2022.08.26
休業損害証明書とは?記載項目や保険金請求手続きに必要な書類を解説
2022.08.26
休業損害証明書とは?記載項目や保険金請求手続きに必要な書類を解説
交通事故によるケガで仕事を休むと、その分収入が減ってしまいます。この減った分の収入は休業損害として自賠責保険または任意保険により補償をうけることができます。「休業損害証明書」とは、そんな休業損害を請求する際に必要となる書類です。
ここでは、休業損害証明書に記載される項目のほか、保険金請求手続きに必要な書類などを詳しく解説します。
交通事故によって欠勤し、損害が生じたことを証明する休業損害証明書
休業損害証明書とは、給与所得者が交通事故により仕事を休み、損害が生じていることを証明する書類です。交通事故が原因で仕事を休まざるをえなくなった給与所得者が、生じた損害に対する保険金を請求する際に、保険会社に提出しなくてはなりません。通常は、保険会社から送られてきた用紙を勤務先に渡して記入してもらい、返送します。
なお、同じように交通事故によって仕事を休まざるをえなくなり、収入が減少していても、その方が給与所得者ではなく自営業者である場合は、休業損害証明書の提出は必要ありません。代わりに、確定申告書の控え等の資料の提出が求められ、それらをもとに休業損害額が算定されるからです。
休業損害証明書の記載項目
勤務先に記入を依頼する休業損害証明書は、保険会社によって多少の違いはあるものの、おおよそ次のような項目が記載されます。
■休業損害証明書のイメージ
(1)ケガにより休業した人の氏名等
交通事故で休業した者の職種・役職、氏名、採用日を記載します。
(2)休業した期間と内訳
自動車事故により仕事を休んだ期間(遅刻や早退をした日も含む)とその内訳を記載します。時間有給休暇・遅刻・早退がある場合は裏面に詳細を、同日に複数の短縮勤務を行った場合は、回数を分けて記入します。
(3)3ヵ月間の勤怠状況
3ヵ月間の勤務状況に関して、記号を使って表します。
なお、使途を限定した休暇とは、傷病休暇や忌引休暇のほか、勤務先で使途を定めている休暇のこと。勤務先所定の休日とは、勤務が一斉に休業するような休日や就労シフトによる公休日、休日出勤時の代休を指します。
(4)休んだ日の給与の扱い
休んだ日に給与を支給したのかどうかを記載します。自動車事故による欠勤で給与に変動があった場合は、「計算根拠(式)記入欄」に、実際の支給・減給額の計算式を記載します。
(5)自動車事故による休業がない3ヵ月間の給与
自動車事故による休業がない直近3ヵ月間の月例給与や締日、所定勤務時間等を記載します。例えば、毎月20日締めで、4月10日が事故日であれば、記載する期間は12月21日~3月20日までの3ヵ月になります。
なお、付加給とは、時間外勤務手当や通勤手当、皆勤手当等のことです。
(6)ほかの給付の受給状況
社会保険から「休業補償給付」や「傷病手当金」の給付を受けたかどうかを記載します。この項目が設けられているのは、休業損害金と休業補償給付、休業損害金と傷病手当金は、それぞれ重複して受給することができないからです。
■損害に対する補償の受給
まず、休業損害証明書を提出することで受け取れる休業損害金は、交通事故でケガなどをして仕事を休んだ場合、本来なら得られるはずだった収入を請求できるという、損害賠償請求の一種です。働き方にかかわらず、交通事故の被害者全般を対象としています。
これに対し休業補償給付とは、労災保険加入者に認められるもので、勤務中や通勤中など仕事に関わる時間で負傷や疾病、傷害によって仕事ができなくなったときに給付されるものです。そのため、労災保険に加入していない自営業者は受け取れません。また、休業損害金と重複して受け取ることもできません。
一方の傷病手当金は、健康保険加入者が対象となるもので、以下の4つの条件をすべて満たすと受けられるものです。
<傷病手当金を受け取るための条件>
- ・業務外の病気やケガで療養中である
- ・療養のため労務に服することができない
- ・療養のため4日以上仕事を休んでいる
- ・給与の支払いがない
ただし、国民健康保険にはこの制度はないので、自営業者は傷病手当金を受け取ることはできません。健康保険の被保険者で傷病手当金が受け取れる方も、休業損害金と傷病手当金の両方を満額受給することはできません(休業損害が傷病手当金の支給額よりも低い場合、差額分は受給可能です)。
(7)企業情報
記入日、会社名、会社の所在地など記載します。所在や商号、名称等は、ゴム印でも問題ありません。法人の場合は、法人の印鑑が必要です。
保険金請求で、休業損害証明書と併せて必要な書類は?
休業損害証明書を保険会社に提出する際は、前年度の源泉徴収票を貼付します。源泉徴収票を用意できない場合は、事故前3ヵ月間の賃金台帳の写し、雇用契約書、所得証明書等を添付してください。
なお、生命保険外交員等の自由業の方の場合は、休業損害証明書の代わりに、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」または自動車事故前直近1年間の支払明細書等を提出します。
「白色申告事業主」または「青色申告事業主」の方は、自動車事故の前年の税務署の受付印のある「確定申告書」の控え等、所得を照明する書類を提出します。
休業損害証明書が届いたら、すみやかに提出しよう
交通事故のために仕事を休まざるをえなくなり、収入が減ってしまっても、自賠責保険または任意保険から保険金を受け取ることができます。休業損害証明書は、この休業損害金を受け取るために必要な書類なので、保険会社から送られてきた場合は、すみやかに勤務先に記入を依頼し、保険会社に返送しましょう。
なお、自分が事故を起こした加害者である場合は、相手に対し休業損害の補償はもちろん、治療費や壊れた車の修理費のほか、後遺症が残った場合や死亡した場合の損害を支払わなくてはなりません。強制保険である自賠責保険は相手の人的損害のみしか補償せず、実際の損害額が自賠責保険の限度額を超えることもありますから、万が一に備えて任意保険に入っておくと安心です。
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