ある二児のママの脱ペーパードライバー奮闘記!「ちょっとずつ練習する」から、ちょっとずつ苦手意識が克服できる

子育てのなかで、ペーパードライバー克服を決意したよこみねさやかさん。教習所での悪戦苦闘、「ちょっとずつ」「反復」を軸にした練習など、よこみねさんが「車で保育園に送り届ける」ミッションを達成するまでの奮闘を、イラストとともにつづってくれました!

よこみねさやかさんペーパードライバー克服記メインカット

イラストレーターのよこみねさやかです。
8才の長男と6才の娘、そして夫との4人で都内に暮らしています。
高校を卒業してすぐに教習所に通い、車の免許自体は早々に取得したものの、その後、ほとんど運転することなく生きてきてしまった私。その理由は自分のライフスタイルにおける移動がすべて公共の交通機関で事足りてしまい、運転する必要性が全くなかったことにありました。

しかし、子どもが生まれ、生活が変化していくなかで一念発起、再びハンドルを握るべく、悪戦苦闘を始めたのです。ペーパードライバー講習を受け、運転を楽しいと思えるようになった現在までの経緯をお伝えしたいと思います。

次女出産、子育てタスク2倍に……そうだ、車を持とう!

上京後結婚し、30才で長男を出産。小さな子どもを連れて抱っこ紐やベビーカーで公共交通機関を利用することに多少の不便は感じたものの、電動アシスト自転車に乗せられる年令になると、一挙に楽に移動できるようになり、特に困ることもありませんでした。若かった分、体力もあったのでしょう。

状況が変わったのは第二子の妊娠、そして産後の自分の体調の変化がきっかけでした。

びっくりするほど体力が戻ってこなかったのです。それなのに育児のためにやることは以前の2倍です。長男の保育園の送り迎えもある。しかし次女はまだ小さく、自転車に乗せられず、娘を抱っこしながらバスで長男を送り迎えをする生活に逆戻りしました。

日に日に疲弊していく私の姿になにか思うことがあったのか、その頃から夫はあちこちの自動車ショールームに足を運んでいた模様。そしてある日、夫が持ち帰ってきた車のパンフレットを見て、私はハッとしました。

「車を持つという選択肢もあるんだ!」

そこに気がつき、私は初めて「車のある生活」をイメージするようになったのです。不便だ不便だと感じるだけで終わっていた生活の場面のあちこちに、車があったらどれほど便利で快適だろう。どんどん想像が膨らみます。

「雨の日の子どもたちの送り迎えも安心だな」「買い物帰り、荷物が重くなっても楽そうだな」「子どもたちも車のある生活を楽しんでくれそうだな」などなど、想像はやがて、車を持つ明確なメリットとして感じられるようになり、私たち家族は車の購入を決めたのです。

公道怖い!ペーパードライバー講習で覚悟の公道走行に挑む

車を買おうと決めたものの、私たち夫婦は二人揃って筋金入りのペーパードライバー、という大問題が横たわっていました。ですからまずやることと言えば教習所のペーパードライバー講習に通い、車の運転を再び学ぶことです。

とはいえ、小さな子ども二人を育てながらの教習所通いはなかなかにハードです。私の場合、幸いにも実母のサポートが得られ、娘を見てもらっている間になんとか教習所へ。

夫はといえば、仕事の前後の時間を使い講習に通う他ありませんから、体力的にも大変な毎日だったと思います。しかし夫の車に対する想いは凄まじく、面倒な手続きからハードなスケジュールまでものともせずこなしていたことに驚きました。日頃私がどれだけうるさく言っても、行動を起こすまでに時間のかかるのんびり屋の夫がこれほどまでに……夫の本気度を垣間見た瞬間でした。
ペーパードライバーとはいえ、かつては定期的に車を運転していた夫は、運転そのものが大好きということもありスムーズに上達していきます。

しかし、免許取得以来ほぼ運転していなかった、いわゆる「ペーパーゴールド」の私はというと……

よこみねさやかさんがペーパードライバー講習の様子の4コママンガ

教員の方も呆れるほどのビビりっぷり。半ばだまされるようにして公道に出たときには生きた心地がしませんでしたが、教員の方の心強い言葉に励まされ、なんとか教習を終えました。そう、ペーパードライバー教習は回数が少ないため、とにかく公道に出て少しでも経験値を得ることが大切。

車の操作には慣れたとしても、公道には自分以外の車や自転車、歩行者の方だっています。
さまざまな状況や周囲の動きを想定してアンテナを張り、適切な判断を行うのが車の運転ですが、マルチタスクが苦手な私にはとても難しく、少しハンドルを握っただけで疲弊してしまいます。こうした一連の状況判断を身に付けるには、教習だけでは不安だと思い、私は動画サイトに上がっている安全運転を学べる動画や、スマホアプリなども最大限活用して日々イメトレを重ねていました。

やがて講習の最終日。教員の方から「それだけ注意深ければむしろ運転には向いているよ」と太鼓判を押してもらったものの、「本当に私に子どもたちの送り迎えをできるのかな……?」と、まだまだ心の中は不安でいっぱいでした。

シミュレーションで少しずつ自信をつけていく。そして迎えたミッション達成の日

とはいえ、「保育園への送り迎え」というミッションを果たすためには、どうにかして不安を払拭せねばなりません。

というわけで、最初は夫に自宅↔保育園の道を何度も往復してもらい、私は助手席からその様子を観察し、頭の中でシミュレーションを重ねました。それが終わると、今度は夫に助手席に座ってもらいつつ私が運転し、経路や注意点などを頭に叩き込みました。

少し余裕が出てきたら、時間や天気などの条件を変えて同じ道を往復します。イレギュラーな事態が起こっていつもの道を通ることができない場合も想定し、幾つかの迂回路も頭に入れました。

こうした積み重ねの果てに、ついにその瞬間はやってきたのです。

いつまでも夫に頼りっぱなしでいることが心苦しくなったという、ドラマチックでもなんでもないいきさつですが、いよいよ一人でミッションにチャレンジしようと、心に決めたのです。「明日は一人で運転しようと思う」と告げた時の夫の驚いた表情は忘れられません。私にとって、とても大きな決心でした。

次の日、「保育園へ子どもを送っていく」というミッションをソロで達成したのです!やってみると意外なほどにさくっと帰り着いてしまったのですが、ものすごい緊張状態で、家に帰ってきたら、服は汗でびっしょりでした。

しかし私はやり遂げた。これで私には「車を使って子どもたちを迎えに行く」という選択肢が増えたのだ。そのことがただただ、うれしかったことを覚えています。

講習、夫の協力によって、少しずつシミュレーションを重ね、徐々に難易度を上げていくことで少しずつ不安要素を減らし、「これなら大丈夫」という感覚を得ていくのが、私に合った練習方法だったのです。運転に対する苦手意識も、少しずつ克服されていったように思います。なにごとも、反復と積み重ねって大事ですね。

それ以降も、私は基本的には同じ道しか運転しませんが新しく行きたい場所ができたら、やることはいつも一緒。同じ手順でシミュレーションや練習を重ねて、道順や注意点を頭に叩き込み、徐々に「これなら大丈夫」という感覚を掴み、少しずつ自分の行動範囲を増やしてきました。

よこみねさやかさんがハンドルを握り買い物に行く4コママンガ

そうやって運転生活を続けて5年。当初想像していた以上に車に乗るようになったことに驚いています。家族でのお出かけや旅行もほぼ車を利用していて、長距離移動も多いためもう少し大きめの車に買い替えるほど、私たち家族の生活に車は浸透しています。「子どもを送らなきゃ」といった目的のために無理をしてハンドルを握る、ではなく、今では天気や気分などで「当たり前に」車を運転することを選ぶようになった自分の気持ちの変化も、なんだか感慨深いです。

車の運転ができたから出合えた素敵な一言

時がたち息子は小学生に、娘は幼稚園へと生活ステージを変えました。幼稚園への送り迎えはまだまだ必要なので、私は毎日ハンドルを握っています。ときおり、息子の小学校もほど近い場所に車を停めることがありますが、学校帰りの息子のお友達が寄ってきて、おしゃべりで盛り上がることも多く、個人的にとても癒される大好きな時間です。ハンドルを握る私を「よこみねママかっこいいね」なんて褒めてくれることもあって、その時の息子は少し得意げでした。息子が私のことを「頼りになるかっこいいママ」と褒めてくれたことも忘れられません。こんな、思ってもみなかった素敵なコミュニケーションが生まれたことにも驚きと嬉しさを感じます。

いまでは、息子のお友達を遊びの帰りにお家まで送ることもありますが、もちろん、お家までのルートや交通状況の事前チェックとシミュレーションという大事な練習は欠かしません。

よこみねさやかさんが運転を練習する4コママンガ

車を持つという選択をしたことで私と家族の人生は大きく変化しました。大人になってからなにかを習得したり、ライフスタイルを変えたりすることは容易ではありませんが、運転に関してはあのとき「やるぞ」と決心して、頑張ってよかったと自信を持って言える決断だったように思います。

私と同じように運転への苦手意識を克服しようと頑張っている方は、決して無理をせず、「少しずつ」練習を重ねて運転を身に付けてくださいね。私もまだまだ修行中の身です。一緒に頑張って、素敵で安全なドライバーを目指しましょう。


よこみねさやかさんプロフィール画像

著者:よこみねさやか

長崎県出身。結婚、出産を経て、育児の様子をイラストとともにSNSにアップし人気に。くすっと笑える子育てエピソードをまとめた『まめ日記』や絵本『ちんちんぼうずのだいぼうけん』など、著作も多数。