアタック
リレーアタックは、スマートキーが発する微弱な電波を拾って増幅し、車両まで中継していくことにより、ドアのロックを外してエンジンを動かし、車を盗み出すものです。盗む側は通常2~3人1組で、1人目が車の所有者や、スマートキーが置かれている所有者自宅の玄関先などに近づいてキーが発する電波を拾い、特殊な機器を経由して増幅した電波を2人目、3人目に中継します。日本では、2017年頃から増え始めた手口です。
■リレーアタックの手口
・CANインベーダー
CANインベーダーは、専用の装置を使って車に張り巡らされている伝送路に侵入し、車を制御する頭脳にあたるECU(電子制御装置のこと)を乗っ取って、ドアロックの解除やエンジン始動を行う手口です。
2017年頃に登場した後、2020年頃から増えており、特に高級車などを盗む際に用いられることが多いようです。
■CANインベーダーの手口
・イモビカッター
イモビカッターという専用の道具によって、車の盗難防止システムである「イモビライザー」を無効化し、車を盗む手口もあります。
元々イモビカッターは、鍵業者や自動車整備業者が必要な作業を行う目的で生まれたものですが、悪用されるケースが増えたことから、茨城県や愛知県では条例で所持などの規制が行われています。
■イモビカッターの手口
・コードグラバー
コードグラバーという鍵を複製する装置で車から発せられる電波を受信し、車のIDを解析した上で鍵を複製し、車を盗む手口もあります。
リレーアタックのように複数人を必要とせず、所有者の持つスマートキーに近づく必要もないため対策が難しく、より被害を防ぎづらいといえます。
■コードグラバーの手口
車上荒らしを防ぐ対策や手口、被害を受けた時の対応手順について詳しくは以下のページをご覧ください。
車上荒らしを防ぐ対策は?手口や被害時の対応手順もチェック
車の盗難防止グッズの種類
巧妙化する盗みの手口に対抗するべく、盗難防止グッズもさまざまなものが展開されています。「車への侵入を防ぐ」「盗まれた場合に追跡を容易にする」など、アイテムによって目的が違いますので、うまく組み合わせて利用しましょう。
代表的な盗難防止グッズには、以下のようなものがあります。
ハンドルロック
ハンドルロックとは、ハンドルに取り付けることで、ハンドルを物理的に固定して動かなくするものです。
タイヤロック、ホイールロック
タイヤロックやホイールロックをタイヤに取り付けることで、物理的に盗み出すのを困難にする対策もあります。一目で防犯対策がなされていることがわかり、取り外すには時間がかかるので、盗む気をなくさせる効果が期待できます。
カーセキュリティ、セキュリティアラーム、セキュリティライト
カーセキュリティやセキュリティアラーム、セキュリティライトは、ドアのこじ開けなど車両に異常があるとランプが点灯する、警告音が鳴る、夜間はライトが点灯するといった、車を盗難などの被害から守るためのグッズです。盗み出すのをあきらめさせたり、夜間に車に人が近づきにくくしたりといった効果が期待できます。
イモビライザー
イモビライザーは、キーと車のIDが一致してはじめてエンジンが始動する仕組みの車の盗難防止システムです。最近は、標準装備の車が多くなっています。
センサーライト
センサーライトは、動く人などを感知して点灯するライトです。自宅の駐車場等に取り付けることで、車の盗難を試みる人物を牽制できます。
車用カバー
車用カバーは、車全体を覆うカバーです。本来は車を汚れから守るためのものですが、高級車や人気車に使えば外からは車種がわからなくなるので、盗難被害にあうリスクを下げることができます。
盗難防止ステッカー
盗難防止ステッカーは、盗難対策をしている車であると示すことで、盗む気をなくさせるためのグッズです。
電子キーを保管する金属製の箱、電波遮断ポーチ
スマートキーを金属製の箱や、専用の電波遮断ポーチに入れておくことで、スマートキーの発する微弱な電波を外から読み取られなくなります。リレーアタック対策に有効です。
車用防犯ブザー、ドライブレコーダー、防犯カメラ
車用防犯ブザーは、車の異常を感じて警報音を鳴らしたりすることで、車泥棒を牽制できます。また、定点の防犯カメラは、万が一被害にあった時に犯人の手掛かりとして活用できるほか、駐車監視機能付きドライブレコーダーも、駐車中の盗難対策として役立ちます。
ドライブレコーダーでの盗難防止対策や、駐車監視機能について詳しくは以下のページをご覧ください。
ドライブレコーダーの駐車監視機能とは?メリット・デメリットを解説
車両の盗難防止にドライブレコーダーは有効?車両盗難の実態から解説
スマートタグ(AirTagなど)
AirTagなどのスマートタグ(置き忘れ防止タグとも呼ばれ、スマートフォンやタブレット端末と接続することで、タグの位置を確認できるIoT技術を搭載したアイテムのこと)を車に置いておけば、万が一盗まれた時に車の行方を捜しやすくなります。
追跡アプリ
スマートフォンを2台持ちされている方などは、GPSで追跡可能なアプリをインストールしたスマートフォンを、あらかじめもう一方のスマートフォンと連携させた上で車内に置いておけば、万が一盗まれても追跡が可能です。
ただし、電源を確保しておく、外から見えない場所に置いておくなどの工夫は必要となります。
車両追跡サービス
セキュリティ会社などでは、GPS発信機を使った車の追跡サービスを提供しています。万が一車が盗まれた際に、車を取り戻せる確率が上がります。
車の盗難防止グッズを選ぶ時のポイント
車の盗難防止グッズには、物理的に犯行を妨害するもの、犯行意欲を失わせるもの、盗まれた際に追跡を可能にするものなど、さまざまなタイプがありますので、複数を組み合わせて使うのがおすすめです。
例えば、「タイヤロック」+「盗難防止ステッカー」+「スマートタグ」など、目的の違うグッズを組み合わせて使うことで、盗難を防げる確率は高まります。
万が一車の盗難被害にあってしまった時の対応の流れ
もし盗難の被害にあってしまったら、やるべきことは次の4つになります。万が一の時にできるだけ冷静に対応できるよう、確認しておくといいでしょう。
1. 警察に盗難届を提出する
盗難に気づいたらすぐに、最寄りの交番や警察署に行って盗難届を提出します。
2. 保険会社に連絡する
自動車保険に加入している場合、契約内容によっては保険金が支払われることがありますので、保険会社に連絡してください。
3. 税関に連絡する
盗まれた車は、海外に売られるケースが少なからずあります。警察に盗難届を出せば税関にも情報共有されますが、タイムラグが生じる場合もあるので、税関にも連絡しておくのがおすすめです(24時間対応の税関の密輸ダイヤルがあります)。
4. 車両の一時抹消登録をする
車は登録している限り、各種税金が発生するため、一時抹消登録の手続きを行ってください。登録車(軽自動車を除く)であれば、一時抹消登録をすることで、自動車税や自賠責保険料などの還付金が受け取れます。
その後、車が戻ってきた場合は、再登録手続き(中古車新規登録)を行うことで、再び公道を走れるようになります。
基本的な防犯対策をした上で、自動車保険にも加入しよう
車の盗難を防止するには、たとえ短時間であっても、車を離れる際に施錠するといった当たり前のことを徹底した上で、盗難防止グッズも活用するのがおすすめです。特に被害にあいやすい人気車種を保有している方は、いくつかの防犯グッズを組み合わせて使うのもいいでしょう。
さらに、盗難補償のある自動車保険に加入しておけば、万が一の時も補償がない場合に比べると余裕を持って対応することができるはずです。
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ドライブレコーダーの駐車監視機能について詳しくは以下のページをご覧ください。
ドライブレコーダーの駐車監視機能とは?メリット・デメリットを解説