車を持つことで、思い出のバリエーションが増えた。横浜に暮らすエンジニアお父さんの車購入体験記

横浜在住で車は必要ない・いらないと思っていたエンジニアの西谷圭介さん。趣味のキャンプや海外旅行をきっかけに車を購入したところ、趣味にも子育てにもメリットがたくさんあったと語ります。

車を持つことで、思い出のバリエーションが増えた。横浜に暮らすエンジニアお父さんの車購入体験記

初めまして、西谷と申します。

普段はソフトウェアエンジニアとして、とあるスタートアップのCTOをしています。 現在45歳で、妻と9歳(小3)の娘、1歳4ヵ月の娘との4人暮らしです。

自宅から横浜駅までは徒歩で行ける距離で、普段の生活では車の必要性はありません。横浜駅はJRや私鉄など6つの鉄道会社が乗り入れており、あらゆる場所に電車でアクセスしやすいのです。通勤も普通に電車です。

そんな私ですが、2017年の4月に人生で初めての車を購入しました。今では車は「必須ではないものの、あるといい」。まさにQOLを向上させるためのアイテムだと考えています。

もともと車については別になくても大丈夫で興味もあまりなく、どちらかというと「不要派」でした。しかし、いくつかのきっかけが重なり車を購入したところ、趣味のキャンプが充実するだけでなく、日々の生活でも便利な点が多いと感じています。

私のように生活する上では必ずしも必要でない人にとっては、車を所有することはコストパフォーマンスが良くないともいわれています。確かに車を所有することで税金や保険、人によっては月々の駐車場代など費用が発生することは否めません。

一方で、車を持っていることで得られることも多いです。単純なコストパフォーマンスで比較できることではないと思いますし、私の場合は「より良い体験を得るための必要コスト」という感覚です。今となっては車のない生活に戻ることは難しいと感じています。

今回は車を買った経緯から、実際に車を購入してから得られた経験、良かった点を私なりにお伝えしたいと思います。

車購入「否定派」ではないけど「不要派」だった

私と車

長らく、私は車について「否定派」とまではいかないものの、必要性を感じていなかったため「不要派」でした

自宅も駅から近いですし、他の用事も全て徒歩圏内で事足りる環境です。コロナ禍以前の通勤も電車でした。これは車を購入した今もですが、運転も好きではありません。

そんな私が車を使って時折出かけるようになったのは、妻と知り合ってからです。妻がもともと運転好きだったということもあり、一人のときは選択肢にはなかった「車を使って出かける」ということをたまにするようになったのです。

それでももっぱらレンタカーやカーシェアを利用しており、結婚して子どもが生まれてからもそのスタイルは変わらないままでした。

乳幼児期の子どもを連れた週末のお出かけも基本的には電車。当時住んでいたマンションには駐車場の空きがなく、空いたとしても月3~4万円という駐車場料金がかかってしまうという問題もありました。

駐車場料金に関してはその後、敷地内に駐車スペースのある現在の戸建てに引っ越したため必要なくなりましたが、やはり税金や保険といったコストをもったいなく感じていました。

運転好きな妻は戸建てへの引っ越しを機に「車が欲しい」とたまに口にしていましたが、生活に必要なわけではないこともあり強くは希望していない状況でした。

当時のTwitterにはそろそろ車を買おうかと思うもののその値段に躊躇している旨を投稿しています。当時は車に何百万円も出す気が起きなかったんですね……。

車を購入するきっかけになったキャンプと海外旅行

しかし、2つの出来事がきっかけとなり、一転して車購入に傾きました。

一つは引っ越し前後から始めた趣味のキャンプ。もう一つは家族で海外旅行をした際に初めて現地で車を借りて旅行するという体験をしたことです。

趣味のキャンプでの悩み

キャンプでの1枚
キャンプでの1枚

車を持っていないときにキャンプを始めたのですが、その都度レンタカーを借りていました。

レンタカーではキャンプ道具を毎回積んだり下ろしたりする必要があります。そして、出発時間はたいてい朝です。

当日の早朝に近所のレンタカー会社に車を取りに行き、一度家に戻ってきてから荷物を積んで出発をしなければなりません。また、帰りも一度家に着いてから家族と荷物を全部下ろした上で、レンタカー会社へ車を返しに行く必要があります。

キャンプは体力的に疲れることもあり、これがなかなかおっくうでした。荷物を積みっぱなしにできたら……と思うようになりつつありました。

また、キャンプだけでなく旅行などのイベントで早朝に出発したいときには、前日の夜から車を借りる必要があり高くついてしまうという問題もありました。

ハワイ旅行で車移動の快適さを知る

もう一つのきっかけは2017年の春に初めてした家族での海外旅行。

行き先はハワイで、オアフ島にあるホノルル近辺だけでなく、少し離れた自然のある場所やハワイ島にも行きたいということになりました。当時、娘はまだ3歳。移動をどうするかということになり、滞在中はレンタカーで移動しようと決めました。

結果的にはそれが正解でした。日本人には過ごしやすいハワイといえ、子どもにとっては初めての海外です。普段とは異なる環境に加えて移動も多く、体力的に厳しいところがありました。

ですが、レンタカーを借りたことで移動中は寝て休むことができましたし、グズったりテンションが上がって騒いだりしても周りを気にする必要がありません。親としてもとても楽でした。

途中でトイレに行きたくなるなど、この年頃の子どもはなかなかアンコントローラブルです。そういったときも自由度高く移動できたことは非常に良い体験でした

車の快適さを実感したハワイ旅行の様子車の快適さを実感したハワイ旅行の様子
車の快適さを実感したハワイ旅行の様子

現地で海沿いの景色のいい道を走っている車の中で、妻に「車あるのもいいかもね。ちょっと前向きに検討してみよう」という話をしたことを今でも覚えています。ちなみに、このときの体験が良かったため、これ以降の海外旅行では毎回レンタカーを借りるようになりました。

この2つがタイミング的にちょうど重なり、車を買おうかなと思い始めたのです。

車購入の3条件「SUV」「大きい荷室」「安全」

ハワイ旅行から帰国後すぐに、人生で初めて車のディーラーに行ってみました。

とはいえ、車そのものに興味がなかったこともあり、どういった車があるのかまったく分かりません。また、車自体の費用はもちろん、維持費などの相場感がいくらくらいなのかも全然分からない状態でした。ですので、まずはいくつか見てみようと思ったのです。

車を買うに当たって決めていたのは以下の3点です。

  • 車種はSUV(「Sport Utility Vehicle」の略。スポーツ用多目的車。キャンプなどに適している)
  • キャンプに使うので大きい荷室
  • お金で実現可能な安全に関わるオプションは全てつける

車種については以前から詳しくないなりに買うならSUV(恥ずかしながら当時はSUVという言葉も知りませんでした)に決めていました。

車に求めるものとしては、キャンプの荷物をなるべく多く積めるという一点のみです。

最後はやはり車と言えば事故が怖いです。自分だけならまだしも家族も乗るわけですから、少しでもリスクを下げるために安全に関わるオプションは全てつけようと考えていました。

というわけで、国内外の各メーカーのSUVで、我が家の駐車スペースに収まるサイズで、できるだけ荷室の大きいものを探す、ということになります。ネットでざっと確認して見た目が良さそうな車を下調べして、ディーラーで実際に見たり試乗したりするといったことを繰り返しました。

そんなことをしているうちに2、3週間ほど経過。次のキャンプの準備が近づき、レンタカーの予約を面倒に感じたときに、ふと「もう車を買って帰ろう」と思い立ち、その日の会社帰りに購入しました。

いくつか見て回った中でいいなと思えた車があったので、その車を扱っているディーラーに会社帰りの閉店間際に駆け込んだのです(もちろん妻とも事前に相談していて、この車種がいいだろうと意見が一致していました)。

そのまま無事に契約して帰りました。これが人生で初めて買った車になります。

「買おうかな」と思ってから1ヵ月弱で実際に購入。ただし、納車は数ヵ月先になるということで、結局その後数回はレンタカーでキャンプに行く羽目にはなったのですが……。

会社帰りに買った「初めてのマイカー」
会社帰りに買った「人生で初めてのマイカー」

趣味のキャンプにさらにのめり込む

実際に車を購入して、当然ながらキャンプの頻度が増えました。

キャンプ道具の一つとして車を買ったとも言えるので、納車してしばらくはほぼ毎週のように行くという状態に。やはり全ての荷物を毎回積み下ろししなくていいのはとても楽です。

大きい荷室はキャンプで大活躍
大きい荷室はキャンプで大活躍

ただし、前よりものめり込むことになった結果、キャンプ道具がどんどんと増えてしまい、結局積み下ろししなきゃいけないという状態になってしまいました……。これに関してはルーフキャリアを早々に搭載し問題を解消しています。

今はルーフキャリアを使用
現在はルーフキャリアを使用

今はキャンプの頻度も少し落ち着いていて、月1回程度となっているためテントなどの大物は荷室からは下ろすようなスタイルになりました。ただ、多くの荷物は依然として積んだままになっています。

私のようにルーフキャリアを取り付けて積載可能な荷物の量を増やすなど、自分のスタイルにあわせた大小さまざまなカスタマイズができるのはレンタカーやカーシェアでは難しいと思います。

また、カーシェアを利用してキャンプへ出かけていたときは、予約していた車両のフロントガラスが割れて使えなくなったという連絡が直前に来て困ることもありました。

荷物の容量の問題などで特定の車種を選んでいたことも多く、車両がワンサイズ小さくなって困ったり、借りた車のブレーキランプとバックライトが故障しているメンテナンス不備があったり、泣く泣くキャンプへ行くのを諦めたこともあります。

こうしたトラブルは車を所有したからといってなくなるわけではないのですが、それでも自家用車であればもう少しなんとかできることも多いのではないかと思います。

キャンプ目的のはずが日常的に車を使うように

キャンプ以外でも、子どもを連れて出かけるに当たって心理的にすごく楽になりました。

車の中はプライベートな空間と言えます。電車などの公共交通機関を使うのとは異なり、子どもが泣いても喚いても周りの方の目を気にする必要もありません。

この、「プライベート空間のまま移動できる」というのはコロナ禍でも役に立ちました。コロナ禍初期にどうしても外出しなければいけなかったときに電車を使わずに済んだのは心情的にはとても安心感がありました。

そんなわけで当初はキャンプや旅行のことを考えて購入したのですが、今では通勤以外はほとんど車で移動するようになっています。日常的な買い物はもちろん、当時はあまり想定していなかった子どもの習い事の送迎なども車を使うようになっています。

特に買い物は、これまでどうしても駅から近い施設に行くことが多かったのですが、公共交通機関で行くには少し不便な立地にあるアウトレットなどの商業施設に行くことが増えました。

一般的に車にあまり乗らない人はレンタカー、よく乗る人は所有した方が得だといわれますが、私の場合は車を所有した結果、乗る頻度が増えたと言えます。

そもそも外出することが多い方ではあるのですが、なんだかんだで毎週末、車に乗って出かけています。妻は平日にも利用しており、結果的に購入する前に考えていたよりも多くの回数を車に乗っています。

マイカーで家族との「小さな家」ができた

これまでにも繰り返しお伝えしてきたように、もともと不要派でしたが車を購入したことで新しい体験ができるようになったと感じています。

キャンプだけでなく海や山などのアクティビティに行く頻度も増えました。「どこかに行きたい」と思ったときに、レンタカーやカーシェアの空き状況を気にすることなく、すぐに行けるようになったのは自家用車ならではだと思います。

娘と釣りに少しハマっていたときは釣り道具を積みっぱなしにして、出かけた先でフラッと釣りをするなんてこともしていました。

フジロックにも行きました
フジロックにも行きました

長女はあるとき車のことを「小さな家」だと言っていました。まさに我が家にとってはその表現がピッタリだと思っています。

長女は少しずつ成長し家族とは別行動になることも増えてきそうですが、次女はまだ1歳なので今後も車は大活躍しそうです。今の車は寿命が来るまで乗ろうと決めていますが、もう車がない生活には戻れそうにありません。

公共交通機関が発達して便利になった世の中で、車を所有することは目先のコストパフォーマンスだけで考えたらあまり得ではないと思います。

ですが、少し考え方を変えて車を「体験を得るための道具」だと思ってみるのはいかがでしょうか。特に小さなお子さんがいる方は、車を持つことで作れる思い出のバリエーションを増やせると思うので、ぜひおすすめしたいところです。


西谷圭介

著者:西谷圭介

とあるスタートアップのCTOをやっているソフトウェアエンジニア。2児の父。将来の夢は自分が最高に居心地のいいカフェをオープンすること。

編集:はてな編集部