お客さまが「加入していて良かった」と思える火災保険を

今から約30〜40年前には、新築住宅の着工件数が年間約120万〜170万戸(現在の1.5〜2倍)で推移し、その大多数が保険期間30年前後の火災保険に加入していました。その契約が近年大量に満期を迎えつつあります。

また、当時の火災保険は、現在とは異なり補償内容が限定的でした。そのため保険期間中に事故が発生しても、火災保険で補償対象となるケースはさほど多くなかったと推測されます。こうした背景があり、三井住友海上の火災新種保険部 個人火災保険チームは、「長期間無事故のお客さまは、満期後、火災保険に再び加入いただけないのではないか」と懸念していたのです。

安澤

「保険はお守りのような存在ではありますが、もっと活用していただける、もっと身近に感じていただける商品が必要だと考えました。そこで、事故が無かったお客さまにも、『火災保険に加入していて良かった』と感じていただける商品をつくろう、というコンセプトを掲げて商品開発にあたりました。」

三井住友海上では、個人向け火災保険商品として「GK すまいの保険」を販売していますが、今回はさらにワンランク上の安心や快適さを感じていただける保険商品を提供すべく、2014年頃から開発に着手。業界初の特約や日常生活に使える付帯サービスを豊富に取り揃えた火災保険「GK すまいの保険 グランド」を、2017年1月始期契約より販売開始しました。火災保険の概念を覆すようなこの新商品の開発には、さまざまな苦労が伴いました。

3つの特長を実現するために、各方面に奔走

「GK すまいの保険 グランド」の特長は3つ。業界初の特約を含む「補償の充実」、各種ツールのわかりやすさを追求した「利便性の向上」、日常生活全般に役立つ幅広いサービスを提供する「付帯サービスの拡充」です。この特長ごとに担当者を決め、商品内容の検討を進めました。

「補償の充実」では、「日常生活賠償(電車等運行不能賠償追加型)特約」を新設。もともと日常生活賠償特約は、日常生活で他人に身体障害や財物損壊を伴う損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に補償していましたが、財物損壊や身体障害がないケースで、例えば線路へ誤って立ち入り、電車等を運行不能にさせてしまったことによる賠償も補償の対象にしたのです。これは、認知症患者が線路内に立ち入り、電車を運行不能にさせてしまった実際の事故等が検討のきっかけの一つ。営業部門との連携により各鉄道会社へ直接ヒアリングの機会を得て、補償内容を詰めていきました。

「利便性の向上」では、パンフレットや説明資料、説明用DVDなどのツールの見やすさ・わかりやすさを向上させるため、試行錯誤を重ねました。印刷会社とも繰り返し話し合い、単に文字を大きくするだけではなく、字間や行間、色の明度や彩度などにもこだわりました。

香田

「幅広い世代のお客さまにとって見やすい・わかりやすいツールを目指しました。例えば高齢の方にも見やすいフォント(字体)や色は何か、という部分も細かく追求しました。また、『GK すまいの保険 グランド』はGKシリーズの上級商品ですのでツールにも高級感を持たせています。『安心や快適さ、ツールの見やすさやわかりやすさを含め、すべてにおいてワンランク上の商品です』という意味を込めて、細部にまでこだわりました。」

「付帯サービスの拡充」では、5つのサービスを開発。「日常生活を豊かにする」というコンセプトに沿ったサービスを実現するため、各種事業者に何度も交渉しました。また、商品開発に加えて営業推進業務も担っている個人火災保険チームでは、幅広い範囲の付帯サービスをどのようにアピールしていくべきか、議論を重ねました。

チーム内で活発に話し合い、商品開発の方向性を統一

個人火災保険チームでは「GK すまいの保険 グランド」の詳細な内容を決定するため、毎週ミーティングを開催。その検討状況を確認・共有し、さらに良い商品へとブラッシュアップしていきました。

これまでにない商品だからこそ社内外の人々に、この「GK すまいの保険 グランド」がどのような商品かを適切に伝える必要があるため、本商品の開発に携わる全員が、コンセプトや商品開発の方向性を統一させ、チーム一丸となることに努めました。

安澤

「新しい商品の開発にかかる労力は、相当なものでした。当社内のどこを見渡しても、同様の商品を開発している部署はありませんから、誰にも質問できませんし、参考資料もありません。自分が進めている道が正しいかどうか、わからなくなったこともありました。しかし、チーム内のさまざまな意見を聞きながら視野を広げ、本当に問題がないか課題点をみんなで総ざらいしていくことで、細かなところまで作りこむことができました。」

ほかにも、日常生活を豊かにするための専用アプリ(グランドアプリ)も開発。このアプリを利用すれば、緊急地震速報()発表時に、あらかじめ登録しておいた親族等の居場所を瞬時に共有できます。さらに、アプリで表示できるデジタル会員証の提示で、各種レジャー施設の割引やリゾートホテルへの宿泊、家事代行サービスなどが優待料金で利用可能になります。こうしたアプリの検証作業も、チームメンバーが実際にスマートフォンを操作しながら実施しました。

  • 最大震度が5弱以上と予想された場合に、震度4以上が予想される地域を対象に気象庁から緊急地震速報(警報)が発表されます。(引用元 気象庁HP)

新たなニーズをすぐに取り込み、さらに役立つ商品へと育てる

これまでにない程の苦労の末に開発した「GK すまいの保険 グランド」は、その甲斐あって多くの支持を集めています。三井住友海上の「GK すまいの保険」の場合、日常生活賠償特約をセットする割合は2割強ですが、この「GK すまいの保険 グランド」では約5割です。また、各種ツールも評判が高く、個人火災保険チームが全国各地で実施している勉強会において、代理店や他部署の社員から「このパンフレットは本当に見やすい」と声をかけられる機会も少なくないといいます。

販売開始以降、とても高い評価を得ている「GK すまいの保険 グランド」ですが、三井住友海上が挑戦への歩みを止めることはありません。

安澤

「お客さまのニーズは、時代とともにどんどん変わっていきますので、随時良いものを取り込んで、さらに良い商品に育てていきます。そのため、時代の変化に伴って新たなリスクが生まれてきたときには、スピード感を持って対応していこうと思います。」

香田

「事故がなかった人にも『入っていて良かった』と思ってもらえること、そして無事故でも保険がお客さまに寄り添える点が、この商品の良いところです。今後は『お客さまの保険はこんなふうに使えますよ』、『こういう新サービスが出ましたよ』など、当社から情報を発信していくことで、お客さまにさらに寄り添うことができればと考えています。実際にたくさんご活用いただいて、今よりもっと当社を身近に感じていただけたらうれしいです。」

商品・サービスADVANCING STORY 関連する社員インタビュー