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季節のそなえ

2022.07.07

【水深10cmでも危ない】水のレジャーの安全対策

季節のそなえ

2022.07.07

【水深10cmでも危ない】水のレジャーの安全対策

水のレジャーが盛り上がる季節、海や川だけでなく、私営・公営のプールや自宅に設けた家庭用のビニールプールなどでも、周りの目が届かなかったほんの少しの間に痛ましい事故が発生しています。今回は、水の事故の事例や気をつけたいポイントなどをご紹介します。


夏の水難事故の約半数は「海・川でのレジャー」で起こる

海・川での水難事故は全体の8割以上、水泳・水遊び・釣りの際の事故が半数近く
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警察庁「令和3年夏期における水難の概況」の表5 死者・行方不明者の場所別数をもとに作成

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警察庁「令和3年夏期における水難の概況」の表7 死者・行方不明者の行為別数をもとに作成

警察庁「令和3年夏期における水難の概況」によると、水難の死亡・行方不明者が発生した場所は「海」と「河川」の合計で全体の85%以上に及んでいます。また、水難に至った行為は「水泳」、「水遊び」、「魚とり・釣り」といった、いわゆる水のレジャーに関連するものの合計が全体の48%以上となっており、つまり、夏の水難の半数近くは「海・川でのレジャー」で起こっているのです。

海・川で行動するための知識と安全意識がポイントに
この結果が、仕事などで海・川に出る機会が多い人も一定数いる上でのことだと考えると、海・川でのレジャーのリスクの高さが浮かび上がってきます。
両者の大きな違いとして考えられるのが「海・川で行動するための経験・知識」と「安全に対する意識」です。レジャーにおいては気が大きくなりやすく「少し遊ぶくらい大丈夫だろう」と考えがちですが、適切な知識と安全対策がもしもの時の助けになります。
次からは、海・川に慣れていない人でも意識しておきたい、水の事故対策をご紹介します。

海・川での水の事故を防ぐには?

海水浴以外のマリンレジャー、川でのレジャーは必ずライフジャケットを

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監視員やライフセーバーがいるエリアでの海水浴を除く、海釣りやマリンスポーツなどの海のレジャー、川釣り、川遊び、リバースポーツなど川に入るレジャーでは、必ずライフジャケットを着用しましょう。足がつかない深さの場所や水の流れの速い場所で水中に落ちたり、流されたりしてしまっても、ライフジャケットを正しく着用していれば、水面に浮いて助けを待つことができます。
また、もしもの時に備えて地域や水泳教室で開催されている着衣水泳の講習会なども受けておきたいところです。

川では禁止区域には立ち入らない
川でのレジャーでは立入禁止区域には近寄らないようにしましょう。川の流れは複雑です。一見緩やかでも川底の流れが速くなっていたり、急に流れが速くなっている場所があったりします。

海水浴は監視員やライフセーバーのいるエリアで

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浅瀬での海水浴の場合、監視員やライフセーバーのいるエリアを出ないようにし、遊泳禁止区域には近付かないようにしましょう。一見安全そうに見える遊泳禁止区域でも、離岸流が発生する場所が含まれていることもあります。

離岸流とは?
海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとするときに起こる強い流れのことで、気づかないうちに足がつかない深さまで流されてしまうことがあります。手で水をかくだけでは流れに逆らえないことも多く、泳げる人でも沖まで流されてしまうことも。もし離岸流に流されたら落ち着いて周囲に助けを求め、岸に向かうのではなく、岸と平行に泳ぐようにしょう。離岸流の幅は10~30m程度と狭いので、平行移動することで抜け出せる可能性が高まります。泳げない方は、水面に浮いて助けを待ちましょう。


防水パックに入れたスマートフォン・携帯電話で連絡手段を確保
流されてしまったり、離れた場所に孤立してしまったりした際に救助を求めるため、スマートフォンや携帯電話を防水パックに入れて持っておくと安心です。ネックホルダーで首にかけるなどしておくと、水中に落とす心配もありません。

荒天や体調が悪い時は無理をしない
荒れた天気の日は海や川の様子が変化しやすいため、慣れている人でも行動を控えることが多いものです。そして、海や川が穏やかであっても、疲労や飲酒、睡眠不足などで体調が悪いまま水に入ることは思わぬ事故を引き起こしかねません。「せっかくだから」と欲を出さず、身の安全を第一に考えて行動しましょう。

子どもからは常に目を離さない
子どもは一瞬目を離したすきに足を取られて溺れたり、転んで岩などでケガをしたりすることが考えられます。「気がついたらいなかった」では手遅れになりかねません。空白の時間を作らず、常に子どもたちを見守れるよう、大人が複数人で協力し合って行動しましょう。

大人も単独行動を避ける
子どもだけでなく、大人にもいつどんな事故が起こるかわかりません。万一の際にいち早く助けを求められるよう、海や川では単独行動を避けるようにしましょう。スマートフォンなどの連絡手段があったとしても、状況によっては使えない可能性もあるのです。

海で溺れたら「浮いて待つ」
海で溺れてしまった場合の基本は「水面に浮いて救助を待つ」ことです。手足を大の字に広げて仰向けに浮き、手を水面よりも下げ、大きく息を吸って空気を肺に溜めます。ペットボトルなど浮き具になるものがあれば胸に抱え、服や靴は脱がずに浮き具として利用しましょう。
ライフジャケットを着けていたり浮き輪を持っていたりする場合は、片手を振るなどして救助を求めるとよいですが、ない場合は手を振るだけでも水中に沈む危険があるので、浮くことに専念しましょう。

プールでの水遊び、家庭用のミニサイズでも油断禁物!

公共のプールは安全と思い込まず、自ら備えを
泳ぐことを目的に作られていて、監視員もいる公共のプールは安全だと思い込みがちですが、それも正しい利用方法あってのこと。禁止事項などのルールを守り、体調も考慮しながら無理なく利用しましょう。
体に合った水深のプールを選ぶことも重要です。「プールの安全標準指針(平成19年3月 文部科学省・国土交通省)」では、体に合った水深について「概ね立った状態で、肩が水面から出ていることを目安とする」とされています。子どもと一緒に泳ぐ際などは特に意識しておきましょう。

小さい子どもは水深10cmでも起き上がれず溺れてしまう

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消費者庁「子どもの不慮の事故の発生傾向~厚生労働省「人口動態調査」より~」より引用

消費者庁「子どもの不慮の事故の発生傾向~厚生労働省「人口動態調査」より~」によると、子どもの溺水事故の場所で最も多いのは「浴槽」で、特に0歳~1歳の乳幼児の事故が多く起きています。
「プール」での溺水は件数こそ少ないのですが、水遊びよりも入浴の方が何倍も機会が多いこと、また家庭での水遊びは浴室と同様に少人数の大人しかいないであろうことを踏まえると、家庭用を含めたプール自体のリスクは決して低いものではないことが窺えます。

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小さい子どもは体の割に頭が重く大きくて体のバランスをとることも転び方もうまくできないため、滑りやすい水中ではさらに立ち上がりにくくなります。たとえ水深10cmでも、うつぶせに倒れて気管に水を吸い込み溺れてしまうといったことが起こり得るのです。また、溺れなくても転んで頭を打ったり、持っていたおもちゃでケガをしたりといった事故が起きています。
家庭用プールであっても油断せず、子どもだけで遊ばせるのは避け、海や川と同じように大人が絶えず見守るようにしましょう。また、プールの周囲も濡れて滑りやすくなっていますから、走り回ったりしないよう子どもにしっかりと伝えることも大切です。

もしも子どもが溺れてしまったら、ただちに応急処置と救急車を
まずは大きな声で呼びかけ、反応があるか、呼吸をしているかを確認しましょう。ない場合にはただちに胸骨圧迫や人工呼吸をしてください。他に大人がいる場合には同時に救急車を呼び、もしも自分しかいない場合には、先に胸骨圧迫・人工呼吸を2分間行ったうえで救急車を呼ぶようにしましょう。意識がある場合も落ち着いて体を拭き、必要に応じて病院を受診してください。

海や川など自然の中でのレジャーはもちろん、家庭でのプール遊びも、いつもと違う高揚感を覚えて、ついはしゃいでしまいがちです。決して油断せず、ケガや命の危険がある遊び方であることも意識して、万全に備えた上で楽しむようにしたいものです。


参考:
政府広報オンライン「水の事故、山の事故を防いで海、川、山を安全に楽しむために」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201407/3.html
政府広報オンライン「マリンレジャーを楽しむために 安全対策を忘れずに!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201608/1.html
東京都建設局「水難事故の防止」
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/kasenbu0153.html
第九管区海上保安本部情報部「離岸流」
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/ripcurrent/ripcurrent.htm
海上保安庁「遊泳の安全情報|身に危険が迫ったと感じたときの対処法」
https://www6.kaiho.mlit.go.jp/watersafety/swimming/03_help/index.html
文部科学省「プールの安全標準指針(平成193月 文部科学省・国土交通省)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/boushi/1306538.htm
消費者庁「Vol.510 家庭用プールでの事故に注意しましょう!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20200702
スポーツ庁「幼児期の運動に関する指導参考資料[ガイドブック]第1集」
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop03/list/detail/1397123.htm
公益社団法人 日本小児科学会「こどもの家庭内事故を防ごう 溺水」
http://kodomo-qq.jp/jiko/index.php?pname=jiko_dekisui

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