家族との暮らしに、車は妥当な投資だと考えた。福岡市で暮らすまつもとりーさんが車を持ち続ける理由

福岡市の市街地は車なしでも生活はしていけるほど、公共交通機関が発達しています。しかし3人の子育てをしている松本亮介(まつもとりー)さんは乗用車を2台持ち。家族との暮らしに車は妥当な投資だと感じているそうです。

こんにちは。まつもとりーです。

わたしは、インターネットやWebサービスの基盤技術に関するエンジニアを経て、現在はインターネット基盤技術について研究をしている研究者です。また、複数の企業において技術顧問として仕事をしています(これまでの実績は、松本 亮介(まつもと りょうすけ)の研究・開発業績ページに書いています)。

プライベートでは、妻と3人の息子との5人暮らし。以前は大阪に住んでいましたが、2015年からは福岡市に住まいを移しました。

福岡市の中心部は地下鉄やバスなどの公共交通機関が発達しており、車がなくても生活自体はしていける街といえるでしょう。しかし、それでも私は車を2台所有しており、車のある生活を送っています(後述しますが、プライベート用と仕事用で分けています)

大阪時代も含め、子どもが生まれてからずっと車のある生活を送ってきていますが、今のところ、家族との暮らしに車は妥当な投資だと感じています。今回はそんな私の一体験談をお伝えできればと思います。

マイカーには電車やバスにはない圧倒的な“自由”がある

何よりマイカーの良いところは、自由だということです。

多くのマイカー所有者が口をそろえて語る利点かもしれませんが、わたしにとっても非常に大事なポイントです。昔から、飛行機を予約するときも「安いけれど後から一切の変更ができない」チケットよりも、「追加料金を払ってでも変更の融通がきく」チケットを選ぶくらい、自分の自由が制限されている状態にストレスを感じてしまうのです。

電車やバスなどの公共交通機関はもちろん、タクシーやレンタカーさえも、ふらっと寄り道したり思いつきで宿泊したりすることは難しい。そんな多くの交通手段の中で、例外がマイカーです。

自分の車なら思いつきで出かけて、思いつきで目的地も変えられる。行って帰ってくる時間の制限もない。週末は、どこに行くかを当日の朝に決めて家族で出かけることも少なくありません。マイカーはわたしの性格的にぴったりの移動手段なのです。

日帰りでドライブがてら遊びに行った公園

幸いなことに、九州全域に有名観光地が多く、わたしが住んでいる福岡からもアクセスがしやすいので、8年住んだ今も観光地に旅行している気分です。子どもたちも温泉が好きなので、別府温泉などはよく出かけます。夏は家族で海へ行くこともありますね。

週末にどこか行こうかというざっくりした話はあったものの、午前中は雨でどうするか迷っているうちに正午には雨がやみ始め、家でお昼ごはんを食べた後に、13時頃から別府や由布院の家族風呂へシュッと行って、お風呂に入って別府冷麺を食べて帰るということもありました。

正直、福岡と車の相性が良いという面はありそうです。高速道路も整備されていますし、ショッピングモールなどの駐車場も広々としていて、その多くが無料です。渋滞もほとんどありません。福岡に来てから、車に乗っていてストレスを感じた場面はあまりないですね。

マイカーは「家」に近いプライベート空間

冒頭で「妥当な投資だと感じている」と書きましたが、車があると“あらゆるシーンで、うまくいく可能性を高めてくれる”と考えています

我が家の子どもたち

我が家の子どもたちは上から9歳、7歳、1歳。上2人はコミュニケーションが取れるため、そこまでの苦労はなくなってきましたが、1歳の末っ子はこれからまだしばらくは目を離せないでしょう。

我が家は子どもが生まれてからずっと車のある生活ですが、もし仮に、この状況で車がなかったら子どもたちとの移動は相当ハードなものだろうなと想像します。今はもう車があることが当たり前になってしまっているので、余計そう思うのかもしれません。

マイカーであれば子どもたちも座っていてくれるし、目を離したすきにどこかへ行ってしまうこともない。しかも移動中に寝てくれることも。負荷はかなり減ります。小さな子どもを抱えた家族にとってマイカーというのはやはりとても便利で、他の手段では代替不可能だと感じます。

マイカーの前でポーズを取る子どもたち

さらに、マイカーは「家」に近いプライベート空間です。公共の場で子どもが騒ぐと周囲の目が気になったり、おむつ問題があると焦ったりしますが、車ならプライベート空間なので、このあたりのストレスも軽減されます。

家族で楽しい時間を過ごすために出かけているのに、イライラしたり雰囲気が悪くなったりすると本来の目的を達成できず、非常にもったいないと感じてしまいます。妻ともこのあたりはよく話していて、「ストレスコントロールはしよう」とお互いの認識も合わせています。

そのための手段として車があり、車にかかる費用は「家族と暮らすにあたって妥当な投資」だと受け入れているのです。

最近は関西へ帰省するにも車ごとフェリーで移動しています。いざという時に駆け込めるプライベートな空間があることは心強いです

最近は関西へ帰省するにも車ごとフェリーで移動しています。いざという時に駆け込めるプライベートな空間があることは心強いです

「身体が拡張される感覚」が忘れられず、スポーツセダンを購入

我が家には現在2台の車があります。1台はプライベート用、もう1台は仕事用という使い分けです。これはわたしが仕事柄よく出張していることが影響しており、少し特殊な使い方かもしれません。

プライベート用の車は、ラリー競技(※)でも使われるスポーツセダン。5人家族で乗るにはめずらしいかもしれませんね。

※ラリー競技:公道を走行可能な車両で、一般の公道を使ってタイムを競うモータースポーツのこと。

プライベートで乗っているスポーツセダン

よく考えずミニバンを買って反省

実は、この車を買う前、初めて買ったのは7人乗りのミニバンでした。1人目の妊娠が分かったタイミングで購入したのですが、「子どもが生まれたら何かと荷物が増えそうだ」という漠然としたイメージからミニバンを買っただけで、当時は車に何のこだわりもなく「乗れたらいいや」程度でした。

ちなみに、マイカーを買うと決める前、カーシェアサービスを利用していたこともあります。一度、たまたま借りた車のブレーキの効きが悪かったことがあり、いまだに夢を見るほどトラウマになっています……。

もちろん発車前の点検が重要であることは言うまでもありませんが、この経験があったため、自分の命を預けるものは自分で管理したいと思い、わたしはマイカーを買うことにしました。

当時乗っていた7人乗りのミニバン

ミニバンは広くて使いやすかったのですが、子ども1人だとスペースを余らせてしまうだけでした。適切にお金を使えていない感覚がとても嫌で、このときの反省から自分で詳しく調べるようになり、今のスポーツセダンに乗り換えたというわけです。

今のスポーツセダンを選んだ理由

ミニバンからスポーツセダンだと、かなり振り幅があるじゃないかと思われた方も多い、というかほとんどかもしれませんね。

もともと、子どもの頃からミニ四駆が好きで、スポーツカーらしい見た目が好きでした。それに加えて、かつての上司にラリーカーに乗せてもらったことがとても印象に残っています。エンジンがかかって走り出した瞬間、助手席に座っていても背中がシートに吸い付くような、車と一体になるような圧倒的な気持ちよさを感じたのです。車が身体の延長になる感覚とはよく言いますが、このときの経験が元になり、スポーツカーへの憧れは持ち続けていたのでしょう。

プライベート用のスポーツセダン

そんなわけで、乗り換える際にスポーツカーを選びました。

わたしは仕事柄、一次資料に当たるのが基本。かつ、車は命を預けるものなので、特に一次資料を入念に確認しました。そのため、車を買い替えるにあたっても、ほとんどメーカーが公表している仕様表のみを参照して選んでいます(内装などは個人の方がアップしている動画なども参考にしました)。

馬力やトルク、エンジンなどの仕様を細かくチェックし、「見た目が同じなのになぜ価格が異なるのか」「この金額の差はどこから生まれているのか」「その違いでどんな価値が得られるのか」……などを調べていくうちに読み解けるようになりました。

そうしたスペックに加えて、やはり見た目のカッコよさが決め手となりました。ラリーカーということもあり、派手ではあるのですが、これはあくまでメーカー公認です。公式認定された派手さってカッコいいな! ということも購入の後押しとなりました。

知人からは「日本の道路ではオーバースペックだ」などと言われることもありましたが、半ば試す気持ちで購入し、結果的に今は非常に満足しています。実際に乗ってみると、自分がアクセルを踏み込む感覚と、車がそれに付いてくる感覚が一致して、乗っていてストレスが全くありません。求めていた「身体が拡張された感覚」です。妻も気に入って乗っていますし、子どものお迎えもこのスポーツセダンでよく行っています。

もう1台の仕事用に購入した車

もう1台の仕事用については、もともと私が出張に行くときにも車を使いたいが、その間妻が車を使えなくなってしまうのは困る……という事情から購入したものです。コロナ禍で公共交通機関を使うことに抵抗があったというのも購入の理由でした。

そこまでこだわりもなく、中古で購入しましたが、子どもの習い事の送り迎えなどが増えてきたため、わたしと妻それぞれ車を使える状態というのは非常に便利だと実感しています。

車を前提としたライフスタイルのススメ

こんなふうに車のある生活を送っていますが、子どもたちも大きくなり、実はそろそろ「5人乗りの車に5人で乗る」のがかなり大変だと思うようになってきました。

なので買い替えを検討しているところです。7人 or 8人乗りのミニバンが有力候補で、まさに下調べを進めています。子どもたちが大きくなったり、遊びに来てくれた親戚を乗せたり、変化に対応できるようにしたいという思いがあります。

ミニバンなら車内スペースにゆとりができて快適になりそうですし、荷物もたくさん入るので、さらに「ふらっと遠く」へ行けそうです。九州一周旅行なんかを計画しても楽しいかもしれません。これまでできなかった挑戦ができそうでワクワクしています。

家族で海へ出かけた際の写真。妻と3人の子どもたち

わたしが車のある生活を楽しめているのは、冒頭で書いたように福岡と車の相性が良いというのもあるかもしれません。東京などの大都市では車を持つハードルが高いと感じる人が多いことも理解できます。駐車場の問題もありますし、会社には電車で通勤できますから。

車の購入は住む場所とセットで考える必要があると思っています。都心から離れると車を持つハードルは下がりますし、逆に都心だとせっかく車を買ってもメリットをあまり感じられないということも考えられます。

最近ではリモートワークもかなり普及してきて、働く場所の自由度は高くなってきました。固定観念を打ち払ってみて、例えば転職するときにリモートワークできるかどうかを重視する、車に乗る前提で郊外の広い家に引っ越すとか、そういうことを考えてみるのもありかもしれませんね。

松本亮介(まつもとりー)さん

著者:松本亮介(まつもとりー)

大学卒業後、ホスティング系企業でエンジニアとしての経験を積んだ後、京都大学大学院の博士課程に入学。インターネット基盤技術の研究に取り組み、数々のOSS開発を手がける。その後、GMOペパボ、ペパボ研究所のチーフエンジニア兼主席研究員を経て、2018年よりさくらインターネット研究所で主席研究員を務めるかたわら、多くの企業に技術顧問として関わる。

取材・構成:山田井ユウキ
編集:はてな編集部