アジアは、ASEANやインドを中心に経済成長が著しく、保険市場もさらなる発展が見込まれます。当社は、1934年のタイ進出以来培ってきた安定した事業基盤をベースに、世界の損保会社で唯一ASEAN全10カ国で元受可能なネットワークを構築しています。ASEAN域内総収入保険料第1位のプレゼンスを有すとともに、インドや台湾などASEAN域外においても事業基盤を着実に強化しており、保険事業を通じて、中長期的にアジア各国・地域の経済発展に貢献し、ともに成長するためのさまざまな活動を行っていきます。
ASEANおよびアジア各国・地域の損害保険マーケットでのポジション(2022年度)
分散の効いた良質なポートフォリオを基盤に、アジア全域で収益性の高いリテール分野を中心にした取組みの推進
経済成長とともに増大する中間所得層を捕捉するため、JVパートナーやプラットフォーマー等と連携した販売チャネルの多様化に取り組み、リテール事業の拡大を進めています。
デジタルを活用したオンライン販売やビルトイン型保険の開発、商品・サービスのシンプル化、グループシナジー等によって競争力を高めるとともに、お客さまサービスの向上を推進していきます。
成長領域での事業拡大に向けた、外部パートナーとの提携
急速に変化するアジアの社会・経済ニーズに対応するため、高い専門性を持つ外部パートナーとの協業を進めています。例えば、医療・健康分野では保険引受代理店のSerenity Health Partners(シンガポール本社)との出資提携、再生可能エネルギー分野では保険引受代理店のRiskPoint Group(デンマーク本社)との提携、サイバーリスク分野ではサイバー保険やセキュリティサービスの開発・提供を行うCoalition(米国本社)との出資提携を実現しました。当社がこれまで培ったアジア事業に関する知見と、外部パートナーの専門性を掛け合わせ、アジア各国で更なる価値を提供します。
インドでの自動車保険に関する新しい取組み
インドでは、経済発展や自動車保有台数の増加に伴い、交通事故リスクの高まりや保険ニーズの多様化がみられます。こうした環境の中で、自動車保険は事故時の経済損失を補償するだけでなく、適切な運転行動を促すことで交通安全の向上にも寄与する保険商品と言えます。
チョラMS(インド現法)では、安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、新しい自動車保険モデル「Pay How You Drive」を導入しました。このモデルは、運転行動に基づいて保険料が変動する仕組みで、運転者の安全運転を促進し、事故リスクの低減が期待できます。
また、自動車保険の事故対応では、損害調査の信頼性・透明性を高めるため、インド損害保険業界で初となる社内アジャスター資格・研修制度を2024年度に導入しました。これは、損害調査の品質に対する社会的な期待が高まる中、対応する社員の専門性を高め、修理工場との適正な修理費協定を通じてお客さまから選ばれる保険会社になることを目的としています。
現在チョラMSが全社を挙げて進めている上記二つの取組を、今後はアジア地域の他拠点にも展開し、当社グループ全体で交通事故リスクの低減、安心・安全なモビリティ社会の実現に貢献していきます。
アジア生保事業を通じて、各国のお客さまに安心を提供すると共に、社会および生命保険市場の発展に貢献

アジアにおける今後の人口増加および経済発展が期待されるなか、当社はインドネシア、マレーシア、インド、中国等で生保事業を展開し、各国における生命保険の普及率向上という課題に挑戦しています。現地生保会社への、経営管理、販売網構築、ITシステム開発・セキュリティ強化、内部統制強化等の当社が有するノウハウ共有、支援を通じて、課題解決および生保市場の発展に貢献しています。
インドネシアにおける生保子会社の設立
2019年7月、MSIG生命インドネシア(当時はシナールマスMSIG生命)への出資比率を50%から80%に引き上げ、当社生保事業で初めての子会社としました。インドネシアは、生命保険の普及率が東南アジア諸国の中でも低い水準にあるものの、若年層を中心に世界4位 の人口を有するなど、今後の成長が大いに期待できる市場です。当社は同社を戦略上の重要拠点と位置付け、インドネシアにおける生命保険の普及と経済発展に寄与していきます。