人を乗せて運転するプロ、ハイヤードライバーに教わる「みんなが心地よい」運転術

車の運転が上手くなりたい! という人向けに、ハイヤードライバーがポイントを教えます。安全運転かつ、自分も同乗者も快適に車に乗るための運転術とは? 運転姿勢はじめ、アクセルやブレーキの踏み方などを説明します。

人を乗せて運転するプロ、ハイヤードライバーに教わる「みんなが心地よい」運転術

こんにちは。ライターの斎藤充博です。

僕は首都圏に住んでいる在宅フリーランス。運転免許は持っているものの、普段は車の運転をほとんどしません。年に1回くらい、レンタカーを借りて妻とドライブする程度です。運転にもちょっと苦手意識があります。

さて、こんな僕ですが、2022年に第一子が生まれました。今後は子どもと車で出かけたくなることもあるかもしれません。それなら、苦手意識なんて言っていないで、ちゃんと運転できた方がいいのかも……?

というわけで、今回は「安全で、乗っているみんなが心地よい運転」がテーマです。「ハイヤーの乗務員」の教官をしている日本交通・清水さんにお話を伺ってきました。同乗者だけでなく、自分もできれば快適に運転したいという思いも込めながら……。

聞き手の斎藤充博(左)と、日本交通・清水さん(右)

聞き手の斎藤充博(左)と、日本交通・清水さん(右)

そもそも、ハイヤーとは、完全予約制で利用者に合わせたサービスを提供する個別輸送機関です。今回お伺いした日本交通さんにおける最低利用金額は12,810円(税込。2022年12月時点の情報)。最低利用金額とは、タクシーでいうと初乗り料金のようなものです。思わず「高ッ!」とつぶやいてしまいそうになりますが、この料金はハイヤー乗務員さんの高い運転技術があればこそといえるでしょう。

つまり、ハイヤーの乗務員さんは運転のプロ中のプロ。さらに清水さんは、そんなプロたちを指導する立場にあります。

ハイヤー

今回聞けた内容は以下の通り。一般の人からは知られざるハイヤーの世界と、今日の運転からさっそく役立つ技術が詰まっています。

ハイヤー車だから快適なのではない。どんな車でも安全で快適な運転はできる!

日本交通・清水さんに運転技術を伺います

聞き手・斎藤
今日は「みんなが心地よい運転術」を教えてもらおうと思って来ました。ただ、その前に「ハイヤー」について教えていただけませんでしょうか? そもそもハイヤーとは何なのかが、僕はちゃんと分かっていなくて……。

清水さん
一言でいうと、ハイヤーとは「送迎を通してお客さまの時間を創出するサービス」になりますね。

主にハイヤーをご利用になられるお客さまは企業のトップマネジメントの方々です。企業としては、トップマネジメントの方に、移動の時間も含め仕事をたくさんしてもらいたい。それが会社の利益にもつながるためです。そこで我々のようなハイヤーが、移動中にも個別の空間や時間を提供しています。

聞き手・斎藤
重役の人がリッチな高級車の中でくつろいでいるイメージがあったのですが、仕事をしているんですね。

清水さん
もちろん時間の使い方はお客さまの自由です。移動中しか休憩が取れないから寝る、という選択肢もありますよね。ただ、仕事するにしても寝るにしても、「お客さまにとって有益な時間」を提供することがハイヤーの役割です。

聞き手・斎藤
そういうことか。「時間を創出するサービス」という意味が分かりました。

しかし「個別の空間」というなら、タクシーもそうといえるのではないでしょうか? タクシーとハイヤー、それぞれの乗務員の仕事内容はどう違うんでしょう?

清水さん
一番の違いは、ハイヤーでは必ず「予約」を入れていただくところです。タクシーのように道路を走りながらお客さまを探すことはありません。

予約をしていただく以上、我々は必ず入念に準備をします。トップマネジメントの方の時間創出ということを考えると、道の間違いや時間の遅れなどはもちろん許されません。快適で安全に運転することも当然です。もちろん、接遇にも相応のものを求められます。

聞き手・斎藤
ハイヤー乗務員さんのすごさが分かってきました……。

これから運転について、いろいろお伺いしていきたいのですが、どうしても気になっていることが1つありまして。ハイヤーの乗り心地がいいと言われるのは、「乗っている車がものすごくいいから」なのではないでしょうか?

もしもそうなら、技術や工夫を教えてもらってもあまり意味がないのでは……?

清水さん
確かにハイヤーには乗り心地のいい車が使われています。ただ、きちんと運転すれば、どんな車でも同じように快適で安全な運転はできると思っています。

ハイヤーで使用される車はシートがふかふかだったり、サスペンション*1の性能がよかったりはするのですが……。

聞き手・斎藤
どんな車でも、ですか? 例えば軽自動車でもハイヤーはできますか?

日本交通・清水さん

清水さん
個人的な見解にはなりますが、私は軽自動車でもハイヤーはできると思っています。

とはいっても例外はあります。一部「コンピューターが揺れを制御する」ような車種がありまして、それだけは明らかに違いますね。ただ、それ以外ならどんな車でも可能だと思っています。

聞き手・斎藤
そうなんだ……。ありがとうございます。

「乗っているみんなが心地よい運転」は安全運転にもつながる

聞き手・斎藤
プロの目線から、僕のような人間にもできる「安全で快適な運転をする技術」をお伺いしたいです。

清水さん
安全で快適に運転するためのポイントは2つあると考えています。

  • 運転姿勢
  • 危険認知

これらについて詳しく説明しましょう。

正しい運転姿勢👉疲れにくさ&スムーズな加減速

清水さん
こういう姿勢で運転している一般の方って、けっこういると思うんですよ。

一般の方に多い運転姿勢

聞き手・斎藤
僕も運転するときはこんな感じですね。

清水さん
椅子への腰掛けが浅くて、腕が上がっていますよね。

例えば、この状態で交差点を曲がろうとします。ハンドルを回すためには体を大きく起こして、前傾姿勢にならなくてはいけませんよね。これが疲労のもとなんです。

聞き手・斎藤
ああ~。いちいち前傾姿勢になると腰にも首にも力が入りますよね。これを何度も行っていると疲れるのも当然か……。

清水さん
その通りです。そこで、我々はこのような姿勢で運転をします。

日本交通・清水さんに教えてもらった理想の運転姿勢

聞き手・斎藤
ちょっと窮屈そうな感じもしますが、この姿勢がいいんですね?

清水さん
窮屈に見えるくらいが、ちょうど良いです。

まず、このまま力を入れずにハンドルを操作することができます。それに、この姿勢だと背中がシートにしっかりとホールドされるので、揺れにくくなるんです。こうすると疲労度は相当変わりますね。

疲れにくい運転姿勢はちょっと窮屈

聞き手・斎藤
僕が会社員だった頃は地方営業で毎日長距離を運転していたんです。5~6時間は運転していてクタクタでした。この情報、早く聞いておきたかったです……。

清水さん
また、運転姿勢でアクセルとブレーキの踏み方も変わってきます。遠過ぎても近過ぎてもアクセル / ブレーキワークが難しくなります。

かかとを床につけ、足首を使って優しく操作できるような場所を探してみてください。

急加速や急減速を防ぐことにつながりますし、それは同乗者の乗り心地にも影響がありますので。

少し窮屈な方がアクセル・ブレーキワークも優しく行える

清水さん
アクセルもブレーキも時間をかけて踏んでいくイメージでいると良いでしょう。

減速する場合は、なるべく早めにアクセルから足を離しておくとエンジンブレーキが効いて速度が落ちていきます。それに合わせて、少しずつブレーキを踏んでいくようにすると、急ブレーキにならず、ゆるやかに停車できます。

聞き手・斎藤
こういうこと、意外と教習所では教わっていなかったような気がしますね。

清水さん
ちなみに、コーナリング(道の角を曲がること)でもカーブの前に速度を落としておくのが基本です。ゆっくり曲がった方が同乗者も揺れにくいですし、倒れないように踏ん張らなくてよくなります。

余裕のある危険認知👉早めの判断で急操作を避ける

車間距離を制するものが運転を制する

清水さん
「アクセルもブレーキも時間をかけて踏んでいく」とお伝えしましたが、そのためには余裕のある危険認知が必要です。

そのために重要なのが「車間距離」。私は「車間距離を制する者が運転を制する」と思っています。

聞き手・斎藤
そんなに重要なんですか? 車間距離は、なんというか……普通に空けておけばいいような気がしていましたが……。

清水さん
「空走距離」と「制動距離」という言葉は知っていますよね?

車の運転に必要な車間距離

聞き手・斎藤
「空走距離」はドライバーが「ブレーキを踏もう」と思ってから実際に踏むまでに車が進む距離で、「制動距離」はブレーキを踏んでから車が止まるまでに進む距離のことですね。

清水さん
その通りです。車間距離は「空走距離」と「制動距離」を意識したものでなくてはいけません。

車間距離に余裕があれば「空走距離」を長くとることができます。これが運転者の余裕につながるのです。

聞き手・斎藤
確かにそうですが……。ちょっと当たり前のことを言われているだけのような気もします……。よく交通安全講習などで聞きますし……。

清水さん
なるほど。それでは私と「じゃんけん」をしてみませんか?

聞き手・斎藤
じゃんけん?

清水さん
ただし、後出ししてもいいから、私に必ず勝ってください。必ずですよ? いきます。じゃん、けん……ぽん。

唐突に始まるじゃんけん

清水さん
いいですね。それでは、だんだんとスピードを速くしていきます。じゃんけんぽん!

「後出しで必ずじゃんけんに勝つ」という動作も、スピードが速くなると急に難しくなる

聞き手・斎藤
ぜんぜん難しくないはずなのに、スピードを速くすると急に難しくなります……。

清水さん
そうでしょう。今度は必ず負けてください。じゃんけんぽんッ!

聞き手・斎藤
ウワーッ!!! 全然対応できなくなります。めちゃくちゃ慌ててしまう……。あっ、間違えた……。

清水さん
分かっていただけましたか?

聞き手・斎藤
完全に理解しました。いまのじゃんけんを自動車の車間距離に置き換えると……

  1. 相手が何を出したか認識する=ブレーキを踏む状況を認識する=空走距離
  2. 自分が何を出すかを決定する=ブレーキを踏もうとする=空走距離
  3. じゃんけんの手を出す=ブレーキを踏んでいる=制動距離

清水さん
その通りです。1と2に余裕があれば、絶対に自分が出す手を間違えるようなことはないんです。ところが、急ぐと急に間違える。

聞き手・斎藤
じゃんけんで出す手も判断できなくなってしまう、ということですね。車の運転だったら判断を誤って事故になったり、急ブレーキをかけているかもしれない。

清水さん
人間って、慌てるといろいろなことが正確にできなくなってしまうんです。このことをぜひ頭に入れて運転をしてほしいですね。

聞き手・斎藤
「当たり前のこと」なんて生意気言ってすみませんでした……。

清水さん
車間距離を十分に空けていれば、判断するための余裕ができます。判断するタイミングが早ければ、ブレーキ / アクセルワークにも時間をかけられる。そうすると、スムーズな加減速ができるので、より安全に運転できるだけでなく、自分も同乗者も快適になるというわけです。

常にネガティブな想定をしておく

清水さん
それから運転時の心構えですが、私は常にネガティブな想定をしています。

聞き手・斎藤
どういうことでしょうか?

清水さん
例えば、住宅街の物陰からは歩行者が飛び出してくるだろう、横断歩道の歩行者信号が赤のときでも、歩行者が走って渡ってくるだろうと思っている。

聞き手・斎藤
なぜ、そんなふうに考えているのですか?

清水さん
斎藤さん、これまでの人生で1度くらいは歩行時に「住宅街の物陰から路上を確認しないで飛び出す」ことをしそうになったことはありませんか?

聞き手の斎藤充博

聞き手・斎藤
それは……。

清水さん
本当はダメなことですし、路上を歩くときは十分注意してほしいのですが、子ども時代だったり、考え事をしながら歩いているときだったり、慌てているときだったり、誰しも1度くらいは身に覚えのある話だと思うんですよ。

そして、自分に身に覚えがあるのだったら、他の人がやってもおかしくないと思いませんか?

聞き手・斎藤
確かに……。そんなときに自分が自動車で通りかかったら、歩行者と事故になるかもしれませんね。

清水さん
そうなんです。よく教習所や安全運転講習では「“だろう運転”ではなく、“かもしれない運転”をしよう」なんて言いますよね。

聞き手・斎藤
言いますね。「歩行者が飛び出してくるかもしれない」ことを前提に安全運転をしましょう、と。

清水さん
私は違うんです。いつも「だろう運転」を心がけています。つまり「歩行者が飛び出してくるだろう」という前提の元に運転をしているんです。

聞き手・斎藤
なるほど。ネガティブな想定をしていた方が安全にはなりますね。

清水さん
ネガティブな想定をしながら、車間距離を十分とって運転していると、余裕を持って危険に対処できます。

そうすると、急加速・減速、急ハンドルといった急操作をする機会が減り、乗っている方にとっても快適になるのではないでしょうか。

他にもある、運転初心者が意識しておきたい心がけ

車線変更や合流👉ウィンカーを使って「対話」する

聞き手・斎藤
急操作という話が出ましたけど、僕は車線変更や合流が苦手なんです。何も言われたことはないですが、同乗者のこともそわそわさせてしまっているかも……。

車線変更や高速の合流が苦手と語る聞き手・斎藤充博

清水さん
ウィンカーを使って周りの車と「対話」してみてください。

聞き手・斎藤
対話?

清水さん
車線変更でも合流でも、必ず自分の車と周りの車にコミュニケーションが発生すると思いませんか?

聞き手・斎藤
確かに、他の車に譲ってもらって入るわけですよね。

清水さん
その時に「入りたい・入れてほしい」という意志を伝えるのはウィンカーしかないんです。

聞き手・斎藤
言われてみるとそうですね。ただ、ウィンカーは当然使っていますが……。

清水さん
自分がウィンカーを使って「入りたい・入れてほしい」という意志を示したら、相手の車がどう考えているのかを確認しなくてはいけません。

「入っていいよ」という考えならスピードを落としてくれるんです。そうしたら入ればいい。「入れないぞ」という考えならスピードを落とさないで走ってきます。そうしたら後続車両に向けて、継続して「入りたい・入れてほしい」という意志を示せばいい。

相手の車の考えをきっちり確認すれば、自分の行動も決まってきます。

合流・車線変更はウインカーでコミュニケーションを取る

聞き手・斎藤
ああ……。言われてみると確かに「対話」ですね。僕はウィンカーをなんとなく手続き的に使っているだけでした。

清水さん
ちなみに、自分が車線変更や合流のタイミングでないときも周りの車のウィンカーに注意を払っておいた方がいいですね。ウィンカーが点いている車を入れてあげるようにすれば、強引に割り込まれることはない。それだけで接触事故の可能性を減らすことができます。

ルート選び👉直線的かつ最短最速のルートを選ぶ

聞き手・斎藤
先ほど、ハイヤーの乗務員は入念に準備をすると聞きましたが、運転計画はどのように立てているのでしょうか? 僕はいつもカーナビ頼りですが。

清水さん
一般の方はカーナビに従うのがいいと思います。直線的で最短、最速で行けるルートが望ましいです。今どきのカーナビは、たいていこうしたルートを示してくれますからね。ただし、ナビの画面を見ることに集中してしまうと前方不注意になって危険ですので、それだけ注意してください。

ハイヤー乗務員の場合は、道路状況などによって当初選んだルートとは別の道を通ることもあります。その先で急きょ工事が始まっていたり、事故が起こっていたり、事前に調べた情報だけでは対処できないこともありますから。目的地までの道は頭に入っているので、「この区間はこの道にしよう」など臨機応変に対応できるわけです。

聞き手・斎藤
僕らみたいな一般人はカーナビでいいんですね。

清水さん
ただ、完全にカーナビ任せにはせずに、自分でもある程度ルートの認識はしておいた方がいいと思います。

カーナビに目的地を入力してすぐに出発するのではなく、停車したまま、経路の縮尺を変えるなどして、おおまかなルートを覚えておく。高速を使う場合は入口と出口を覚えておく。これだけでだいぶ違います。

聞き手・斎藤
走りながらだと、意外と慌ててしまいますもんね。どこで高速を降りるか把握しているだけでも、心に余裕が生まれて運転に集中できそうです。

清水さん
運転計画でいえば、他には天候にも注意が必要ですね。

常識ではありますが、夜間で雨が降っていると視界が悪くなります。私はプロなので、仕事であれば最大限の注意を払って運転しますが、プライベートでは極力運転を避けますね。

聞き手・斎藤
プロでも避けたくなるようなものだったのか……。

清水さん
積雪時にも注意です。対策として「タイヤチェーン」や「スタッドレスタイヤ」を装着するのは前提です。ただ、こうしたものを付けても、路面が凍結しているとある程度は滑ってしまうんですよ。だからやっぱりスピードを落とすことが必要になります。

聞き手・斎藤
なんとなく「タイヤチェーン」や「スタッドレスタイヤ」なら大丈夫な気がしていましたが、そうとも限らないんですね。

清水さん
雪が積もっていなくても、厳冬期は「ブラックアイスバーン」があることも注意してください。これは一見凍結しているようには見えない路面のことです。自分が滑らないようにするのはもちろんですが、「周りの車が突然滑る可能性がある」ことも頭に入れておきましょう。

あと、積雪時や厳冬期には「橋」を可能な限り避けるといいですね。よく言われることですが、橋は凍結しやすいので……。

聞き手・斎藤
危険だと予測できるときは車で出かけないようにします。

清水さん
我々のように車の運転が仕事でないのなら、そうした方がいいでしょうね。

聞き手・斎藤
最後に、僕のような運転者にアドバイスはあるでしょうか?

清水さん
ハイヤー乗務員には高度な運転技術が求められますが、一般の方は必ずしも上手に運転する必要なんてないんです。下手でも、下手なりに安全運転をしようと心がけるだけでも良いのです。ペーパードライバー講習を受けるのもいいですね。

聞き手・斎藤
「下手なりに安全運転」っていいですね。ちょっと運転への苦手意識が減るような気がします。今日はありがとうございました!

実際にハイヤーに乗ってみた

取材後にハイヤーに乗せてもらいました

取材後にハイヤーに乗せてもらいました。

今回乗ったハイヤー車両の車体は周囲の風景が映り込むほど磨かれており「VIP」の文字が付けられています

車体は周囲の風景が映り込むほど磨かれており「VIP」の文字が付けられています。ウワァー。

ハイヤー車内(ライター撮影)

ハイヤー車内(ライター撮影)

これがハイヤーの車内です。この写真からは一切伝わらないと思いますが、だいぶ広い。くつろげる空間です。

快適な車内でメールを見てみる(編集部撮影)

快適な車内でメールを見てみる(編集部撮影)

車が走り出しました。非常に乗り心地が良く、発進も停止も本当にスムーズ。空調もほどよい。同席していた編集者と「すごいすごい!」と興奮していました。ただし、それも最初の5分くらいのこと。

なんと、運転がすごすぎると飽きることが分かりました。ハイヤーすごい!

なんと、乗り心地が良すぎて飽きてきてしまったのです!

これは決して悪口を言っているわけではありません。だって、考えてもみてください。ハイヤーは、発進も、停止も、カーブも、スムーズ過ぎて体に全く何も感じないほど。それはつまり「静かな会議室」にいるのとさほど変わりません。バスやタクシーなどでは決してありえない感覚です!

結局、僕も編集者もなんとなく手持ち無沙汰になり、なんとなく次の企画の打ち合わせなどを始めてしまったのでした。いつの間にか仕事をしてしまっている……。運転技術を高めると、ここまでいくのか。恐るべし、ハイヤー。

いやー。本当にものすごい人に運転の仕方を聞いていたんですね。次に僕が車を運転するときは、同乗者にこんなふうに思わせることができるといいな、と思いました。

斎藤充博

著者:斎藤充博

指圧師・ライター・マンガ家などをしています。昼寝とビールが好きです。

  • X(旧Twitter):@3216

撮影:関口佳代
編集:はてな編集部

*1:自動車に用いられる部品の一つで、路面の凹凸を車両に伝えないようにする緩衝装置としての役割を持つ。