はじめまして。「ぬこまた釣査団」の大西と申します!
私は大学を卒業してから10年間会社員をしていましたが、釣り好きが高じて2020年に思い切って脱サラ。現在はYouTube、ニコニコ生放送での配信や執筆活動をなりわいにしながら、釣り生活を送っています。
大きな魚を求めて遠征することもあります。この原稿を書いている数日前(2023年3月)には、住んでいる千葉県から岡山県まで片道800kmを運転して、3日間の釣行(ちょうこう。釣りへ出かけること)へ。コブダイという大きな魚を釣ってきました。
今回は、私が釣り歩いた関東の釣り場の中でも、特に「ファミリーにおすすめな釣りスポット」5ヵ所を紹介したいと思います。
釣りは場所によっては電車や手ぶらでも楽しめますが、車があるとより便利で快適になると思います。釣り好きの私が実感しているマイカー所有のメリットもお伝えします。
そもそも釣りの魅力とは?
近年、アウトドアブームで釣りに興味を持つ方も増えました。
一昔前まで釣りは「ハードルの高い趣味」というイメージがありましたが、現在では100円ショップで釣り具を安く購入できたり、釣り場や釣り方をインターネットで簡単に調べられたりするので、「手軽に始められるアクティビティ」になっています。
自然に身を置きながら釣りをすると、何か大きな魚やスーパーでは手に入らない高級魚が釣れるかも……という期待感があり、時間の経過を忘れるほど夢中になってしまいます。
それに、釣ったばかりの新鮮な魚を一度食べると、食感や香りの良さに驚くはず。たとえそれがスーパーで手に入りやすいアジやイワシであってもです。
また、堤防に座って海を見ながら食べるおにぎりやパンは、不思議といつもよりおいしさが増します。魚が釣れていないときでも唯一の救いになるので、だまされたと思って試してみてください!
このように釣りは「食まで含めたパッケージ」として、子どもから大人まで楽しめる点が魅力だと思います。
ファミリーフィッシングに適したスポットとは?
今回は、初心者の方でも安心して釣りが楽しめるように以下の3つの要素を満たすスポットを選びました。
- トイレが併設されている
- コンビニが近くにある(または施設内に売店がある)
- 釣果(ちょうか。釣りの成果)が期待できる
まず、トイレはマストであった方がいいと思います。いざというときに初めて必要性を感じるものですが、近くにトイレがないと車で移動しなくてはならないことも。特に子どもや女性が同伴する際は徒歩圏内にあると安心です。
また、売店も同じく徒歩圏内にあった方が良いでしょう。事前に食料を購入し空腹に備えることは可能ですが、冬場は温まるもの、夏場は冷たいものを近くで購入できると釣りのモチベーションを保つことができます。
気候的に過酷な環境下での釣りはオススメしませんが、周りに何もない冬の漁港で釣りをしている時は毎回「1,000円払ってでも温かいカップラーメンが食べたいな……」と思います。
釣果(釣りの成果)も重要な要素。私は釣り教室の講師を務めたり、友人ファミリーと釣りに行く機会があったりするのですが、そのたびに「釣れないと子どもが飽きてしまわないだろうか……」と心配になります。
そんな心配をよそに意外と子どもは釣りに集中していることが多いですが、その場では良くても今後も釣れないと「楽しくないし、行きたくない」と正直に評価されてしまうのも事実。
「必ず釣れる」と約束できる釣り場はありませんが、情報収集などで釣果の可能性を高める方法もあるので、そうした視点も盛り込んでみました。
ファミリーにおすすめの関東近郊釣りスポット5選
それでは関東近郊のおすすめ釣り場を紹介しましょう。
お子さんと一緒に釣りをすることを考えると「安全面」は大事です。手すりの設置やライフジャケットのレンタルがある方が良いでしょう(貸出がない場所には持参しましょう)。そのほか、「釣果の期待度」「周囲の利便性」「混み具合(★が少ないほど混雑度合いが高め)」の4項目で「おすすめ度」を表示しています。釣果は私が過去に釣った魚たちも参考にどうぞ。
【1】うみかぜ公園横の釣り場(神奈川県横須賀市)
- 【入場料】無料
- 【おすすめ度】
- 安全面 :★★★★☆
- 釣果の期待度:★★★★☆
- 周囲の利便性:★★★☆☆
- 混み具合 :★★☆☆☆
- 【参考情報】上州屋 横須賀中央店の釣り情報
最初に紹介する釣り場は、横須賀市に位置する「うみかぜ公園」の横にある釣り場。釣り場総延長は約400mあり、神奈川県を代表する釣り場の一つです。
うみかぜ公園内に有料駐車場やトイレがあり、裏側にはスーパー(三和)、徒歩圏内にコンビニもあります。
また、近くに釣具店(上州屋横須賀中央店)もあるので、遠回りして釣具店に寄る必要もないですし、忘れ物をしても大丈夫。こちらの釣具店では定期的に釣果情報を更新していて、購入時にスタッフさんから釣り方のアドバイスもいただけます。
厳寒期の1〜2月(水温が低下して魚があまりいなくなります)を除けば、サビキ釣り、投げ釣り、ルアー釣り(※)といろいろな釣り方が楽しめて、釣れる魚種も豊富です。
(※)サビキ釣りは「サビキ」と呼ばれる擬餌バリを使った釣り、投げ釣りは重りや餌のついた仕掛けを陸から沖に投げてターゲットを狙う釣り、ルアー釣りは疑似餌(ルアー)を用いて行う釣りのこと
サビキ釣りではアジやイワシ、大サバなどの回遊魚から、投げ釣りはカワハギ、カレイ、キス、カサゴ、クロダイ、アイナメなどのファミリー釣り場を代表する魚が釣れます。ルアー釣りではタチウオ、メバル、ワラサ(出世魚でブリになる前の50〜60cmほどの魚)、スズキなどの大型魚も狙えます。
少し前ですが「うみかぜ公園横の釣り場でマダイが釣れる」という情報を得て、宝くじを当てるつもりで挑戦したらその日に68cmのマダイが釣れました!
東京湾の岸からでは1年を通して数えられるほどしか釣れない激レアな魚だけに驚きました。そのとき使った餌はユムシという大きな虫餌で、見た目から触れない方も多いですが、大きな魚が釣れる特餌(特別な餌)なのでおすすめです。
また100cmを超えるタチウオなど、ファミリー釣り場では想像できないサイズの大物も釣れる非常に夢のある釣り場です。
これだけ大きな魚を釣っていても、私が一番おすすめするのは秋のマアジ! 「金アジ」とも呼ばれる東京湾のブランドアジが日没前後にサビキ釣りで手軽に釣れます。
栄養豊富な東京湾で育ったアジは、塩焼きにすれば消えてなくなりそうなほど脂が乗っていて絶品です。こればかりはスーパーで買うのは困難で、まさに釣り人の特権とも言える小さなモンスターです。
釣りの後はテニスコート端にある水道でケースや釣りざおを洗って帰宅できるのもありがたいですね。
最後に注意点を。ライフジャケットのレンタルがないため、ここで釣るときは持参してください(どの場所で釣るときもライフジャケットは必ず着用しましょう)。ちなみに私はコンパクトな腰巻きタイプのライフジャケットを使っています。
【2】東扇島西公園(神奈川県川崎市)
- 【入場料】無料
- 【おすすめ度】
- 安全面 :★★★★☆
- 釣果の期待度:★★★☆☆
- 周囲の利便性:★★★★☆
- 混み具合 :★★☆☆☆
- 【参考情報】勇竿釣具店-ユウザオ-🐟 (@yuzao2012) / Twitter
「東扇島西公園(ひがしおうぎしまにしこうえん)」は神奈川県川崎市内で釣りができる唯一の公園。総延長約600mの広いキャパシティを誇る釣り場です。
公園の敷地に有料駐車場とトイレ、水道が完備されているほか、釣り場では珍しく釣具店(勇竿釣具店の移動式売店)もあり、釣り具や餌、軽食を購入できます(徒歩圏内にコンビニもあり)。
勇竿釣具店のTwitterアカウントでは当日の釣果を更新しているので新鮮な情報を頼りに出かけられます。
釣り物(釣れる魚)は1~2月の厳寒期を除いてアジやイワシ、コノシロ、メジナなどの回遊魚が多く、投げ釣りでは冬場に50cmを超える大アナゴやカレイの釣果も珍しくありません。
アジに人生の半分ほどをささげている私としては、ここでもオススメはアジですが、他に挙げるならマゴチ。
縦長で平べったい容姿の魚で、サビキや虫餌では釣りづらく、小魚を使った泳がせ釣り(※)やルアー釣りでしか釣れない難易度の高いターゲット。しかし、ここ東扇島西公園は初夏から秋にかけてマゴチの数釣り(魚をたくさん釣る釣り)ができることで有名です。
(※)泳がせ釣りとは生きた小魚を餌にして泳がせ、大物を狙う釣り
魚影が濃くて(魚がたくさんいて)釣りやすいだけでなく、生き餌となるハゼが現地で購入できて釣り方までレクチャーしてもらえるので、初心者の方が一番釣果を得やすい大物でもあります。
同じ釣り方でキビレ(キチヌ)やマダコも釣れるため、バラエティーに富んだお土産が期待できます。
また、上級者向けの釣りになりますが、ここは関東随一の青物(背の青い魚の総称)スポットでもあります。10月中旬〜12月にかけて展望台周辺ではアジの泳がせ釣りで最大90cmまでのブリが連日釣れることも。
私は2年間、ブリにチャレンジしていますが、いまだドリームをつかめておりません……。
その代わりにと言ってはなんですが、東扇島西公園で釣れる最大の魚・ドチザメ(120cm)は確保できました!
皆さんも大物狙いにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
【3】本牧海づり施設(神奈川県横浜市)
- 【入場料】大人900円、中学生450円、小学生300円(その他、回数券あり)
- 【おすすめ度】
- 安全面 :★★★☆☆
- 釣果の期待度:★★★★☆
- 周囲の利便性:★★★★★
- 混み具合 :★★★☆☆
- 【参考情報】本牧海づり施設
「本牧(ほんもく)海づり施設」は神奈川県横浜市にある釣り公園。釣り場総延長は1,400m、施設の最大収容人数は650人の大型釣り場です。
2019年の台風15号の影響で一時閉園に追い込まれていましたが、2022年3月から沖桟橋含めてすべて開放されました。
横浜市には「本牧海づり施設」以外にも「大黒海づり施設」「磯子海づり施設」があり、これらは同じ会社が管理する横浜3大海釣り施設です。
これまで紹介した公園とは違い、入場料がかかりますが、トイレや駐車場以外にも売店(軽食や釣り具が購入できる)、レンタルタックル(タックルとは釣り道具一式のこと)があるため手ぶらで行っても楽しめます。有料駐車場もあります。
東京湾の潮通しの良い立地にあるため魚影が濃く、一年中釣り人でにぎわっています。秋のハイシーズンは定員オーバーになることも珍しくありません。
釣れる魚は東京湾で釣れる魚すべて! と言うと少し大げさかもしれませんが、水深もあり夢のある釣り場です。
サビキ釣りでアジ、イワシ、コノシロ、ウミタナゴを狙ってそのまま足元で泳がせればスズキや青物が釣れ、また海底に虫餌を落としてカサゴ、カレイ、キスなどを狙うこともできます。
おすすめの釣りは海底付近にサビキ仕掛けを落としてアジをたくさん釣るか、イワシを釣って泳がせての大物狙いです。一人が使用できる釣りざおは2本までと決まっているため、効率良くお土産を確保したいところです。
本牧海づり施設最大の魅力は、毎日ホームページで更新される釣果情報! 小まめに更新してくれるのでリアルタイムで状況が分かります。一日の最後にはすべての釣果と水温も掲載されるため、海の様子を把握することもできます。
準備段階である程度その日の予想ができるので、釣果の期待値も高まります。「どうしても釣りたい」というときは、前述した横浜3大海釣り施設の釣果を比べて狙いたい魚がより釣れている場所を選択してみてはどうでしょうか。
ちなみに大黒海づり施設は入場予約もできるので、ハイシーズンでも並ばなくていいのはファミリーにはありがたいですね(ただし釣り座〈釣るための場所〉の確保は実施していません)。
※予約できるのは土、日、祝日および繁忙期のみ
本牧海づり施設で釣るときに注意してほしいのは、沖桟橋の手すりが低い点です。安全を優先される方は手すりの高い護岸側にエントリーしてください。
【4】熱海港海釣り施設(静岡県熱海市)
- 【入場料】大人500円、小中学生300円、貸しざお(2時間制)2,000円
- 【おすすめ度】
- 安全面 :★★★☆☆
- 釣果の期待度:★★★★☆
- 周囲の利便性:★★★★☆
- 混み具合 :★★★☆☆
- 【参考情報】熱海港海釣り施設
静岡県熱海市にある海釣り施設。国土交通省の「釣り文化振興モデル港」に指定された熱海港の防波堤(約250m)に併設され、魚種が豊富で一年中釣りが楽しめます。
施設内はトイレが完備され、売店では釣り餌と軽食を購入できます。有料駐車場もあります。
近隣に釣具店(フィッシングショップサンワ)があるので仕掛けの買い足しも可能。またレンタルタックル使用者専用のスペースがあり、手ぶらでもサビキ釣りが楽しめます。
関東では珍しいタカベという回遊魚が釣れます。小型の魚ですが、脂の乗りが非常に良くておいしいので、お土産に必ず持ち帰ることをおすすめします!
立地が相模湾にあるため、全体的な釣果の方はこれまで紹介した東京湾に面する施設と大きく変わります。
特に青物のサバ、ソウダガツオ、イナダや高級魚であるハタ類のオオモンハタ、アカハタ、「磯の王者」ことイシダイが釣れることも。堤防釣りの定番とも言えるカサゴでも、ときに30cmを超える規格外な個体もいるので侮れません。
私のおすすめは初冬の大型カワハギと海底にいる根魚(ハタ類やメバル、カサゴなど)。
暖かい時期はお客さんも多いため入場に苦労しますが、冬季は比較的空いています。さらに気温が低くても海水温は高いため、12月でも夏〜秋に釣れる青物や根魚が狙えます。
カワハギは市販の冷凍アサリや釣具店の生アサリを餌にします。カワハギ専用の胴突き仕掛けを30mほど飛ばす必要がありますが、船釣りで狙えるような25cmを超える大型が釣れる確率が高いのでぜひチャレンジしてみてください!
初冬に釣れるカワハギは越冬に備えて肝が肥えており、肝醤油にして刺身を食べてもヨシ! 煮付けにしても絶品です。
この施設も手すりが低いため、足元に注意して釣行してください。
【5】鹿島港魚釣園(茨城県鹿嶋市)
- 【入場料】大人600円、小中学生300円、ライフジャケットレンタル300円(2023年4月時点。最新情報は後述するTwitterアカウントで確認を)
- 【おすすめ度】
- 安全面 :★★★★☆
- 釣果の期待度:★★★★☆
- 周囲の利便性:★★★☆☆
- 混み具合 :★★★★☆
- 【参考情報】鹿島港魚釣園の公式アカウント(発信のみ) (@KashimaUoturien) / Twitter
最後は茨城県鹿嶋市に位置し、太平洋に面した「鹿島港魚釣園(かしまこううおつりえん)」を紹介します。
鹿島港魚釣園もトイレ、売店、レンタルタックルが完備されており、初心者の方やファミリーにおすすめの釣り場です。無料駐車場もあり。
一番の魅力は四季に応じた魚種の豊富さ! 広い視点で見ると暖流エリアと寒流エリアで釣れる魚は大きく変わるのですが、ここ鹿島沖は両方の影響を受けるため、夏は大型の青物が釣れ、冬は冷水を好むカレイやアイナメが釣れます。
季節ごとにカタクチイワシ、マイワシ、アジ、チアユ、サヨリ、カワハギ、メジナなど回遊魚の接岸があり、一度接岸すると連日入れ食い状態が続くことも。また小型の回遊魚が多いため、それらを追ったヒラメやスズキを泳がせ釣りで狙うこともできます。
魚種が豊富でも何をいつ釣ればいいのか分からない! そんな方でも安心してください。施設のTwitterで毎日釣果情報が更新されるため、釣行プランを組んで挑むことができます。
私のおすすめのターゲットは秋のシマアジと冬季のカレイ。
どちらも関東の堤防で釣るのは困難な魚ですが、鹿島港魚釣園ではまとまって回遊することがあるので、釣れた情報が入ればぜひチャレンジしてみてください。
冬季は強風で施設が閉園することがあります(風速10mが基準)。営業の可否は早朝にTwitterで更新されますので、天気予報と合わせてご確認ください。
公共交通機関でもOKだけど……釣りは車があると便利
私にとって、車は移動手段というだけではなく、衣食住の「住」の一部を担うと言っても過言ではない必需品。マイカーは車中泊仕様にDIYしています。
紹介したスポットの中には、うみかぜ公園や本牧海づり施設など公共交通機関でアクセス可能な釣り場もありますが、やはり車が必要だと感じることもしばしば。私が釣りでマイカーの優位性を感じる点を3つ紹介します。
- 早朝から釣りができる
今回紹介した釣り場に限らず、関東の釣り場は休日はもちろん、平日でも釣り座が確保できないほど混みあっていることが多いです。そのため、前日の深夜や当日の早朝から場所取りを行う必要があります。
出発の時間が「始発」に制限される公共交通機関では、スムーズに場所が取れない可能性があります。車がなくても釣りはできますが、マイカー所有者に比べると不利になってしまいます。
- 荷物をたくさん積める
釣りは手ぶらでもできるレジャーですが、釣行を重ねるとマイタックル、気長にアタリを待つためのアウトドアチェア、夏場はクーラーボックス……など所有欲が高まり、いつのまにか荷物が増えていきます。
公共交通機関の混雑を考えると、それらすべてを電車で運ぶのは想像しただけでも気が遠くなります。荷物を制限せず釣行するためにも車があるに越したことはないと思います。
- 釣り場で休息が取れる
特に冬季など屋外で長時間釣りをするのが厳しい時期は、車で暖を取ることができます。
私のように車中泊仕様にまでする必要はありませんが、車があれば仮眠を取れたり、ポータブルバッテリーとIH調理器具でインスタント食品を食べたりもできます。
釣りのサポートアイテムとして車を利用できれば釣行はいっそう快適になります!
リーズナブルな釣り具が登場し、さらにSNSの普及で釣果情報が得やすくなった今、釣りは手軽に始められるレジャーになりました。
お子さまでも夢中で楽しめる釣り。まずは今回紹介した釣り場から釣りライフを始めてみてはいかがでしょうか。
編集:はてな編集部