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日頃のそなえ

2021.05.06

【倒れている人を見かけたら】応急手当をおさらい

日頃のそなえ

2021.05.06

【倒れている人を見かけたら】応急手当をおさらい

もしも、目の前で人が倒れていたら……どう行動すればいいか想像してみたことはありますか?「そんなことは滅多に起きない」と考えがちですが、だからこそ、いざそうなった時のための心構えが大切です。今回は、倒れている人への応急手当について、感染症対策も交えてご紹介します。


一般市民の応急手当で多くの命が救われている

一般市民が心肺停止の応急手当を行うのは約6割、中でもAED使用は少ない

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出典:消防庁「令和元年版 救急救助の現況 」(https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-1.html


消防庁「令和元年版 救急救助の現況」にある「一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者のうち、一般市民による心肺蘇生等実施の有無別の生存率(平成 30 年) 」(図)によると、平成30年中に「一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数」、つまり「倒れて心肺停止している人を一般市民が目撃した数」のうち、一般市民が心肺蘇生を行ったケースは約60%。そのうち「除細動を実施した」、つまりAEDを使ったケースは10%にも届きません。


AEDを使わない心肺蘇生でも、1ヶ月後生存率はやらなかった場合の2
一方、一般市民が心肺蘇生を行った場合の1ヵ月後生存者数は、行わなかった場合の約2倍。さらにAEDでの除細動を実施したケースでは、その半数以上が1ヵ月後も生存しています。救急車が到着する前の応急手当は、これほど重要なことなのです。

「倒れている人への応急手当」をおさらいしよう

いざという時に慌てないよう、ここで改めて「倒れている人への応急手当」の手順についておさらいしておきましょう。

・安全確保
倒れている場所が車道や工事現場の近くなどの場合、倒れている人はもちろん救助者も危険です。まずは安全な場所へ移動させましょう。

・倒れている人への呼びかけ

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倒れている人に意識があるかどうか、肩をたたきながら声をかけて確かめます。知人であれば、名前を呼ぶのも効果的です。

・救助に協力してくれる人を呼ぶ

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倒れている人の意識がない場合は「誰か来てください!」、「人が倒れています!」など、大きな声をあげて救助に協力してくれる人を呼びましょう。
集まった人が戸惑っていたら「あなたは救急車を呼んでください」、「あなたはAEDを探して持ってきてください」、「あなたには心肺蘇生を途中で代わってほしいです」など、指名しながら具体的なお願いをするようにしましょう。
誰もいない場合は、次に紹介する応急手当の手順よりも先に、あなた自身が救急車の手配やAEDの確保を行います。

・呼吸を確認

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倒れている人の胸や腹の動きを見て、普段通りの呼吸をしているか確認します。呼吸をしていなかったり、しゃくり上げるような呼吸をしたりしている場合は、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を施し、AEDが到着次第使用を開始します。判断に迷う場合は、胸骨圧迫をし、AEDを使って構いません。
普段通りの呼吸をしているようであれば、倒れている人に回復体位(上記イラスト)を取らせ、救急隊員を待ちます。

・胸骨圧迫(心臓マッサージ)

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AEDが到着するまで、または救急隊員が到着するまでの間は、胸骨圧迫を施します。倒れている人の胸の真ん中に両手のひらの底(掌底)を重ねてのせ、肘を伸ばしたまま真上から胸が約5センチ程度沈む強さでグッと押してください。手がずれたり、離れたりしないように注意しながら、1分間に100120回の速さで繰り返し続けます。力のいる作業ですから、他に人がいる場合は交代で担当するとよいでしょう。

AEDの使用は機器の指示に従えばOK、必要かどうかも判断してくれる

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AEDはスイッチを入れると音声で使い方を指示するようになっていますので、それに従いましょう。AEDによる電気ショックが必要かどうかも、倒れている人に装着すれば、AEDが判断します。

感染対策は?倒れているのが女性だったら……こんな時どうする?

人工呼吸は基本的には行わない
応急手当のおさらいをしながら「人工呼吸はしないのかな?」と思った方もいるかもしれません。実は、一般市民が応急手当てをする場合、人工呼吸を併用するよりも胸骨圧迫のみの方がやや救命率が高いという研究結果があるのです。訓練を受けた方はこの限りではありませんが、昨今は感染症予防の観点からも、基本的に人工呼吸は行わなくてよいとされています。

応急手当の際はお互いにマスクや口を覆うものを着け、顔を近づけすぎないように
倒れている人も助ける人も、ウイルスなどに感染している可能性がないとは言えません。心肺蘇生でエアロゾル(ウイルスなどを含む微細な粒子)が発生することもありますから、応急手当の際はお互いにマスクを着けるか、タオルで口を覆うなどするようにしましょう。呼吸を確認するときなども、顔を近づけすぎないようにし、人数に余裕があれば部屋の換気などにも気づかいましょう。口を覆うのに使ったタオルなどは、直接触れないようにして廃棄します。

女性の応急手当も躊躇は無用!人を呼んで助けてもらう方法も
自分が男性で、倒れている人が女性だった場合、肌を出さなければならないAEDの使用を躊躇するケースもあるといわれます。しかし、善意の救助行動であれば、民事責任を問われることはありません。倒れている人に配慮するのであれば、着衣を脱がさず、ずらすなどしてAEDのパッドを貼る、上から上着やタオルなどをかけて覆うといった方法もあります。また、呼び集めた人の中に女性がいればAEDの作業を代わってもらい、自分は倒れた人を人目から隠す方に回るといったこともできます。

最新の機器類や研究結果、そして感染症の流行などを受け、応急手当の方法も少しずつ変わってきています。これを機に、もう一度「目の前で人が倒れたらどうするか」を考え、もしもの時に備えてみてはいかがでしょうか。


参考:
総務省消防庁「令和元年版 救急救助の現況」
https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-1.html

東京消防庁「倒れている人を見たら 心肺蘇生の手順」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/life01-2.html

日本赤十字社「もしものときは!? コロナ禍における一次救命処置」
http://www.jrc.or.jp/publication/news/200819_006353.html

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