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ドライブレコーダー搭載車ステッカー

2022.02.04

あおり運転の定義とは?妨害運転の種類と罰則を紹介

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2022.02.04

あおり運転の定義とは?妨害運転の種類と罰則を紹介

最近ではあおり運転の摘発件数も増えており、注目されるようになっています。2020年6月には改正道路交通法が施行され、あおり運転に対して厳正に取り締まりが行われるようになりました。では、あおり運転とはどのような行為で、どのような罰則があるのでしょうか。
この記事では、あおり運転の定義や罰則のほか、あおり運転とみなされる行為について紹介します。

あおり運転に該当する妨害運転の種類

あおり運転とは、前方の車との車間距離を詰めたり、周囲の車を威嚇、挑発したりする危険な運転のことです。ただし、あおり運転に明確な定義はありません。不必要に車間距離を詰めたり、前を走りながら蛇行運転をしたりするなどの行為が、あおり運転に該当します。

あおり運転は以前から行われていましたが、2017年からあおり運転による死亡事故などが相次ぎ、あおり運転が社会問題化したことで、道路交通法が改正されました。
2020年6月30日から施行された改正道路交通法では、あおり運転を含む危険な運転は妨害運転と位置づけられ、罰則も厳格化されています。妨害運転の対象となるのは、以下の10類型です。
なお、この記事では、あおり運転をはじめとする危険な妨害運転を総称して「あおり運転」または「妨害運転」と表記します。

  • ・対向車線からの接近や逆走(通行区分違反)
  • ・不要な急ブレーキ(急ブレーキ禁止違反)
  • ・車間距離を詰めて接近(車間距離不保持)
  • ・急な進路変更や蛇行運転(進路変更禁止違反)
  • ・左車線からの追い越しや無理な追い越し(追越し違反)
  • ・不必要な継続したハイビーム(減光等義務違反)
  • ・不必要な反復したクラクション(警音器使用制限違反)
  • ・急な加減速や幅寄せ(安全運転義務違反)
  • ・高速道路などの本線車道での低速走行(最低速度違反(高速自動車国道))
  • ・高速道路などにおける駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)

妨害運転に対する罰則

では、妨害運転を行った場合には、どのような罰則があるのでしょうか。妨害運転に対する罰則は、以下のように定められています。

交通の危険のおそれがある妨害運転に対する罰則

ほかの車両等の通行を妨害する目的で、上記10類型の行為を、交通の危険を生じさせるおそれのある方法によりした場合、「交通の危険のおそれがある妨害運転」として、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります(道路交通法第117条)。
また、違反点数25点が加算され、免許取消し処分後に免許を再取得することができない期間である欠格期間2年の運転免許取消し(前歴や累積点数がある場合には欠格期間最大5年)が科されることもあります(道路交通法第103条、道路交通法施行令38条)。

著しい交通の危険がある妨害運転に対する罰則

「交通の危険のおそれがある妨害運転」によって、重大な交通事故につながる危険を生じさせた場合、著しい交通の危険がある妨害運転として、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることがあります(道路交通法第117条)。
また、違反点数35点が加算され、欠格期間3年の運転免許取消し(前歴や累積点数がある場合には欠格期間最大10年)が科されることもあります(道路交通法第103条、道路交通法施行令38条)。

加えて、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止したり、著しく接近したりする運転などで人を負傷させた場合には、15年以下の懲役、人を死亡させた場合には1年以上の有期懲役に処されることがあります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)。

これら以外にも、あおり運転に伴って相手に危害を与えるような行為があった場合、暴行罪、傷害罪、脅迫罪などの罪に問われることがあります。

あおり運転とみなされる運転の具体例

あおり運転とみなされる運転には、いくつかのパターンがあります。あおり運転とみなされる運転とはどのようなものなのか、10の具体例を見ていきましょう。

1 対向車線へのはみ出し

対向車線へのはみ出し

センターラインをまたいで対向車線にはみ出す運転も、あおり運転とみなされる場合があります。後続車に対し不安感を与えるだけでなく、対向車を脅かす目的で故意にはみ出すようなケースもあり、不特定の車を対象とするあおり運転ともいえるでしょう。この場合も、大きな事故につながるおそれがあります。

2 危険回避目的でない急ブレーキ

危険回避目的でない急ブレーキ

後続車などに対する嫌がらせとして、危険回避目的ではない急ブレーキを踏む行為もあおり運転のひとつです。危険回避などの場合を除き、急ブレーキをかけることは道路交通法第24条で禁じられています。後続車による追突を誘発させるために行われるあおり運転の事例もあります。

3 車間距離を詰める

車間距離を詰める

前を走る車の後ろに車間距離を詰めて接近したり、あるいはそのままぴったりと速度を合わせて走行したりするような運転は、あおり運転にあたる行為といえるでしょう。適切な車間距離を保持することは、道路交通法第26条で定められています。

4 急な進路変更

急な進路変更

後続車や並走車の前で急に進路を変えるといった運転は、急な進路変更にあたります。道路交通法第26条の2では、進路変更について「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」と定めており、非常に危険な運転です。

5 危険な追い越し

危険な追い越し

強引な追い越しや、追い越しが禁止されている場所で追い越しをするような行為も、あおり運転とみなされることがあります。あおり運転とみなされなかったとしても、危険な状況での追い越しは禁止されていますので注意してください。

6 妨害目的のパッシングや継続的なハイビーム

妨害目的のパッシングや継続的なハイビーム

パッシングとは、前方100mを照らすことができるハイビームを、複数回点滅させることです。先に行くように促したりする合図としてパッシングを行うこともありますが、後方などから威嚇や嫌がらせを目的としてのパッシングはあおり運転に該当します。

7 執拗なクラクション

執拗なクラクション

クラクション(警音器)は、道路交通法第54条において、標識などで定められている場所と危険防止のためにやむをえない場合のみ使用が認められています。ほかの車に対する執拗なクラクションなどは、あおり運転とみなされることがあります。

8 威圧目的での蛇行運転や幅寄せ

威圧目的での蛇行運転や幅寄せ

後続車の進行を妨げるように蛇行運転をしたり、隣の車線からわざと側面の距離を詰めたりする行為も危険です。蛇行運転や幅寄せは事故につながりやすい危険な運転というだけでなく、それを受ける側に恐怖心や不安感を抱かせてしまいます。

9 高速道路での低速走行

高速道路での低速走行

高速道路での低速走行も、あおり運転とみなされる場合があります。高速道路の最低速度は時速50kmですが、後続車に嫌がらせをするためにわざと時速50km以下で低速走行をするあおり運転の事例もみられます。

10 高速道路上での駐停車

高速道路上での駐停車

高速道路上での駐停車は、あおり運転とみなされる行為の一種です。高速道路上での駐停車は、道路交通法第75条の8により禁止されています。あおり運転の事例では、ほかの車の走行を妨げたり、ほかの車を停車させて文句を言うために自分の車を停車させたりするケースがみられます。

あおり運転の事例

あおり運転の事例としてよく知られているのは、2017年6月に神奈川県の東名高速道路で起きた事件です。あおり運転をする車によって追い越し車線に停車させられたワゴン車が、後続のトラックに追突されて夫婦が死亡、同乗していた長女と次女も負傷しました。
この事件について2019年の第一審では、あおり運転を行った被告に対して危険運転致死傷罪で懲役18年を言い渡しました。しかし、2021年に差し戻し審を開くことが決定され、2022年1月現在でも裁判が続いています。

2018年にも、バイクに対して著しく接近して自車を追突させ、被害者を死亡させるという事件が起きています。この事件では、殺人罪として懲役16年が確定しました。
2019年には、常磐自動車道で幅寄せや割込みなどを繰り返し、被害者が運転する車の進路を妨害して車を停めさせ暴行したという事件がありました。この事件では、被害者の車に設置されたドライブレコーダーで一部始終が記録されており、あおり運転を行った被告人には懲役2年6月、保護観察付執行猶予4年が言い渡されています。

あおり運転を受けたら警察に通報

自分自身があおり運転を受けてしまったときは、すみやかに警察に通報することが大切です。あおり運転を受けても、まずは冷静さを保って安全を確保してください。
安全で人目のある場所に車を停めて加害車両が通り過ぎるのを待ち、相手の車のナンバーなどを控えます。スマートフォンやカメラを使って撮影しておくといいでしょう。相手が車を停めて威嚇してきても、ドアや窓を開けずに警察が到着するのを待つようにしてください。

あおり運転を通報する流れについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
あおり運転を通報する流れとは?あおり運転の概要も解説

あおり運転の抑止のためにドライブレコーダーを設置しよう

ドライブレコーダー

近年、あおり運転が広く知られるようになり、それに対する罰則も厳格化されました。あおり運転を受けないように注意して運転することも大切ですが、どうしてもあおり運転を受けてしまうことがあるかもしれません。そのような場合には、状況を記録するためにドライブレコーダーを設置しておくと便利です。
ドライブレコーダーを設置していることを示すステッカーを貼ることで抑止にもなり、実際にあおり運転を受けたときにも役立つでしょう。

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■監修者
西山晴基
弁護士(元東京地方検察庁検事)
2016年に司法試験合格。2017年に検察官任官。さいたま・福岡・東京地方検察庁を経た後、2021年よりレイ法律事務所に入所。検察官としては、過失運転致死傷事件、危険運転致死傷事件をはじめ、あおり運転行為やひき逃げ行為の否認事件、交通事故に絡む保険金詐欺の否認事件等数多くの交通事件を経験し、交通事件における、捜査の流れ、刑事裁判での争われ方や立証方法について熟知している。

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