こんにちは。温泉ライターの高橋一喜です。
私は温泉の魅力にとりつかれて、「日本一周温泉の旅」を敢行するために会社員をやめ、温泉ライターに転身。ワゴン車を購入して約1年間で3,016ヵ所の温泉を回りました。ちなみに、車のナンバーは「1126(いい風呂)」。その後も温泉巡りをライフワークとし、入浴した温泉は3,900湯、宿泊数は1,000泊を超えています。
そんな温泉マニアの私が気に入っている温泉の楽しみ方の一つが、温泉地で仕事をすること。いわゆる「温泉ワーケーション」です。
近年は自宅や職場以外の場所で仕事をするビジネスパーソンも増えていますが、特に究極のリラックス効果が得られる温泉は、ワーケーションとの相性が抜群です。
例えば、私は大きな仕事を抱えているとき、温泉宿に連泊することがあります。温泉の力を借りながら仕事に向き合うことで、集中力が高まり、クリエイティブな発想も生まれやすくなるような気がします。
読者の皆さんにもぜひ体験してもらいたい! そこで、今回は関東近郊の「ワーケーションができる温泉施設」をご紹介します。心身を癒やしつつ、仕事も捗る、そんな一石二鳥の空間に車で出かけてみませんか?
温泉ワーケーションで得られる効果
都市部から離れた場所に湧いていることが多い温泉には、車を使って行くのが圧倒的に便利。公共交通機関が充実していないところにこそ名湯が湧く、というのは「温泉あるある」の一つです。
また、ドライブで気分転換ができるのも車で温泉に行くメリット。温泉というと、主に泉質の効能が注目されがちですが、実は日常と異なる環境に身を置くことで心身がリフレッシュする「転地効果」も期待できます。温泉地周辺の自然豊かな場所や訪れたことのない場所に出かけるだけで、ストレスが軽減した気分になります。
温泉ワーケーションは、仕事をがんばる自分のための「ご褒美ドライブ」にもぴったりだと思います。
今回は、コワーキングスペースやリラックスできる空間を兼ね備えた温泉施設をピックアップしました。料金も比較的リーズナブルな施設が多いため、ふらっと気軽にワーケーションを楽しむことができます。
温泉ワーケーションに出かける前に……🚗³₃
定休日以外にも不定休を設けている施設があったり、日帰り入浴の時間が宿泊客の状況で日ごとに変わったりすることもあります。訪れる前には必ず、ホームページなどで営業日時をチェックしてください。
※記事中の写真は各施設による提供画像です
車で行きたい、関東近郊のコワーキングスペースがある温泉施設
【1】拠点にして楽しみたい! 草津温泉で唯一のコワーキング施設「草津温泉コワーキング」(群馬県草津町)
草津温泉といえば、日本を代表する温泉地の一つ。源泉が湧き出す「湯畑」を中心に、風情ある温泉街が広がります。

そんな草津温泉で唯一のコワーキング施設が「草津温泉コワーキング」。木のぬくもりあふれる館内には、Wi-Fiや電源はもちろんのこと、一人で作業に集中できる個室も完備されています。

おすすめは自分だけの世界に浸れる「1人用ソファー席」。ここで仕事に集中すると、草津の温泉のごとく、アイデアがぶくぶくと湧いてきそうです。
料金は30分330円~、1日利用で3,960円と、個人のニーズに合わせて短時間から利用できるのも便利です。
温泉は併設されていませんが、安心してください! 近くの温泉街には入浴施設が数多くあるのでどこに入るか迷うほど。無料で入浴できる共同浴場もあります。
草津温泉は宿泊施設が充実していて、素泊まりならリーズナブルに泊まれる宿もあります。草津唯一のコワーキング施設を拠点に、連泊して温泉ワーケーションを楽しむのもおすすめです。
また、草津温泉までは車でのアクセスが便利ですが、冬は積雪することがあります。その場合はスタッドレスタイヤなどの準備が必要になるので、事前に必ず道路情報などをチェックして出かけてください。
【メモ】草津温泉コワーキング
- URL:https://kusatsu.space/
- 泉質:酸性泉、硫黄泉、硫酸塩泉、塩化物泉(草津温泉全体)
- 営業時間:7:00~22:00
- 定休日:なし
- 宿泊:不可
- 予約:不要だが、事前にアプリ登録が必要
- 住所:群馬県吾妻郡草津町草津321
- 電話:050-5358-7461
- アクセス:東京駅から関越自動車道経由、約3時間
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:なし(周辺の有料駐車場を利用)
【2】コワーキングスペースを備えた素泊まり専用ホテル「ステイビューいかほ」(群馬県渋川市)
草津温泉と並ぶ上州の名湯といえば伊香保温泉です。この温泉のシンボルである365段の石段街の入口に位置するのが「ステイビューいかほ」。素泊まり専用のホテルです。

ホテル内に本格的なコワーキングスペースを備えているのが特徴で、電源やWi-Fiはもちろん、フリードリンクが付いているのもうれしいポイント。

1,500円から利用できるドロップイン(一時利用)も便利ですが、せっかく伊香保まで来たなら宿泊してワーケーションを楽しみたいところ。素泊まり専門の宿なので、リーズナブルで自由度の高い滞在が可能です。
仕事の合間に温泉街を散策したり、温泉めぐりに出かけたりするのもおすすめ。身体だけでなく脳もリフレッシュされて、仕事が捗るはずです。

館内に温泉浴場はありませんが、姉妹館の「お宿玉樹」の大浴場を利用することもできます。昔から湧く茶褐色の濁り湯「黄金の湯」は、成分が濃いのが特徴。寒い冬でも体がよく温まる泉質です。ステイビューいかほに宿泊する場合は、お宿玉樹の日帰り入浴は基本的に17:00〜19:30の利用となるので注意が必要です。
【メモ】ステイビューいかほ
- URL:https://www.stayview-ikaho.com/
- 泉質:硫酸塩泉(黄金の湯)
- 営業時間:10:00~21:00
- (お宿玉樹)日帰り入浴は11:30〜14:30
- 定休日:なし
- (お宿玉樹)日帰り入浴は12/30〜1/3・月曜日・金曜日休み
- 宿泊:可(素泊まりのみ)
- 住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保105
- 電話:0279-30-4180
- アクセス:東京駅から関越自動車道経由、約2時間
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり(20台)
【3】多種多様な湯船と自然豊かなロケーションが魅力「奥那須・大正村 幸乃湯温泉」(栃木県那須塩原市)
約1000年の歴史を誇る栃木県の板室温泉の入口にあるのが「幸乃湯温泉」。日光国立公園の緑豊かな自然に囲まれた温泉施設です。

ワーケーションに積極的な温泉地として知られている板室温泉。その中でも幸乃湯は宿泊でも日帰りでも利用でき、さまざまなワーケーションの仕方が楽しめます。

内湯や露天風呂、打たせ湯、貸切風呂など多種多様な湯船が並ぶのは、自家源泉が豊富だからこそ。どのお風呂でも新鮮な源泉がかけ流しにされています。

中でも印象的なのは、板室温泉の伝統的な入浴法である「綱の湯」。ぶら下げられた綱につかまりながら深さ140cmの湯船に立ったまま浸かることで、全身に水圧がかかり、血行がよくなる効果が期待できます。血流を促進させることで、仕事でもいいアイデアが思い浮かびそうです。
施設を囲む自然豊かなロケーションも魅力の一つ。道中のドライブを楽しみながら訪れたい温泉です。
【メモ】奥那須・大正村 幸乃湯温泉
- URL:https://www.satinoyu-onsen.info/
- 泉質:ナトリウム・カルシウム‐硫酸塩泉
- 営業時間:10:00~21:00
- 定休日:なし
- 宿泊:可
- 住所:栃木県那須塩原市百村3536-1
- 電話:0287-69-1126
- アクセス:東京駅から東北自動車道経由、約2時間30分
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり
【4】首都圏でふらっと日帰りワーケーション「天然温泉 湯舞音(ゆぶね) 袖ケ浦店」(千葉県袖ケ浦市)
東京湾アクアラインの千葉県側の入口付近にある「天然温泉 湯舞音 袖ケ浦店」。私の実家の近くにあるスーパー銭湯で、帰省した際には必ず立ち寄ります。

首都圏からもアクセスしやすいので、ふらっとドライブも兼ねて日帰りワーケーションも可能です。アクアラインを使えば海も見ることができるので、ちょっとした旅行気分も味わえます。
千葉県はあまり温泉が豊かなエリアとはいえませんが、この温泉では全国的にも貴重な「含よう素泉」という泉質の湯が湧いています。茶褐色の湯は殺菌作用が高いのが特徴です。

スーパー銭湯の魅力といえば、バラエティ豊かな湯船の数々。広々とした露天風呂のほか、高濃度炭酸泉、寝ころび湯、サウナなども備えているので、ゆっくりと心身を整えることができます。

休憩エリアにはコワーキングスペースもあるので、湯上がりにちょっとした仕事を片付けるのもおすすめ。Wi-Fiが完備されているのはもちろん、コンセントやUSB差込口も備え付けられています。
また、リクライニングや寝ころびスペースなども充実しているので、しっかり脳を休めてリフレッシュするのも良いでしょう。
なお、系列店の「市原ちはら台店」にも休憩エリアにコワーキングスペースがあります。こちらは塩化物-炭酸水素塩泉という温泉が湧いています。袖ケ浦店とは異なる泉質なので、入り比べてみるのもおすすめです。
【メモ】天然温泉 湯舞音 袖ケ浦店
- URL:(袖ケ浦店)https://yubune-sodegaura.jp/、(市原ちはら台店)https://yubune-ichihara.jp/
- 泉質:含よう素‐ナトリウム‐塩化物泉
- 営業時間:9:00~24:00
- 定休日:なし(年に数回メンテナンス休館あり)
- 宿泊:不可
- 住所:千葉県袖ケ浦市袖ケ浦駅前1-39-15
- 電話: 0438-38-6168
- アクセス:
- 【東京・神奈川方面】東京湾アクアラインを利用して木更津金田ICで一般道に入り、袖ケ浦駅方面に約6km、約15分
- 【千葉方面】館山自動車道を利用して姉崎袖ケ浦ICで一般道に入り、袖ケ浦駅方面に約9km、約20分
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり
【5】温泉に行く時間がない人に教えたい貴重なスーパー銭湯「さいたま清河寺温泉」(埼玉県さいたま市)
「さいたま清河寺温泉」は、さいたま市の市街地にある温泉施設。スーパー銭湯でありながら、本格的な源泉かけ流しのお湯を楽しめます。

都市部の温泉施設は湯量などの問題があり、循環ろ過(湯を使い回すこと)の湯船が多いため、とても貴重なスーパー銭湯と言えます。
敷地内から湧いているナトリウム-塩化物泉という泉質は、体がよく温まる効果があり、特に冷え込みが厳しい季節にはぴったりです。

露天風呂は竹林に囲まれていて、和の風情が楽しめます。市街地の温泉でありながら、温泉旅館にやってきたような気分を味わえるのも魅力です。

館内には仕切り付きのコワーキングスペースもあり、集中して仕事をするには抜群の環境となっています。そのほか、お休み処や食事処も充実しているので、休憩中もゆっくり過ごせます。
都市部からのアクセスも良いため、「温泉に入りたいけれど、あまり時間がない」という人におすすめ。思いつきでワーケーションするのにぴったりなロケーションと設備が魅力の温泉施設です。
【メモ】さいたま清河寺温泉
- URL: https://www.seiganji-onsen.com/
- 泉質:ナトリウム‐塩化物泉
- 営業時間:10:00~24:00
- 定休日:なし(設備点検のため年数日休館あり)
- 宿泊:不可
- 住所:埼玉県さいたま市西区大字清河寺683-4
- 電話:048-625-7373
- アクセス:東京駅から首都高速5号池袋線/ルート5経由、約50分
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり
【6】源泉かけ流しの温泉と厳選された書籍で創造力を刺激する「惣湯(そうゆ)テラス」(神奈川県湯河原町)
古くからさまざまな文人や画家たちに愛されてきた湯河原温泉は、温泉ワーケーションを楽しむには絶好の温泉地です。名だたる文豪たちが温泉宿に滞在しながら名作を生み出せたのも、湯河原の豊かな温泉と自然環境があったからかもしれません。

そんな温泉街の中心に立つのが「惣湯テラス」。2021年にオープンした新しい施設で、日帰り温泉のほか、レストラン、ライブラリーなどを備えています。
モダンかつ洗練された空間は、クリエイティブ脳が刺激されること間違いなし。専用のコワーキングスペースはありませんが、源泉かけ流しの温泉や多くの蔵書を揃えるライブラリーを行き来しているうちに、かつての文豪のごとく仕事のアイデアが浮かんでくると思います。

原則予約制なので、静かに過ごせるのも魅力の一つ。食事ができる5時間プラン(入湯税込み、6,500円)と、食事なしの3時間プラン(入湯税込み、3,300円)の2種類があります。こちらのプランは全日14:00以降のご入館に限るため、利用する際は注意してください。水曜日は限定で11時から入館可能な3時間のスマートプラン(入湯税込み、3,300円)も。

また、併設されている「玄関テラス」には無料で利用できるワークスペースがあるので、思いついた企画やアイデアをすぐ形にしたいときには重宝します。
都内からも近い「惣湯テラス」と「玄関テラス」はドライブを楽しみつつ気軽に日帰りワーケーションをするのに便利な施設です。
【メモ】惣湯テラス
- URL:(惣湯テラス)https://yugawarasoyu.jp/soyu-terrace/、(玄関テラス)https://yugawarasoyu.jp/genkan-terrace/
- 泉質:ナトリウム・カルシウム‐塩化物・硫酸塩泉
- 営業時間:10:00~18:00(最終入館時間16:30) / 水曜日のみ11:00〜16:00(最終入館時間13:00)
- 定休日:第2火曜日
- 宿泊:不可。日帰りのみ
- 予約:原則予約制。当日空きがある場合に限り予約なしで利用可
- 住所:(惣湯テラス)神奈川県足柄下郡湯河原町宮上704、(玄関テラス)神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566
- 電話:(惣湯テラス)0465-43-8105、(玄関テラス)0465-43-7830
- アクセス:東京駅から東名高速道路と小田原厚木道路/国道271号経由、約2時間10分
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり
【7】職場では得られないコミュニケーションが生まれる「YUMORI ONSEN HOSTEL」(福島県福島市)
最後は少し遠目の福島から。磐梯朝日国立公園内にある土湯温泉は、標高450mの山間部に湧く温泉で、「日本三大こけし」の産地としても知られています。

旅館や共同浴場などが並ぶ温泉街にある「YUMORI ONSEN HOSTEL」は、温泉付きのゲストハウス。一人旅や素泊まりでも気軽に利用しやすいのが魅力です。

明るい雰囲気の館内にはラウンジやライブラリー、シェアキッチン、カフェ&バーなどのオープンスペースが充実しています。
温泉ワーケーションが楽しめるのはもちろん、国内外からの宿泊客とコミュニケーションが生まれることもあり、普段の職場にはない刺激が得られるでしょう。

単純アルカリ泉のメタケイ酸が多く含まれていて美肌の湯としても人気です。有料で、源泉かけ流しの貸切風呂もあります。
首都圏からは距離があるので、宿泊するのがおすすめ。ドライブを楽しみながらゆっくりと滞在したい温泉施設です。
【メモ】YUMORI ONSEN HOSTEL
- URL:https://yumori-hostel.jp/
- 泉質:単純温泉
- 営業時間:11:00〜16:00(日帰り入浴)、最終受付15:00
- 定休日:毎週木曜日、第1月曜日(日帰り入浴)
- 宿泊:可
- 住所:福島県福島市土湯温泉町字堂ノ上7-1
- 電話: 024-595-2170
- アクセス:東京駅から東北自動車道経由、約3時間40分
- 🚙³₃:Googleマップ
- 駐車場:あり(25台)
温泉ワーケーションを充実させるポイント
最後に、温泉ワーケーションを充実させるためのポイントをいくつか紹介します。
・温泉の質にこだわる
せっかく温泉に入るなら、その質にもこだわりたいもの。誰でも意識できることとして、具体例をあげると「源泉かけ流し」の湯船なら、鮮度の高い良質な温泉と言えます。温泉へワーケーションに行くときはぜひチェックしてもらいたいポイントです。
・Wi-Fiの状況を事前にチェック
ワーケーションの場合、施設内にWi-Fiが飛んでいないと仕事にならないことも。ワークスペースがある温泉施設なら問題ありませんが、山間部の温泉施設だとWi-Fiがなかったり、通信状況が悪かったりする場合もあります。事前にホームページや電話などで通信環境を確認しておくと安心です。
・仕事の際は周囲にも気を使って!
専用のワークスペースがある空間なら問題ありませんが、他の入浴客も一緒に利用するスペースでは、キーボードを叩く音やオンライン会議をする声が迷惑になることも。あくまで温泉は癒やしの場であることに留意して利用してください。
・冬の山道は要注意
温泉は山深い場所に湧いていることが多いため、積雪で道路状況が悪くなる場合もあります。例えば、冬の箱根では山道で車が立ち往生してしまうことがよくあります。出かける前に天気は必ずチェックしましょう。
車で温泉に出かけることは、それだけで忙しい日常から解放される特別な体験です。ぜひ温泉ワーケーションを上手に活用して、仕事をがんばる力をチャージしてください。
車で温泉へ行こう!
編集:はてな編集部