サステナビリティ活動の一環として、損害保険事業の使命である自然災害の防止・減少を図り、環境保全面で世界的な問題である熱帯林の減少問題を改善するために、インドネシア政府と共同で2005年度から「熱帯林の再生をめざしたプロジェクト(ジャワ島パリヤン野生動物保護林)」を行っています。2021年3月末で第Ⅲ期プロジェクトが完了し、現在は、第Ⅳ期プロジェクトを実施中です。周辺地域住民への苗木の配布、植林・育林指導等の生計向上支援を行うなど地域経済の活性化と小学校の先生や生徒等に対する環境教育等により「森林の再生と持続可能な地域社会の形成」を進めています。この取組が評価され、2020年9月にインドネシア政府より、自然環境保護賞(企業部門)を受賞しました。

「パリヤン野生動物保護林再生プロジェクト」概要

プロジェクト名 ジョグジャカルタ特別州野生動物保護林の修復と再生
目的
  1. 劣化した野生動物保護林の修復と再生
  2. ジャワ島の在来樹種による熱帯林の造成
  3. 農業技術指導、果樹供給等による地域経済への貢献
  4. 環境教育の実施による森林の大切さの啓発

上記を通じて、「森林の再生と持続可能な地域社会の形成」を図る

植樹本数 ジャワ島内の在来樹種、有用樹、果樹等を約30万本植樹
場所 ジャワ島ジョグジャカルタ特別州「パリヤン野生動物保護林」内の350ヘクタール
第Ⅰ期プロジェクトの概要(2005年4月~2011年3月)

インドネシア環境林業省が、初めて日本の民間企業と連携して植林を実施

  • 在来樹種を中心とした植林を行い、自然に近い形で動植物種を復元し、果樹、農作物等も植林する「アグロフォレストリー方式」(※1)で地域住民の皆さんへ経済的支援を実施
  • 地元のガジャマダ大学に委託し、森林・生態系回復のモニタリング調査を実施
  • 不法伐採を繰り返さないため、地元の小学生に環境教育を実施。また、インドネシア現地法人が地元の小学校に学用品・楽器等を寄付
  • 今後20年間で約7万tのCO2を吸収(※2)し、地球温暖化防止に貢献
  • ※1「アグロフォレストリー方式」:樹木が成長するまでの間に人々の暮らしを潤すため、短期間で収入が得られる農作物の栽培と植林を組み合わせる方法
  • ※22019年度の調査でのCO2吸収量は、14年間で約31,700t
第Ⅱ期プロジェクトの概要(2011年4月~2016年3月)

植栽の管理に加えて、以下のような活動を推進

  • 森林の生態系回復状況を見守るため、ガジャマダ大学に委託して鳥と昆虫を指標とした生物多様性のモニタリングを継続実施
  • 地元農民の経済的自立を図るため、農業技術指導の実施
  • 不法伐採を繰り返さないため、学校の教師を対象に環境教育を実施
  • 地元農民、行政組織等ステークホルダーとの保護林活用・保全に関する協議を実施
第Ⅲ期プロジェクトの概要(2016年4月~2021年3月)

パリヤン維持管理・環境教育に加え、以下のような活動を推進

  • 苗木を住民に配布し植林・育林方法の指導等による、住民の生計向上への貢献と不法伐採の防止
  • プロジェクト活動の拠点となるセミナーハウスの維持管理、フォーラム(林業管理事務所が中心となって保護林を管理する組織の名称)の運営支援、モニタリング
  • ガジャマダ大学に委託している小学校の先生への環境教育
第Ⅳ期プロジェクトの概要(2021年4月~2024年3月)

パリヤンの植栽の維持管理に加え、以下のような活動を推進

  • 保護林周辺の住民の生計向上を図るため、農業協同組合の自立化推進の後方支援、周辺地域における住民協働型植林の実施
  • 外部からの視察団の受け入れ等パリヤン野生動物保護林の多面的な活用
  • プロジェクト活動の拠点となるセミナーハウスの維持管理、フォーラム(林業管理事務所が中心となって保護林を管理する組織の名称)の運営支援、モニタリング
  • ガジャマダ大学に委託している小学校の先生等への環境教育
  • 住民協働型植林の苗木生産の様子
  • ガジャマダ大学による環境教育の様子
  • ジョグジャカルタ特別州農業関係者の訪問
  • 2005年10月の様子
  • 2023年4月の様子

インドネシア熱帯林再生プロジェクトのKPI

取組内容 KPI 実績値
森林再生 荒廃した350haの土地に植樹 植栽本数 延べ40万本(うち補植10万本)
CO2固定量 14年間で約31,700t-CO2
地元住民への経済的貢献 延べ雇用人数 植栽に15,000人
生物多様性の回復 鳥類と昆虫を指標とした生物多様性モニタリング 鳥・チョウ・アリの種数
  • 鳥:21種⇒44種
  • チョウ:4種⇒13種
  • アリ:6種⇒8種
多様度指数

Shannon-WienerのH'は、

  • 鳥:2.39⇒4.01
  • チョウ:1.93⇒2.64
  • アリ:0.976⇒2.34
モデル林との鳥類相の類似度 Bray-Curtis指数で17%⇒58%
環境教育 小学校教師・生徒を対象とした教育 対象学校数/受講者数 1校/20名(2012年度)
1校/20名(2013年度)
1校/20名(2014年度)
2校/40名(2015年度)
2校/40名(2016年度)
2校/40名(2017年度)
2校/40名(2018年度)
小中学校教師・生徒を対象とした教育 対象学校数/受講者数 2校/277名(2019年度)
小学校教師・生徒の親等を対象とした教育 対象学校数/受講者数 1校/40名(2020年度)
青年団教師・生徒の親等を対象とした教育 受講者数 37名(2021年度)
学校の教師・生徒・若者(カラン・タルナ)を対象とした教育 受講者数 40名(2022年度)
地元小学校との交流 日本からの交流ツアーに参加した人数 136名(2014年~2019年度)
2020年度は新型コロナ感染防止のため実施せず
生計向上 農業技術指導
(トウガラシ等の作付指導・マーケティング教育等)この農業技術指導の参加者が下記の「農業協同組合」を設立
このプログラムの参加者数 40名(2015年度)
農業法人参加者数 38名(2020年度)
農業協同組合の設立と自立支援 農業法人の売上 36,701,160Rp(2014~2016年度)
24,504,312Rp(2017~2018年度)
27,079,365Rp(2019~2020年度)
住民協働型植林プログラム 周辺住民に植林・育林指導した世帯数/配布した本数 80団体/43,737本(2017年度)
106世帯/49,814本(2018年度)
112世帯/44,725本(2019年度)
152世帯/35,275本(2020年度)
キノコ栽培とハーブ飲料製造の理論的指導と体験 キノコ栽培とハーブ飲料の理論的指導と実践プログラムに参加した農家数 40名(2021年度)

インドネシア熱帯林再生プロジェクトの紹介動画

「メラピ国立公園荒廃地回復プロジェクト」概要<2016年3月完了>

本プロジェクトの対象となるメラピ国立公園は、噴火により堆積された砂利の不法採取跡地の生態系の回復が大きな課題となっており、2012年度からJICAと協働して荒廃地の植生回復プロジェクトを推進しました。本プロジェクトは2016年3月末に完了しています。

プロジェクト名 インドネシア共和国メラピ国立公園における劣化した生態系の回復プロジェクト
目的
  1. メラピ国立公園の森林再生と生態系の修復、生物多様性の維持と向上
  2. 地域住民等を含むメラピ国立公園内のステークホルダーによる森林の保全システム構築の支援
  3. インドネシアにおける他の森林保全にかかわる関係者の能力向上の支援
期間 2012年9月~2016年3月
場所 メラピ国立公園(ジャワ島マゲラン県ルンブン郡ガブラック村、クミリン村)内50ヘクタール
植樹本数 プロジェクト周辺の農民から購入した苗を含めて合計41,000本を植樹