大切な人の運転を、離れていても「見守る」ことができるように

交通事故による死者数は年々、着実に減少しています。しかしながら、高齢者が占める割合は増加傾向にあり、今や交通事故による死者数の5割以上を65才以上が占めています(警察庁交通局データ)。また、重大事故を起こしかねない高速道路での逆走トラブルは、年間で約200件も発生しており、国土交通省も本格的に対策を始めています。

三井住友海上の自動車保険部では、これらの問題に対して、以前から研究を続けてきたテレマティクス技術の活用を検討していました。テレマティクス技術とは、移動している自動車を通じて、さまざまな情報やサービスをリアルタイムに提供する技術です。その社会的意義を鑑み、三井住友海上は同じMS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損保、三井ダイレクト損保、インターリスク総研などと協力し、グループの総力をあげて新たな保険商品の開発を行うことを決めました。

西川

「開発にあたり、消費者アンケートを実施しました。その結果、高齢者の方ご自身も運転に不安を感じていることや、ご高齢の親御さんと離れて暮らすご家族にとっても、『親の運転の様子がわからないため不安』といった声が多いことがわかりました。そこで、これまで研究してきたテレマティクス技術を活用し、運転する方だけでなく、そのご家族にも安心いただける保険商品を実現したいと思い、この保険の開発に臨みました。」

運転者ご本人と見守るご家族の双方に安心をお届けする『GK 見守るクルマの保険』の開発は、こうして動き始めました。しかし、最先端のテレマティクス技術を活用する保険であったことから、商品を具現化していく道のりは苦労の連続でした。

サービスに欠かせない専用車載器の開発・製造・配送

『GK 見守るクルマの保険』では、専用車載器を設置して専用アプリと接続することで、テレマティクス技術を活用したサービスが受けられます。つまり、この専用車載器がサービスの要となります。しかし、これまで保険やリスクマネジメントサービスといった目に見えない商品・サービスを扱ってきた三井住友海上にとっては、「モノ作り(ハードウェア)」そのものの開発は初めての挑戦でした。専用車載器の色や大きさ、デザイン、性能など、ハードウェア開発に関わるすべての検討が未知の領域で、「モノ作り」の難しさを痛感しました。

嶋田

「特に、製造ラインの確保、お客さまへの配送、梱包資材の選定・確保、在庫管理などの新たな仕組みを検討する必要がありました。また、こうした工程を委託するパートナー会社の選定から始めなくてはならず、すべてが手探りの状態からの開発となりました。しかし、当社にとって初めてのチャレンジも、信頼できるパートナー会社との連携を深めることで、一つひとつ新しいノウハウを獲得し、着実に課題をクリアしていきました。」

お客さまに安心をお届けするという損害保険会社の使命のもと、さまざまな課題に向き合いました。自動車保険部のメンバーだけではなく、関連部、グループ会社や業務提携をしたパートナー会社と協力し、プロジェクトメンバー全員がそれぞれの役割を最大限に発揮することによって、数々の課題を乗り越え、今回のリリースに至りました。

業界初のアラートなどさまざまな機能を開発

ハードウェアの開発同様に、ソフトウェアの開発にもさまざまな苦難がありました。特に業界初の機能である「高速道路逆走注意アラート」と「指定区域外走行アラート」の開発には、多くの試行錯誤が伴いました。

「高速道路逆走注意アラート」は、国土交通省が指定した高速道路の逆走優先対策箇所94ヵ所と、当社が独自に選定した交通量が多く逆走の危険性がある高速道路14ヵ所の合計108ヵ所を対象としています。各所の走行パターンを複数洗い出し、そこから逆走として判定できる方式を構築しました。

西川

「『高速道路逆走注意アラート』は、実際に各営業所の社員に走行してもらい、誤報が鳴らないかどうかを検証しました。そうした検証を何度も繰り返し、アラート機能の精度を高めることに注力しました。また、ご高齢の方の中には、道に迷ってしまった結果、意図せず普段は行かないような遠方へ行ってしまい、なかなか帰れず事故を起こしてしまうというケースもあります。そうしたときに『指定区域外走行アラート』が事故の抑止になると考えています。」

アラートの精度を確認するために、専用車載器の試作版を貸し出し、モニターによるトライアルテストを実施。試作版を使用したモニターからの意見を募ることで、「アラートの感知度が高すぎる」「アラートの音声が小さい」など、机上の開発段階では気付かなかった課題も見つかりましたが、よりよいアラートとなるよう改善を図りました。

このほかにも、豊富な安全運転支援アラートを用意することで、お客さまの安全運転をより一層サポートできるサービスを目指しました。また、お客さまが専用車載器を簡単に設置し操作できるよう、わかりやすいマニュアルや初期設定の説明動画も制作しています。

お客さまにさらなる安心を届けるため、今後も改良を継続していく

こうして三井住友海上が開発してきた『GK 見守るクルマの保険』はついに完成し、2018年1月に補償を開始する契約から販売をスタートしました。

左:西川 右:嶋田

運転者ご本人には、「高速道路逆走注意アラート」をはじめとしたさまざまなアラートで安全運転を支援し、運転後には、実際の運転データをレポートとして見える化します。また、万が一の事故の場合には、自動的に専用安否確認デスクに通知され、デスクから運転者に安否確認の電話連絡を行い、初期対応をサポートします。さらに、お客さまを見守るご家族には、毎月運転レポートをご提供するほか、「高速道路逆走注意アラート」や「指定区域外走行アラート」を検知した場合にはメールでお知らせする機能を持つ、運転者ご本人とそのご家族に安心を届ける商品となりました。

保険商品を取り扱う代理店の皆さまからは「こういう保険があれば良いと思っていた」、「安全運転について話し合う良い機会となった」、「家族の絆を深める良い商品だと思う」など、さまざまな意見が届いています。三井住友海上は、お客さまの声はもちろんのこと、こうした声も参考にしつつ、『GK 見守るクルマの保険』の改良や、さらにお客さまへ安心を届けられる新しい保険商品の開発を続けていきます。

西川

「今回のサービス提供を通じて、当社は膨大な走行データをお預かりします。蓄積したお客さまの運転データをもとに、さらに解析を重ねていくことで『危険な運転とはどういうものか』がより詳細に解明できると期待しています。そうすれば、急加速・急減速などに加えて、交通事故の未然防止に、より一層効果的なアラートを開発できるかもしれません。当社としては、お客さまに安心を届けるため、今後もさらに研究を続け、ノウハウを深めていくことが大事だと思っています。」

嶋田

「『保険は難しい』と感じている方は多くいらっしゃいます。お客さまに安心をお届けするためには、わかりやすい商品であることが大切です。今回の『GK 見守るクルマの保険』は商品コンセプトが明確だと考えていますが、このようにお客さまに求められる商品を、これからも提供していきたいです。」

  • 所属部署、役職、内容は取材時点のものです。

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