車の購入が初めての我が家、あの車種を選んだらいくらお金がかかる? 費用を計算してみよう

初めて車を購入するときに悩むのはお金の問題。購入を検討している車は本体価格に自動車税や自動車保険料などを加えると総額どれくらいになるのでしょうか。今回は3家族をモデルケースとして車種ごとの特徴を知りながら、それぞれにかかる費用を解説します。

車の購入が初めての我が家、あの車種を選んだらいくらお金がかかる? 費用を計算してみよう

家族が増える、生活環境が変わるなどのタイミングで、車の購入を考える方は少なくないのではないでしょうか。ただ、初めて車を購入する方にとって「どれくらいお金がかかるのか」をイメージするのは難しいと思います。

この記事では、3家族をモデルケースとして、「軽スーパーハイトワゴン」「ミニバン」「ミドルSUV」といった購入車種ごとの想定費用を紹介。自動車重量税、自動車税、自動車保険料などを合わせた総額も分かります。

予算や家族のライフスタイルに合った車を購入するため、ぜひ参考にしてくださいね。

【監修/アドバイザー】

宇野源一さん

宇野源一さん:大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。FP視点でのカーライフを提案することが得意。

3組のモデルケースを紹介

今回はモデルケースとして3組を取り上げます。それぞれの家族が購入または購入を検討した車種もあげていますので、皆さんの家族構成や運転状況に近い家族を見つけて、具体的に車の購入をイメージしてみましょう。

【モデルA】購入車種「軽スーパーハイトワゴン」

モデルA

家族構成:28才前後の夫婦+子ども1人(1才)
居住環境:都内、駐車場付きマンション
運転について:子どもが生まれ、通院やレジャーのために車を購入
購入車種:軽スーパーハイトワゴン:200万円以下
検討車種:コンパクトカー:250万円以下

【モデルB】購入車種「ミニバン」

モデルB

家族構成:32才前後の夫婦+子ども2人(1才と3才)
居住環境:都内、駐車場付きマンション
運転について:買い物やお出かけに車を使う。2人目の子どもが生まれ、チャイルドシートが2つ必要。軽スーパーハイトワゴンやコンパクトカーでは狭いためミニバンに
購入車種:ミニバン:400万円以下
検討車種:コンパクトミニバン:300万円以下

【モデルC】購入車種「ミドルSUV」

モデルC

家族構成:40才前後の夫婦+子ども2人(6才と8才)
居住環境:都内、駐車場付き戸建て
運転について:平日の買い物や送り迎えに加えて、週末は大きくなった子どもとキャンプ、スキーなどのアウトドア趣味を楽しむためにミドルSUVに
購入車種:ミドルSUV:500万円以下
検討車種:SUV一択

宇野源一さん
宇野さん

初めての車購入で、車種選びは一番大事なポイント。
モデルAの家族は「軽スーパーハイトワゴン」と「コンパクトカー」で悩まれていますが、費用を安くするなら軽自動車の「軽スーパーハイトワゴン」です。車自体の購入費用もさることながら、自動車税をはじめとしたランニングコストを大幅に抑えることができます。

結論:それぞれのケースでかかる費用はこれだ!

早速ですが、モデルA/B/Cそれぞれで算出した「車の購入費用総額」を図で紹介します。我が家の場合は「このくらいかな」という目安にしてみてください。

※車のオプションや保険の契約条件などによって費用は変動します

車の購入費用総額
モデルA/B/Cの車の購入費用総額

なお、こちらの図は新車購入を前提としたものです。それぞれの項目の説明については後ほど詳しく説明していきますね。

宇野源一さん
宇野さん

次のパートで車種の特徴を紹介していきます。普段は気にしないかもしれませんが、車の費用を知る上で「大きさ/排気量/重量」は必ずチェックしましょう。
排気量と重量は、税金と燃費に影響します。ランニングコストを抑えたいなら、小排気量かつ軽量の車を選びましょう。

購入する車の形やサイズをイメージ

車の種類

モデルA/B/Cの家族が購入した車種と購入を検討した車種を紹介します。車のサイズや乗車人数、「こんな人にぴったりかも」というコメントも記載していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

※各車種に明確な定義はありません、車両本体価格はおおよその数字を示しています

【軽スーパーハイトワゴン】

軽スーパーハイトワゴン

大きさ/排気量/重量:全長3.4m以下/660cc以下/1トン以下
特徴:軽自動車、後席にスライドドア、後席が広い
乗車定員:大人4人以下
価格:200万円以下
こんな人にぴったりかも
「チャイルドシートを多用する人」全高が1.7m以上と高く、スライドドアもあるため、荷物の出し入れがスムーズ
「夫婦で車を運転する人」車のデザインが、シャープなものから、かわいらしい雰囲気のものまで幅広い

【コンパクトカー】

コンパクトカー

大きさ/排気量/重量:全長4.7m以下/2,000cc以下/2トン以下
特徴:軽自動車よりも車内が広い
乗車定員:大人5人以下
価格:250万円以下
こんな人にぴったりかも
「運転があまり得意ではない人」コンパクトな車なので小回りが利き、運転しやすい
「軽自動車よりも広いスペースが必要な人」大人5人が乗車できる空間があるため、4人家族の場合はゆったりと乗車することができる

【コンパクトミニバン】

コンパクトミニバン

大きさ/排気量/重量:全長4.4m未満、2,000cc以下、2トン以下
特徴:後席にスライドドア、後席が広い、ミニバンより価格が安めでコスパがいい
乗車定員:大人7人以下
価格:300万円以下
こんな人にぴったりかも
「大人数で移動する可能性がある人」急に友人や親戚が乗車する場合があっても対応しやすい
「大き過ぎる車を運転することに抵抗がある人」SUVなどの大型車やミニバンに比べるとコンパクトなので、小回りが効く

【ミニバン】

ミニバン

大きさ/排気量/重量:全長4.4m以上、3,000cc以下、3トン以下
特徴:3列シート、大量の荷物を積める、子どもが生まれたら定番とも言われる
乗車定員:大人8人以下
価格:400万円以下
こんな人にぴったりかも
「大家族の人」大人数が乗車することができ、ベビーカーを直接乗せられる車種もある
「広々とした車内空間を求める人」荷物を多く乗せない場合は、車内空間をゆったりと使うことができ、快適に過ごすことができる

【ミドルSUV】

ミドルSUV(ミドルSUV)

大きさ/排気量/重量:全長4.5m以上、2,500cc以下、2トン以下
特徴:SUV(Sport Utility Vehicle)は「スポーツ用多目的車」と呼ばれている、ミドルサイズのミドルSUVは普段使いからレジャーまで使えて人気
乗車定員:大人7人以下
価格:500万円以下
こんな人にぴったりかも
「アウトドアが趣味な人」オンロードとオフロード、悪路でも安定して走行することができる
「見た目にこだわりがある人」実用性だけではなく、スポーティなデザインも魅力的

宇野源一さん
宇野さん

上記の車種紹介から、車ごとに乗車定員が違うのが分かりますよね。車を使用する目的が「通勤」や「家族のお出かけ」のみか、もしくは「趣味活動」や「そのほかの用途」がありそうなのか、など夫婦で話し合ってみると良いでしょう。
また、駐車場に車両制限があるかどうかを、事前に必ず確認しましょう。駐車場によっては機械式といったケースもあるので、車両の寸法は問題なくても「実際に車を入れると入らない!」ということも起こる可能性があります。試しに購入予定の車を駐車場に入れてみるなどして、駐車の可否を確かめるようにしましょう。


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車の購入時にかかる税金や保険料は?

続いて、車の価格以外の諸経費を見ていきます。購入を検討している車の重量や排気量、環境性能などと照らし合わせて、全体の価格感を把握しましょう。

【1】自動車重量税

自動車重量税とは、国税の一種です。車の重量や種別、用途や車購入からの経過年数で金額が変わります。

・自動車重量税はいつ納める?
納税のタイミングは、ナンバーが付いていない車を車検(自動車検査登録制度)に通して登録する新規登録(新規検査)と、継続検査(2回目以降の車検)のときです。

・新車新規登録時における自動車重量税の税額一覧
自家用の普通車を新車で購入した際の、新規登録時にかかる自動車重量税の税額は以下のとおりです。

なお、エコカー減税が適用された車種は、本来の自動車重量税に比べて税額が安くなります。購入した車の環境性能に応じて、25~100%減税される仕組みになっています(※2024年5月現在)。

国が定める基準燃費をどれくらい達成したかによって減税率が3段階で変わります。ハイブリッドカーや電気自動車などの大半はエコカーですが、その中でもランク分けされているということを知っておきましょう。

※エコカー減税とは、環境性能が高い車に対する自動車重量税の税制優遇措置

自動車重量税
自動車重量税(3年自家用乗用車の新車新規登録時)(国土交通省「2023年5月1日からの自動車重量税の税額表」より)
※2025年4月30日までに新規登録された車が対象

宇野源一さん
宇野さん

購入する車がエコカー減税の対象かどうかは、自動車販売店に聞けばすぐに分かります。日本自動車工業会の「エコカー減税対象車一覧表」でも確認できますよ。
減税対象車は年度が変わるタイミングで対象外になる可能性がありますので、気をつけましょう。


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【2】自動車税/軽自動車税(種別割、環境性能割)

・種別割
自動車税/軽自動車税(種別割)は、自動車の所有者に対して課税される地方税の一種です。毎年5月頃に納税通知書が自宅に届きますので、忘れずに納付しましょう。

税額は、車の総排気量や用途(自家用or営業用)によって異なります。また、環境負荷の小さい車は税率が軽減され、環境負荷が大きい車両は税額が加重されるグリーン化特例制度があります(※2024年5月現在)。

※グリーン化特例制度では、車の新規登録から11年たったディーゼル車、もしくは13年たったガソリン車などを対象にして税額が上がる

今回は自家用車を購入される方に向けて、自動車税/軽自動車税(種別割)の一覧表を以下に記載します。

自動車税/軽自動車税(種別割)
自動車税/軽自動車税(種別割)(総務省「2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります」より)

・環境性能割
環境性能割は、新車や中古車を問わず、車を取得するときに納付する税金です。自動車の燃費や排出ガス量などにより税率が変わります。環境性能が高い車にはエコカー減税が適用され、税率が低くなりますよ(※2024年5月現在)。


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宇野源一さん
宇野さん

自動車関係税制はよく変わります。国土交通省のHPなどで、最新の情報を参照するようにしてください。
ご自身で調べてみてもよく分からない場合は、自動車販売店のスタッフに直接確認するようにしましょう。

【3】自動車保険料(自賠責保険料、任意の自動車保険料)

交通事故

自動車保険は、加入が法律で義務付けられている自賠責保険(強制保険)と、加入を任意で決められる自動車保険(任意保険)の2種類があります。


・自賠責保険(強制保険)
自賠責保険は、自動車で相手にケガを負わせてしまった場合に、一定の金額が被害者に支払われる制度です。運転者自身への補償はありません。

自賠責保険の保険料
自賠責保険の保険料 ※2023年4月1日以降始期契約の場合(三井住友海上の「自賠責保険 保険料例」より)

宇野源一さん
宇野さん

新車購入であれば、自賠責保険は37ヵ月のプランに加入するのが一般的です。3年(36ヵ月)後に受ける車検の有効期限よりも1ヵ月長い保険に加入することで、うっかり車検が切れてしまった時に仮ナンバーを発行できる猶予をつくるためなんです。


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・自動車保険(任意保険)
自動車保険の種類によっては、車の事故が起きた際、相手だけではなく運転者自身や同乗者、自分の車までも補償することができます。任意の保険のため、加入は義務付けられていませんが、運転事故によるリスクを軽減させるために、多くの人が自動車保険に加入しています。

条件によって金額は変動しますので、購入したい車が決まったら、一度試算してみましょう。

自動車保険(任意保険)の試算例
自動車保険(任意保険)の試算例

宇野源一さん
宇野さん

今回紹介した車種なら、自動車保険(任意保険)は1年で11~13万円程度かかると思います。免許の色や年令によって保険料が変わってきますので、一度シミュレーションすることをおすすめします。


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【4】検査登録手続き代行費用

検査登録手続き代行費用とは、車の新規登録、自動車の保管場所を示す「車庫証明」の取得や、ナンバーの交付などを自動車販売店等に代行してもらう費用です。店舗や業者によってバラつきがありますが、金額については以下の表を目安にしてみてください。

国産車よりも外国車の方が3割程度手数料が高くなることがあります。総額は国産車の場合は7万円、外国車の場合は10万円程度が大まかな目安となります。

また、原則新車は販売店で車の新規登録を行うため、自力で検査登録手続きを進めることはできません。ただし、中古車購入の場合は、ご自身で検査登録手続きを行うことができるケースがあります

検査登録手続き代行費用
検査登録手続き代行費用


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【5】自動車リサイクル預託金

自動車リサイクル預託金は、車の購入時に廃車時のリサイクルにかかる費用をあらかじめ支払う制度です。車によって金額が異なりますが、6,000~18,000円の支払いを想定しておくと良いでしょう。


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購入時の費用総額を計算してみよう

買いたい車がある方は、記事を参考に以下の順番で数字を出した上で、足し算してみましょう。

  1. 購入車種を決めて、各自動車のHPで本体価格をチェック
  2. 購入車種の重量を確認して自動車重量税をチェック
  3. 購入車種の排気量を確認して自動車税/軽自動車税をチェック
  4. 自賠責保険は自賠責保険料をチェック(37ヵ月が一般的)
  5. 自動車保険料はページ内「保険料試算サービスへ」をチェック
  6. 検査登録手続き代行費用をチェック
  7. 自動車リサイクル預託金をチェック

費用は抑えられる? 中古車のメリットは? 車を購入するときのポイント

最後に宇野さんに「車購入時の費用を抑えるポイント」や「中古車購入のメリット・デメリット」を教えてもらいました。

【1】価格を比較しよう

宇野源一さん
宇野さん

家電を購入するとき、ネットなどで安いお店の情報を探す方も多いかと思いますが、車についても同様です。自宅の最寄りのお店が相談しやすくて便利だと思いますが、違うお店の方が安い場合があります。
また、買う車を決めていたとしても、インターネットや専門誌等で情報を収集するのがおすすめです。ネットで値引き情報を見た上で実際の店舗を訪問するようにしましょう。

【2】ローンで買うときは“金利"に注目しよう

宇野源一さん
宇野さん

新車購入は数百万円の大きな買い物です。一括払いではなくローンを組む人も多いですが、「どこでローンを組むか」によって総支払い額が大きく変わります
ディーラーローンは手続きが比較的簡単で利用しやすいですが、金利が高めに設定されていることもあります。手間はかかりますが、銀行のマイカーローンを利用すると、支払いプランによっては金利負担が軽くなることがあります。

【3】中古車を買うときの注意点はコレ!

宇野源一さん
宇野さん

新車と比べると、購入時にかかるコストが低いのが魅力の中古車ですが、一度誰かの手に渡って乗られているため、新車と比べるとメンテナンスにかかる費用が増えてしまうこともあります
購入時にタイヤやブレーキパッドといった消耗品が新品ではない場合は、数年以内に交換する必要がありますし、車にとって大切な「走る・曲がる・止まる」に関わる重要な部品が壊れてしまう可能性もあります。万が一に備えて「車貯金」をしておきましょう。もちろん何も起こらないこともありますが、備えておくに越したことはありませんよ。
一方で新車は購入時のコストは高いですが、消耗品以外の自然故障は、多くの場合がメーカー保証によって無償修理してもらえるという利点があります。

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イラスト:アベナオミ
編集:はてな編集部