2017.01.26
ヒートショックとは?症状や対策、お風呂等での注意点について解説
2017.01.26
ヒートショックとは?症状や対策、お風呂等での注意点について解説
冬になると起こりやすい家庭内事故に「ヒートショック」があります。とくに冬場は浴室や脱衣所の室温が低くなるため、急激な温度変化によってヒートショックが起こりやすくなります。最悪の場合は死に至るリスクもあるため、日頃の対策が欠かせません。
今回は、入浴中の事故に多いヒートショックの原因や対策についてご紹介します。
ヒートショックとは
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変化して、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞などを引き起こす健康被害です。11~4月に多く発生し、冬場に気をつけたい現象です。
ヒートショックが起きる原因とは
ヒートショックは急激な温度差によって、血管が収縮した結果、血圧の乱高下が起こります。血圧が上がれば、脳梗塞や心筋梗塞などの病気につながるおそれがあります。また、血圧が下がれば、めまいや立ちくらみが起こりやすくなり、転倒による怪我が起こりかねません。とくに、ヒートショックは年齢や体質、持病の有無が大きく関係します。下記をご参考に、もしも5個以上あてはまるかたがいらっしゃいましたら、ヒートショックには十分気をつけましょう。
No. | 項目 |
---|---|
1 | メタボ、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓・肺や気管が悪いなどと言われたことがある |
2 | 自宅の浴室には暖房設備がない |
3 | 自宅の脱衣室に暖房設備がない |
4 | 1番風呂に入ることが多いほうだ |
5 | 42度以上の熱い風呂が大好きだ |
6 | 飲酒後に入浴することがある |
7 | 浴槽に入る前のかけ湯をしない または簡単にすませるほうだ |
8 | シャワーやかけ湯は肩や体の中心からかける |
9 | 入浴前に水やお茶など水分をとらない |
10 | 1人暮らしである、または家族に何も言わずにお風呂に入る |
出典:西条市「ヒートショック危険度簡易チェックシート」
高齢者は要注意
高齢者(65歳以上)の方はとくに注意が必要です。年齢とともに血圧を保つ機能が低下するためです。急激な気温変化は身体に大きな負担を与えるため、持病がなく元気な方でも気を付ける必要があります。
持病があると身体への負担が大きい
持病のある方は、特に注意が必要です。なかでも糖尿病、脂質異常、高血圧の方はヒートショックを起こす危険性が高いとされています。なぜなら、動脈血管が硬くなることによって血管の機能が低下するためです。
もともと持病がある方は、血圧の上昇によって重度の意識障害や心臓麻痺などのように、危険な状態に陥る可能性もあります。
ヒートショックを注意すべき場所は浴室・トイレ・洗面所
最も起こりやすいのは浴室
ヒートショックが最も起こりやすい場所は、浴室です。脱衣所で冷えると血管が縮んで血圧があがり、厚い湯船につかると急激に血管が広がり血圧がさがるからです。
もし湯船に浸かっている時にヒートショックが起こり、意識がなくなると溺水に繋がり、そのまま死に至る可能性もあります。
暖房器具の設置が少ないトイレ・洗面所
トイレや洗面所には、暖房器具が設置されていないケースも少なくありません。暖房の効いた部屋からトイレや洗面所に移動するときに、室温が急激に下がると、ヒートショックが起こるリスクがあります。
とくに高齢者は、深夜や朝方にトイレに行く際に、気温差に身体が対応できないことがあります。
ヒートショックが起きたらどうすれば良いのか?対処法について
もし家族にヒートショックが起こってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。浴槽でぐったりしている状態で発見した場合は、すぐに湯船のお湯を抜いてください。
湯船を張り続けると溺れる恐れがあるためです。
次に、その人に呼びかけて反応を見ます。返事がないときはすぐに救急車を呼びましょう。救急車が到着するまでの間、呼吸が確認できなければ、人工呼吸2回と胸骨圧迫30を繰り返し行ってください。
もし意識があり、会話が可能な状態でも、身体のどこかに痛みがある・呂律が回らないなどの症状が見られれば119番通報で救急車を呼んでください。ヒートショックが起こった後の対処は、迅速に行うことがとても重要です。家族や救急隊員と連携を取りながら速やかに対応してください。
ヒートショックの予防や対策
ここからは、ヒートショックを防ぐための対策をいくつかご紹介します。
部屋の寒暖差に気をつける
家のなかで暖かい部屋と、浴室・脱衣所・洗面所・トイレ・廊下の寒暖差をできるだけ少なくすることが重要です。
入浴前には、暖房器具やお湯の蒸気などを利用して、浴室や脱衣所を温めておきましょう。また、洗面所やトイレ、廊下などは、暖房器具や床暖房を設置して温めることも有効です。
食後や飲酒後すぐの入浴は控える
食事や飲酒をすると、血圧が下がります。その後すぐに入浴するとさらに血圧が下がり、意識を失ってしまう可能性があります。
また、血圧が下がった状態で、冷えた浴室や脱衣所に向かうと、血圧が上昇しやすくなるため危険です。体調不良の時や薬を服用した後も、入浴を控えることをおすすめします。
入浴時の注意点
一番風呂は浴室内の温度が低くなりやすく、寒暖差でヒートショックが起こる恐れがあります。また入浴する際は、過度に長風呂をせず、体を温めてゆっくり立ち上がることが大切です。立ちくらみが起こるような急な動きは控えましょう。
冬場の健康リスクは他にもあります。牡蠣について「牡蠣にあたったら?冬場の食中毒、ノロウイルスのリスクと対策」で、カイロや湯たんぽで気をつけたい低温やけどについては「低温やけどの見た目はなんともないけど大丈夫?対処や予防法を解説」で解説しています。