2020.03.05
【揺れが収まったらどうする?】地震後の行動
2020.03.05
【揺れが収まったらどうする?】地震後の行動
2011年3月の東日本大震災では、日本の観測史上最大規模の地震が発生し、その影響は非常に広範囲に及びました。こうした大きな地震を経験した方の中には、地震の直後、混乱して取るべき行動がわからなくなってしまった方もいるのではないかと思います。地震の直後には、まずどのような行動を取れば良いのでしょうか。今回は、地震の揺れが収まった直後にするべきことや、その際に注意したいポイントをご紹介します。
揺れが収まった直後はまず安全を確保して
動き始めるのは「揺れが収まってから」
地震が発生すると、怖さからつい焦って逃げたり、家財を守ろうとしたりしてしまいがちです。しかし、揺れている最中は足元も不安定ですし、周りの物が落ちたり倒れたりしてくるかもしません。思うように動けなかったり、ケガをしたりするリスクが高くなりますから、まずは近くにある安全な場所に留まり、揺れが収まるのを待つようにしましょう。
足元や頭上に注意しながら「出口の確保」と「火元の始末」を
揺れが収まったら、まずやりたいことは2つ。1つは、家具が倒れて通路をふさいだり、建物がゆがんでドアが開かなくなったりするのを避けるために、通路を作ってドアを開け「出口を確保」すること。もう1つは、キッチンや暖房など火を使っているものを消し、火が出てしまった場合、消火器で初期消火を行うなど「火元の始末をする」こと。ただし、初期消火が可能なのは火が出てからおよそ2分程度、火が天井に燃え移るまでといわれています。初期消火が難しいと思われる場合は、避難を優先しましょう。揺れが収まったとはいえ、足元に割れ物が散乱していたり、上から物が落ちてくる危険性があるため、充分に注意しながら行いましょう。
場所・状況別「動き始めの注意ポイント」
物が「落ちてこない・倒れない・移動してこない場所へ」
家の中でも外でも、地震後の基本は安全な場所へ移動すること。安全かどうか判断する基準はいろいろありますが、以下のような点がポイントです。
・電灯や棚の中身、看板、割れたガラスなどの物が落ちてこない
・家具や塀、門などが倒れてくる危険がない
・重い荷物や車両などが移動してこない
割れ物が散乱している室内は厚いスリッパや靴で移動を
ガラスや陶器などの割れ物が散乱している室内では、足にケガを負い、歩けなくなるリスクが高まります。割れ物が刺さったりしないよう厚いスリッパを履いたり、玄関が近い場合は底のしっかりした靴を履いて移動するようにしましょう。
トイレは揺れている最中でもドアを開けて
ドアがゆがんだりして閉じ込められると避難できませんし、狭いトイレでは部屋の中にいるよりも厳しい状況になることが考えられます。揺れている最中でもドアを開け、出口を確保しましょう。
浴室は頭を守りながら速やかに出る
入浴中は衣類を身に着けていないためケガのリスクが高まります。さらに、浴室には電灯や鏡など割れると危険な設備も。洗面器で頭を守るなどしながら速やかに外へ出るようにしましょう。
古い建物は一階へ降りずに様子を見て
旧耐震基準(※)で建てられた二階建て住宅などでは、一階が倒壊してしまう可能性があり、二階から慌てて階下へ降りるなどすると、倒壊に巻き込まれかねません。耐震性が不確かな建物の場合は、二階以上にいた方が安全なこともありますから、様子を見て避難するべきか判断しましょう。
※1981年5月31日以前の耐震基準を旧耐震基準、同6月1日以降の耐震基準を新耐震基準といいます。
閉じ込められたら叫ぶよりもドアや壁を叩く、笛を吹く
家具が倒れたりして閉じ込められてしまった場合、助けを求めることも大事ですが、救援を待つ間、むやみに体力を消耗しないようにすることも重要です。大声を出し続けるよりも、崩壊の危険がないと思われるドアや壁を叩いて大きな音を出すなど、体力を温存できる方法で居場所を知らせるようにしましょう。音の通りやすい緊急用の笛を吹くことなども有効です。
屋外では広い場所か丈夫な建物へ
屋外にいるときに地震が起こった場合は、落下物や建物の倒壊に注意しながら、そういった危険が少ない広い場所、例えば公園や平地駐車場などへ避難しましょう。近くにない場合は、新しい鉄筋コンクリートのビルなど、比較的耐震性が高いと思われる建物の中へ避難します。
電車内では緊急停止に備えて
走行中の電車は地震が起こると緊急停止しますので、反動で思わぬケガをする危険があります。座っている場合は荷物などで頭を守り、立っている場合は周囲につかまる、足を踏ん張るなどして備えましょう。
これだけは避けて!「発災直後のNG行動」
自分勝手な行動をしない
発災後の街頭や電車内、公共の建物内などで最も怖いのが、パニック状態になることです。冷静な振る舞いを心がけ、我先に出口に殺到する、自分の判断で線路へ降りるなどの勝手な行動は慎みましょう。避難などについては、駅員など、その場所の安全確保を担当する人の指示に従うようにします。
火を点けない
目には見えていなくても、周囲でガス漏れが起こっている可能性があります。引火や爆発を避けるため、キッチンなどで地震前から点いていた火を消すのに加えて、新たに火を点けることも避けるようにしましょう。
電気のブレーカーを上げない・スイッチにさわらない
部屋が暗かったりすると不安になるものですが、落ちてしまった電気のブレーカーを上げたり、壁のスイッチに触ると、火花が発生して引火や爆発につながる可能性があります。
エレベーターを使わない
地震直後は動いていても、その後止まって閉じ込められてしまうといったことも考えられます。また、乗っている最中に地震が起こった時は、速やかにすべての階のボタンを押し、停まった階で降りて安全な場所で揺れが収まるのを待ちましょう。
不急の用事で電話をしない
自分の身を守る以外でも気を付けたいことの1つが電話。地震直後は消防・救急への通報や安否確認の連絡などが増え、電話回線の負荷が高まります。安否確認などはSNSなどを活用し、急用以外で電話をかけるのは避けましょう。
1人で救出活動をしない
誰かを助けようと1人で救出を試みて自分もケガをしてしまったり、動けなくなってしまったりと、救出活動にも危険が伴います。周囲に声をかけ、複数人で救出するようにしましょう。
車で避難をしない
避難に車を使用すると、渋滞が起こりかえって避難が遅れたり、救急車両の通行を妨げてしまうことが考えられます。日ごろから、自宅や職場などから徒歩で行ける避難先をチェックしておきましょう。
車を施錠したまま避難しない
乗車時に地震が起こった場合、車を置いて徒歩で避難する可能性も考えられます。この時、車を施錠したまま避難してしまうと、救急車両などが通行する際に車を動かすことができなくなってしまいます。キーやスマートキーは付けたまま、貴重品や車検証を持って車から離れるようにしましょう。連絡先のメモも車内に残しておけると安心です。
いざという時、あれもこれもと思い出しながら行動するのはなかなか難しいもの。あらかじめ、自宅や職場などで地震が起こった際に取るべき行動をシミュレーションしておいたり、取るべき行動・注意点をメモにまとめて携帯しておくのがおすすめです。他にも、就寝中に地震があってもすぐに動けるよう寝室に歩きやすい靴を用意しておくなど、日ごろからの備えで、急な地震が起きても落ち着いて行動できるようにしましょう。
参考:
防災ブック「東京防災」
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/1000026/1005642.html