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吾輩のステイホームな冬物語 夏目漱石『吾輩は猫である』より |
吾輩は猫である。名前はまだない。木枯らしの吹く寒い晩、若いご婦人に拾われた。 |
ところがある時から、ご主人さまは家を出なくなった。どうやらステイホームというものらしい。出かけなくなった代わりに、毎日パソコンにかじりつき、リモート会議やら、リモート飲み会、リモート診断や、挙げ句の果てにリモート恋愛とやらまで始まった。 |
その夜、ご主人さまは失恋の腹いせにリモート飲み会で泥酔してしまう。 |
それから時が経ち、ある日ご主人さまは珍しくウキウキと外出。次の日にはご主人さまの女友達が家へと遊びに来た。そうこうするうちに、週に3日はご主人さまも出勤するようになり、少しずつ、吾輩の身辺は賑やかになってきた。 |
そんな光景を眺めながら、吾輩は一人決意したのであった。そう、潮時であった。この調子では、いつか吾輩の苦手な赤ん坊がどこからともなく現れるに違いない。そうなる前に、吾輩は潔く身を引こう。そしてまた新しい街へと旅立つのだ。 |
さて、あなたのニューノーマルはどんなかたちに? |