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日頃のそなえ

2019.12.05

【実は年々減っている?】統計に見る交通事故の傾向

日頃のそなえ

2019.12.05

【実は年々減っている?】統計に見る交通事故の傾向

痛ましい交通事故の報道も多かったこの1年。しかし、統計を見ると近年、交通死亡事故の件数は減少傾向にあるのをご存じでしょうか。たびたび話題にのぼる高齢運転者の交通死亡事故も、実は極端に増えているわけではないのです。今回は、平成30年と令和元年上半期の統計を見ながら、交通事故の傾向と、しかるべき備えを探っていきます。


交通事故の死者数は近年減少傾向にある

ただし「65才以上の運転者による事故」が占める率は増えている
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警察庁交通局「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」
※警察庁交通局の資料では65才以上を「高齢者」としています。

警察庁交通局が公表している統計表によると、交通事故の死者数は近年ずっと減少傾向で、人口10万人あたりの死者数も同様に減少傾向にあります。
令和元年上半期の交通事故死者数(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R1kamihanki_bunseki2.pdf)を見ても、前年までの上半期に比べて死者数が減っていることから、この傾向は現在も続いているものと思われます。

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一方、65才以上の交通事故死者数は、減少傾向にはあるものの他の年令層より減少幅が狭く、死者数全体に占める割合が年々増えてきています。少子高齢化の影響という側面もありますが、その上で高齢者の交通事故をいかに防ぐかが重要だということがわかります。


目立つ印象の「高齢運転者による死亡事故」件数は横ばい~減少傾向
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警察庁交通局「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」


高齢者と交通事故といえば、近年は「高齢運転者による死亡事故」が増えていると感じる方も多いかもしれません。同じ統計表によると、実は75才以上の運転者による死亡事故件数はここ数年ほぼ横ばいで、免許人口10万人当たりの件数では、むしろ減少傾向にあるのです。高齢運転者による死亡事故が増えたのではなく、メディアなどで大きく報じられる事故が目立つということなのかもしれません。

高齢運転者の「ハンドルの操作不適」、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」はやはり多い
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警察庁交通局「令和元年上半期における交通死亡事故の発生状況」

同じく警察庁交通局による令和元年上半期の統計では、死亡事故の人的要因について、運転者の年代を分けて比較しています。75才未満の運転者では「安全不確認」や「前方不注意」が多くを占める中、75才以上の運転者では「操作不適」がダントツ。メディアで大きく報じられる事故と同様に「ハンドルの操作不適」や「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が多く起こっていることがわかります。

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歩行中・自転車乗車中も交通ルールを守って

交通事故死の半数は歩行中・自転車乗車中
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警察庁交通局「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

警察庁交通局の統計表によると、ここ数年、交通事故死者のうち約半数は歩行中・自転車乗車中の事故で亡くなっています。特に歩行中の事故で亡くなった方は、過去10年間、最も多いという状況が続いています。


歩行中・自転車乗車中の死者の半数以上に「法令違反」あり
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警察庁交通局「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

「歩行中・自転車乗車中の交通事故死者が多い」と聞くと、自動車やバイクなどの事故に巻き込まれた被害者が多いかのようにも見えますが、そうとも言い切れません。実はここ数年、歩行中・自転車乗車中の交通事故で亡くなった方の半数以上に、横断違反(歩行者)や安全運転義務違反(自転車)などの法令違反があることが統計表で示されています。

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しかも、交通事故死者数が年々減り続ける中で、法令違反者の占める割合は高齢者以外の年代だとほぼ横ばい。高齢者の場合は年々減少傾向にありますが、それでも全体の半数以上を占めています。自動車の運転中だけでなく、歩行中や自転車乗車中もしっかり交通ルールを守ることが、自分の身を守ることにもつながるのです。

交通死亡事故件数が減少傾向にある中で、特徴的な傾向として以下の3つが考えられます。
・高齢運転者の事故は増えていないが、操作間違いを原因とするケースは多い
・高齢運転者の事故が増えていないのに高齢の事故死者割合が増えていることから、運転中ではなく歩行中などに事故に遭う高齢者が多い
・歩行中、自転車乗車中に法令違反の状況で事故死するケースが多く、中でも高齢者が半数以上を占める

高齢者に顕著な違反内容は歩行中だと「横断違反」(横断歩道外横断、走行車両の直前直後横断など)、自転車運転中だと「安全運転義務違反」(操作不適や安全不確認など)となっています。
交通事故総合分析センター「交通事故分析レポート No.118」によると、高齢歩行者による横断中の事故が多いのは買い物や散歩、飲食などで出歩くことが多い16時~21時、場所としては自宅から500m圏内、進行方向右から左への道路横断中後半となっています。
同レポートでは、右から左へ渡る高齢歩行者が「横断開始後は右からくる自動車に注意するが、中央線を越えた後、左からくる自動車に対する注意が疎かになりがち」だと分析されています。また以上を踏まえて、高齢歩行者と運転者それぞれが注意すべきことを提案していますので、以下に主なものを抜粋して紹介します。

高齢歩行者
・無理な横断はせず、車を発見したら横断せずに待つ
・時間がかかる斜め横断はやめる。
・横断中は常に左右方向の安全確認を行う
・夜間の外出時に視認性の高い色や反射材がついた衣服を着用する
・慣れている場所こそ警戒心を持って

自動車運転者
・自動車の存在を認知してもらうため、日没前からの早めの前照灯点灯を
・歩道や路肩帯に立っている歩行者を見たら横断するかもしれないと考え、万が一に備える
・対向車線側の歩道や路肩帯、横断中の歩行者にも注意を払う
・走り慣れている道だからこそ危険が潜んでいるという意識を持って
・店舗が集中している、特に対面で立ち並んでいる場所は急な横断が多いと考える
・道交法第71条第2号の2には、運転者による高齢歩行者の保護(通行を妨げないよう一時停止したり、徐行する)が義務付けられている

自分自身が交通安全に努めるのはもちろんですが、周囲にも目を向け、心を配ることを習慣づけることが大切です。より多くの人が事故なく安全に過ごせるよう備えましょう。

参考:
警察庁交通局「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/H30sibou_tokucyo.pdf

警察庁交通局「令和元年上半期における交通死亡事故の発生状況」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R1kamihanki_bunseki2.pdf

交通事故総合分析センター「交通事故分析レポート No.118」
https://www.itarda.or.jp/contents/149/info118.pdf

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