ブロガーのOKPです。東京郊外の多摩地区に在住、マイカー歴はかれこれ25年近くになります。
かといって車や運転大好き人間なわけではありません。車のメカやパーツ類には関心がありませんし、アウトドア趣味の人には比較的多いとされる「距離ガバ(「距離感ガバガバ」の略)」と呼ばれる、目的のためならロングドライブも厭わないタイプでもない。狭い林道やワインディングロードもストレスになるのであまり走りたくありません。
私は学生のうちに運転免許を取っていたものの、同世代の中では珍しく(?)子どもの頃から自動車に関心が薄かったタイプです。セダン、クーペ、ハッチバックの違いも分からないまま育ち、免許取得後も自分の車が欲しいと思うこともなく、大人になりました。
社会人になってからもしばらくペーパードライバーでしたが、好きだったアウトドア系の趣味のために車に乗るようになって以来、気付けばずっとマイカーを所有している状況です。
長らく都心エリアで働き、車が決して生活必需品ではない東京都下に暮らしながら、見方によってはぜいたく品のような車(高級車とは無縁ですが)に乗り続けています。
相変わらず車そのものに対しては「熱量低め」であるものの、それでも今となっては車のない生活は考えられず、引っ越しをするならば駐車場が確保できることは最低条件になります。そんなどこかアンビバレントな私のカーライフについて少しお話してみたいと思います。
公共交通機関での移動に「限界」を感じてマイカー購入
車を買うことになるきっかけは、子どもの頃から好きだったバス釣りに社会人になって本格的にハマったことでした。当初は公共交通機関を使って東京近郊の湖に通っていましたが、電車等の運行時刻に縛られてしまうこと、増え続ける釣り道具を持っての移動など、すぐに公共交通機関での移動に限界を感じるようになります。
そんなタイミングで釣りやスキーに行く際に車を出してくれていた職場の先輩の紹介により、中古車店で車を探してもらい、最初の車(3ドアSUV)を手に入れたのは23〜24歳ごろだったと思います。
自分の車を手に入れたことで、ますます釣りにのめり込むようになります。公共交通機関では運べなかったボート釣りの道具(エレクトリックモーターやバッテリー、魚群探知機など)を自分で運べるようになり、船舶免許も取得しました。
また、行動範囲も広がり、長野県の野尻湖に毎週末のように通うようになったり、平日の仕事から帰宅した後に、車で東京湾や伊豆半島まで夜釣りに出掛けたりする日々が続きました。
誰にでも当てはまる話ではありませんが、釣りに限らずアウトドア系の趣味にハマって道具が増えたり行動範囲が広がったりすると、車がないと行き詰まる瞬間があります。そんな垣根をなくしてくれたのが、マイカーの存在だったかもしれません。
マイカーなら計画と行動の「自由度」がグッと高まる
日常生活における車のメリットについて、都市部で暮らしている場合「あれば便利(なくてもなんとかなる)」程度だと私個人は考えていますが、アウトドアを中心とした趣味人の視点で考えてみましょう。
現在はかつてのような釣り熱は収まり、結婚後は夫婦で楽しめる登山が主な趣味になったのですが、やはり登山にも車は欠かせません。東京近郊の奥多摩や丹沢なら電車やバスで気軽に出掛けられますが、首都圏から離れた山に興味を持ち始めると、車で行動した方が何かと有利なことが多いです。
時間に縛られない
もちろん公共交通機関や登山バスをうまく利用して首都圏からの登山を楽しんでいる方もいますが、釣りのときと同様に、車ならば公共交通機関が動いていない時間から移動できるので、計画の自由度がグッと高まります。公共交通機関が通じていない山や登山口もありますし、車移動でないと日帰りでの登山が難しい山域も多いです。
一方で人気の山では駐車場の争奪戦があったり、週末は道路が渋滞したり。公共交通機関のように下山後にビールを楽しむこともできません。そこは利便性とのトレードオフ。計画によって車と公共交通機関を使い分ければ良いのです。
ちなみに交通費についても2人以上で行動するならば、公共交通機関を利用した場合よりも、車移動でガソリン代と高速料金を割り勘にした方が1人当たりの負担は少ない場合が多いです。
現地での行動が自由になる
また、車だと現地での行動が自由になります。登山の後に気になる温泉を訪れたり、地元の名物を食べに行ったり、車なら選択肢は豊富。地方には車でしかアクセスできない飲食店や施設がたくさんありますし、帰り道から大きく外れた場所に足を伸ばすことだって簡単です。
例えば、我が家は栃木県の佐野ラーメンが好きなのですが、東北方面で登山を楽しんでランチは現地で食べつつ、途中で仮眠を取りながら帰りの東北自動車道を途中下車して、夕飯には佐野ラーメンを食べに行くといったことも、ごく当たり前にしています。
長距離を走る際に、休憩や仮眠が必要になるのは車移動のデメリットでもありますが、いつでも体を休められる休憩所ごと移動しているようなものとも言えます。車の中は雨風をしのげますし、道の駅や高速道路のパーキング、日の出前に到着した登山口の駐車場など、好きなタイミングで疲れた体を休めることができます。
車中泊ともなると場所を選ぶ必要がありますが、休憩や仮眠はむしろ積極的に取っておくことで居眠り運転や事故を避けられることになります。
私は目的を終えたら一刻も早く帰宅したいタイプではありません。道路の渋滞に付き合うぐらいなら、現地で食事や温泉を楽しんだりして、休憩や仮眠を挟みつつ、渋滞が解消した夜中になってから帰ることを好みます。夜中の移動ではETC深夜割引が適用されて、高速料金がお得になったりもしますし。
急な予定変更だってできる
さらに、急な予定変更に対応しやすいのも車のメリット。計画していたエリアの天候が悪い場合、回復の早い西寄りに行き先を変更したり、太平洋側の予定を日本海側に切り替えたりと、判断をギリギリまで待つことができます。
直前にネットなどで知った情報を頼りに行き当たりばったりの車旅も楽しめますし、宿を押さえていなくても仮眠室のある健康ランドなどを探して移動すれば、日帰り予定を急きょ延ばすこともできます。
このような柔軟な予定の変更はスマートフォンが一般化したことで、現地情報や最新情報がいつでも手に入るようになったこととの相乗効果でもあります。
最後に、これは私の性格が大きいのですが、事前に旅の計画をじっくりと立てたり、予約を入れて行動したりすることがあまり好きではありません(登山の場合は登山計画をちゃんと立てますが)。場合によっては予約の存在がプレッシャーになってしまう。予定はふんわり決めて、直前に最終決定するまではいろいろと保留しておきたいのです。
実際、深夜に車で出発したもののどうにも気分が乗らずに、コンビニでコーヒーだけ買って帰宅したこともあります。カーシェアやレンタカーでは、このような行動は難しいかもしれません。
とりあえず積んでから出発。マイカーは「趣味のベースキャンプ」になる
「東京在住ならカーシェアやレンタカーで十分」これはもっともな意見だと思います。しかし「自分の車を所有する」価値は効率やコストパフォーマンスでは割り切れません。
道具は積みっぱなし、「趣味のベースキャンプ」になる
マイカーは自分の部屋のような居心地で、外であっても車内はプライベートな空間です。他人と席を隣り合うこともありませんし、パーソナルスペースを気にすることもありません。
頻繁に使う荷物は積みっぱなしにしておくこともできます。私の車は防寒具、洗面用具や常備薬、仮眠に使う寝袋やマット、お土産用の保冷バッグなどをいつも積みっぱなし。
釣りや登山で使う道具の中には、当日まで使うか判断に迷うものもあります。これも私の趣味ですが、写真撮影に使う機材にしても、使うか分からない道具を含めて、とりあえず積んで出掛けられるのは車移動ならでは。このような臨機応変な使い方は毎回全ての荷物を積み下ろす必要があるレンタカーなどでは難しいかもしれません。
現地のコンディションを確認した上で、最適な道具のみに絞って行動に移すことができる。マイカーは「趣味のベースキャンプ」でもあるのです。
好きなときにどこでも行ける安心感
そして、何よりも「好きなときにすぐ乗れる」これが重要。マイカーの存在は交通手段としての利便性だけでなく、心理的な安心感にもつながっています。
例えば仕事で嫌なことがあっても、帰って車に乗れば一人でどこへでも行けることは、ちょっとした“心のバッファ”のようなものでした。ベタですが、若い頃は息抜きに夜の海によく出掛けました(そして釣りをする)。
夜中に突然思い立って、数百キロ離れた場所にだって行ける。実際に行くわけでなくても「その気になればできる手段を持っている」ことが重要なのです。古い有名コピペにあった「アクセルを踏むと走り出す、マジで。ちょっと感動」、自分の車を持つと何気に共感できる一節だったりします!
立山、富士五湖、月山、栗駒山……マイカーで楽しむ春夏秋冬
さて、そんな私がマイカー移動で楽しんだ旅行やアウトドアの様子をご紹介。これらはほんの一部ですが、計画的な行動が苦手な私でも、このように1年を通じて旅行やアウトドア活動を楽しむことができているのは、やはりマイカーの存在が大きいかもしれません。
【春】北アルプスと富山の幸を目当てに毎年訪れる立山
毎年、春と秋(初冬)に行くのを楽しみにしているのが、富山県の立山です。車だと東京から3時間半ほどで長野県にあるエントリーポイントまで行けますが、あえてさらに2時間ほど運転して、北アルプスを挟んだ反対側の富山県まで出掛けて富山の幸を楽しむのが春の恒例行事です。
【初夏】釣りもキャンプも快適、富士五湖
かつてバス釣りで何度も通った山梨県の富士五湖。久しぶりにキャンプで西湖に行くことがあったので、釣り道具も少し車に積んで出掛けてみました。
ちなみにオートキャンプに使われるキャンプ道具は特に持っていませんが、山で使う山岳テントやシュラフはあるので、カセットコンロなど使えそうな道具を車に積んでおけば、結構快適にキャンプを楽しむこともできます。
【夏】登山と一緒に周辺グルメや温泉を楽しむ、庄内の山
山形県を代表する名峰、月山と鳥海山。この2つの山に登りつつ、庄内エリアのグルメや温泉を楽しもうとお盆休みの直前になって思いつきました。なんとかビジネスホテルを1泊だけ予約できましたが、あとは車中泊で延泊して行きあたりばったりの車旅を楽しみました。
【秋】500kmのドライブでたどり着いた絶景、栗駒山
宮城、秋田、岩手の3県にまたがる栗駒山。以前から見に行きたいと思っていた東北の山の紅葉ですが、片道500kmの日帰りドライブは少々大変でした。さらに遠くにも行きたい山がたくさんありますが、コロナ禍以降、少々気力が低下気味なこともあって最近はロングドライブを控えています。
【冬】美しい雪山を求めて、安達太良山と西吾妻山
冬は大好きな雪山の季節です。写真は福島県の安達太良山と西吾妻山、たまたま東北が続いてしまいましたが、多摩地区からは比較的アクセスの良い甲信越に比べると、東北方面は運転を頑張った気分になります。
雪道の運転はそれなりに緊張しますが、毎年スタッドレスタイヤ(雪道や凍結した路面に強い、特殊なゴムが使われた冬用タイヤ)に交換する時期になると「いよいよ雪山に行ける」とワクワクします。
ロングドライブでの行き先が続きましたが、東京近郊の場合は公共交通機関も充実しているので、あえて車移動を選ばないこともあります。ただし神奈川県の宮ヶ瀬湖や道志方面、房総半島の中央部など、車でないと行きにくいエリアも意外とあります。
テクノロジーがもたらす明るい未来に期待
ここまで私のカーライフについて語ってきましたが、実はいまだにそれほど運転を好きになったわけでもありません。
若い頃はそこまで苦ではなかったロングドライブは年々しんどくなる一方。事故を起こしたくないという緊張感もありますし、公道を走っていれば楽しいことばかりではありません。それでもこの先の生活やアウトドア趣味のことを考えると、まだまだ車のない人生は考えられないかも。
幸いなことに自動車のテクノロジーは年々進化していて、現在は運転を支援してくれるさまざまな機能に助けられています。
高速道路でのロングドライブの際に、一定の速度や車間距離で車を走らせてくれるアダプティブクルーズコントロール、車線に沿ってハンドル操作を補助してくれるレーンキープアシスト、まだお世話になっていませんが衝突防止のブレーキアシストなど、かつて初めて買った車に比べたら、運転時の負担ははるかに軽くなり、安全性も上がりました。渋滞時にはペダル操作をせず、ステアリングのスイッチ操作のみで運転できたりもします。
そんな車の進化ぶりを見ていると、もしかしたら私が現役ドライバーでいるうちに、一部の地域や道路では完全な自動運転が実現される日が来るかもしれません。そうなれば今より楽に旅に出られるかもしれない。年を重ねても趣味を続けることができるかもしれない。そんな未来に期待しながら、この先もマイカーと付き合って行くことになりそうです。
編集:はてな編集部