気候変動対策を重要課題と位置付け、社会の脱炭素化を支援する商品・サービスの提供と気候変動への適応策の提供による社会的損失の抑制に取り組みます。また、生物多様性の保全等の自然資本の持続も気候変動と相互に関連しているため、一体的に推進していきます。
当社は気候変動への対応に加え、自然資本※1・生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスを提供することで、地球環境との共生(Planetary Health)を目指しています。以下4つの自然資本の領域ごとに「ネイチャーポジティブの実現に資する商品・サービス」の開発・提供を行っています。
- ※1自然環境を国民の生活や企業の経営基盤を支える重要な資本の一つとして捉える考え方。
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自動車保険の専用ドライブレコーダーにおける動物注意アラート機能拡大
当社の自動車保険の専用ドライブレコーダーでは、動物注意アラートを提供しており、希少動物が生息する地域に接近した場合に、注意して運転するようドライバーにお知らせしていますが、2022年6月末に対象地域・動物の拡大を行いました。これにより、より広い範囲で希少動物のロードキル※2を防止することで、生物多様性の維持を支援します。
また、2022年度から動物注意アラートを搭載する自動車保険の専用ドライブレコーダーの販売実績に応じて、新たに希少動物保護やロードキル削減に取り組む団体等に寄付を行っています。
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船舶保険「海洋汚染対応追加費用補償特約」
船舶事故による燃料油流出等によって海洋汚染が発生した場合、自然資本・生物多様性を毀損するリスクが高く、近年、事故後の保全・回復活動など企業の社会的責任に対する関心が高まっています。
海洋汚染に起因する損害賠償責任は従来の保険でも補償されますが、船舶運航者が自主的に行う自然環境への損害に対する保全・回復活動の費用は補償対象外となっていました。そのため、当社では船舶運航者による保全・回復活動を支援することを目的に、「海洋汚染対応追加費用補償特約」を開発しました。
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施設所有(管理)者賠償責任保険「汚染損害拡張補償特約」
事業活動によって汚染物質の流出につながる事故が発生した場合、自然資本や生物多様性を毀損するおそれがあり、その後の浄化活動等、汚染を発生させた企業が果たすべき責任に対して社会的関心が高まっています。
従来の賠償責任保険でも汚染に起因する一部の損害賠償責任は補償されますが、法律上の責任の有無に関わらず、自然資本や生物多様性を毀損する汚染の拡大防止や回復活動を行うための十分な補償がありませんでした。そのため、当社は自然資本・生物多様性の保全・回復を図るために企業が負担する損害賠償責任や費用を幅広く補償する「汚染損害拡張補償特約」を開発しました。
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林業者向け火災保険「フォレストキーパー」
森林は、生物多様性や水資源の保全、土砂災害の防止、レクリエーションの場の提供など極めて多面的な機能を有する自然資本です。その機能を継続的に発揮するためには適切な森林整備が必要ですが、火災等により罹災した森林の再造林費用の負担は大きく、再造林が進まないことが、林業における課題の一つとなっています。また、従来の当社森林火災保険では再造林等に要する費用は補償対象外でした。
「フォレストキーパー」ではこの費用を補償することにより再造林を促し、自然資本・生物多様性の保全・回復を支援します。
コメント
商品・サービス企画部吉野 篤史 課長
自然資本・生物多様性の保全・回復は、地球温暖化と同様に今や待ったなしの状況です。近年では、国際的な枠組みであるSDGs、ESG、TNFD等により、自然資本の保全・回復に関する事業者への社会的要請が高まっています。
事業者は業務を通じて自然資本を活用しており、かつ多大な影響を及ぼしています。自然資本の保全・回復に積極的に取り組むことは、社会課題の解決に加えて企業価値の向上にもつながり、経営戦略上重要な位置づけになっています。事業者が自然資本の保全・回復に果たす役割と意義は、これから益々高まると想定されます。
そこで当社は、自然資本等の保全・回復に関する事業者の取組みを支援するために、様々な部門が連携して自然資本・生物多様性という共通のテーマに沿った商品・サービスを提供し、地球環境との共生に向けた取組みを推進しています。