「若者のクルマ離れ」に着目。若年層が加入しやすい保険を作る

近年の社会的傾向の1つとして知られる「若者のクルマ離れ」。所得減少や雇用の不安定化による消費の抑制、趣味の多様化などが原因として考えられるこの問題は、自動車および関連商品の販売数減少を招いており、実際に損保業界にも大きな影響を及ぼしています。三井住友海上ではこの問題に早くから着目。若年層のカーライフの変化に対応し、「若年層のカーライフをサポート」するため、若年層の多様なニーズに合わせた自動車保険の開発を進めてきました。

開発にあたったのは自動車保険部商品企画チームです。まずは社会環境を詳細に認識するため、若者の自動車保有率や自動車への興味関心度、趣味嗜好・生活の傾向、消費行動に至るまで幅広い視点で調査・分析を実施。その結果、特に金銭面の問題から「免許は取得しているが、自動車は保有していない」、あるいは「自動車は運転するが、自動車保険には加入していない」若者が少なくないであろうことを確認しました。

坂下

「『保険料が高いから、自動車保険に加入しない』のでは、もし事故が発生した場合、被害者も加害者も救済できません。保険会社の社会的使命として、自動車保険の未加入者による事故を減らしていく必要があります。そのため、若年層のお客さまが分かりやすく、加入しやすい自動車保険を作ることが、私たちの責務だと考えました」

日本における若年層の人口は減少傾向にあります。また、若年層のお客さまは、自由にできるお金が比較的少ないことも分かっています。つまり、若年層向けの自動車保険を作るということは、若年層のライフスタイルに合わせることが前提になります。日本の損保業界における若年層向け自動車保険の前例はわずか。当社としては初めての取り組みです。これは、まさに挑戦でした。

若年層のニーズに合わせた新たなシステム開発を実施

新しい保険商品の開発にあたって設定したコンセプトは、若年層のニーズに合わせるために「安心で分かりやすく合理的な補償、加入しやすい保険料、簡便な契約手続き」です。ただ、保険商品は補償を増やせば、それに比例して保険料が上がってしまいます。逆に保険料を抑えようとすれば、補償も減らさなくてはなりません。このバランスを取りつつ、設定したコンセプトを具現化することが重要な課題でした。

また、ほどなく別の問題が浮上します。それは、新しい保険商品に特化した専用の新システムの開発です。若年層向けということで、従来にはない、スマートフォンで契約手続きが完了できる商品としたことから、想定していたよりもかなり工夫が必要となりました。

坂下

「システム開発については、開発当初の想定以上に知恵を絞りました。自動車保険には、お客さまから照会があった際の契約情報の確認や事故対応状況の管理等を行う既存の基幹システムがあります。従来通り、ご安心いただけるお客さま対応を行うために、既存の基幹システムと今回開発する専用の新システムを上手く連動させることが必須です。また、お客さまに新システムから保険の申込手続きを実施いただくにあたり、特に意識した点は、「安心で分かりやすいご案内」を実現するということです。これらを実現するために各方面の担当者と密に連携して、丁寧に開発を進めてきました」

坂下が所属する商品企画チームは、「安心で分かりやすいシステム開発」を実現するため、社内の他部署や同じグループのシステム会社、共同で開発を進めているあいおいニッセイ同和損保社と横断的に連携するべく奔走。関係各所に相談しながらお客さまにとって安心で分かりやすい機能を追求しました。調整役として1日中オフィスを飛びまわり、電話を1日10本以上、メールを100本以上やりとりすることもしばしばあった、と坂下は話します。

若年層向け自動車保険の、イメージを払拭できる商品が完成

こうした商品企画チームの取組みにより、2つの若年層向け新自動車保険が完成しました。1つは、友人などから自動車を借りて運転するときに対人事故や対物事故の賠償やご自身のケガ、さらには借りた自動車の損害を補償する「1DAY保険」。手軽に加入できる自動車保険で、保険というものをまず体感していただき、保険の重要性を知っていただくのにピッタリの保険です。

坂下

「この『1DAY保険』によって、若年者層を中心とした多くのお客さまに、安心を届けられるようになると思います」

そして、もう1つは初めて自動車を購入したお客さまに加入していただくことを想定した「はじめての自動車保険」です。「自動車保険は内容がよく分からない」「保険料が高そう」というイメージを払拭する、「保険の入門編」のような位置づけで、特に「安心で分かりやすく合理的な補償、加入しやすい保険料」というコンセプトを具現化しています。既存商品よりも割安な保険料で加入でき、なおかつ分かりやすい商品内容になっていて、ターゲットである若年層のお客さまに受け入れられやすい保険商品を作りました。

これらの商品は2015年10月以降補償開始分から発売を予定しており、現在リリースに向けて関係各所が多くのお客さまにご利用いただけることを想像しながら入念に準備を進めています。

坂下

「加入しやすい『1DAY保険』や『はじめての自動車保険』をきっかけに、保険そのものに親近感を持っていただくことはもちろん、当社やMS&ADグループに親しみを感じていただきたいと考えています。将来住宅を購入したときの火災保険や旅行に行くときの旅行保険などにも、当社の保険商品を選んでいただけるようになればうれしいですね」

今後も、お客さまのニーズを的確に分析し、時代に沿った保険を開発していく

まだ発売前ではあるものの、商品企画チームの挑戦は1つの形となりました。商品企画チームとしては、今後も社会の動向やお客さまのニーズを的確に分析しながら、「明日を今日よりもいい日にしたい」をポリシーとして、時代に沿った保険の開発を続けていく方針です。

坂下

「日本では今後も少子高齢化が進むことが予想され、必然的に高齢のお客さまが増えていくことになります。そのような状況の中で多くのお客さまに選んでいただける保険会社になるためには、今のうちから若年層のお客さまに、当社のファンになっていただくことが重要になってきます。当社は今後も若年層にファンになっていただける取組を積極的に行っていく方針です」

2015年7月