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低温やけど,カイロ
季節のそなえ

2021.01.07

低温やけどって見た目はなんともないけど大丈夫?対処や予防法を解説

低温やけど,カイロ
季節のそなえ

2021.01.07

低温やけどって見た目はなんともないけど大丈夫?対処や予防法を解説

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低温やけどは皮膚下でのやけどになるので、見た目はなんともなくとも思った以上に重症になってしまうこともあります。低温やけどの見た目についてや跡が残るのかについて、対処法や予防法について解説します。

低温なのにやけどする?「低温やけど」とは

44℃~50℃のものに長時間触れ続けることで起こるやけど

「低温やけど」とは、熱湯や火などに触れて起こる「高温やけど」よりも低い温度のやけどです。具体的には44℃~50℃前後のものに皮膚が直接、数分~数時間にわたって触れ続けることで起こります。就寝時など、数時間かけて発症するケースがよく見られますが、50℃に近いものだと、数分触れているだけで起こることもあります。また、皮膚が薄い方の場合は低温・短時間でもやけどを起こしやすくなるなど、個人差もあります。

皮膚の表面ではなく、奥でじわじわ進行する

44℃~50℃前後のものは、短時間触れるだけでは痛みなどを感じることはなく、寒いときにはむしろ心地よく感じられるもの。しかし、長時間触れ続けると、自覚症状のないまま皮膚の奥をじわじわと傷めていきます。
温度は低いものの、「低温やけど」は決して軽いやけどではなく、「高温やけど」と同じように重症になるにしたがって「赤みやヒリヒリが出る→水ぶくれや痛みが出る→乾燥し感覚がなくなる」といった症状が出てきます。気づかないうちに、皮膚移植が必要なほど重症化することもあるのです。

低温やけどの見た目はどうなるの?なんともない場合は?

低温やけどの初期症状は、たいてい皮膚が赤らむ程度です。
しかし、時間が経過すると症状が進行します。具体的には、2週間程度で皮膚の感覚がなくなることや、皮膚の壊死・黒ずみが生じます。

低温やけどは、皮膚の奥深くで症状が進行するやけどです。表面が軽いやけどを負っただけのように見えても、実際は皮下組織まで損傷している可能性があります。

低温やけどは跡に残るの?

低温やけどにかかわらず、やけどは皮膚が損傷を受けた深さによって以下のように分類されます。

損傷度合い 症状 治療期間
Ⅰ度 表皮より浅い 軽い痛み。皮膚に赤みが現れる。 数日
Ⅱ度(浅い) 表皮 弱い痛み。皮膚に水疱(水ぶくれ)が現れる。 1~2週間
Ⅱ度(深い) 真皮 強い痛み。皮膚に水疱(水ぶくれ)が現れる。 3~4週間
Ⅲ度 皮膚全層
皮下組織
痛みはない。皮膚が黒や白、褐色などになる。 1ヶ月以上

*参考図(表皮と真皮について)

表皮,真皮

表皮までの損傷であるⅠ度と浅いⅡ度であれば、跡は残りません。軽い色素沈着が起きる程度です。しかし、深いⅡ度以降の損傷を受けると、ほとんどの場合傷跡が残ります。

特に、最も深く損傷を受けたⅢ度まで進行していると、皮膚の切除や移植をするケースにもなりかねません。Ⅲ度のやけどは治療に長い時間がかかる上に、大きな傷跡が残ることもあります。
低温やけどは損傷に気づきづらく、たとえⅢ度まで症状が進行していても本人には分かりません。

低温やけどになったらどうしたら良いの?

流水

病院に行く

低温やけどは、自分で熱傷深度を判断できないやけどです。低温やけどを発見したら、放置せずに病院で受診してください。
放置して症状が進行すると、大掛かりな手術もしくは長期間の治療が必要になる可能性があります。また、治療が済んでも大きな傷跡が残ることもあります。

アロエや味噌を塗る民間療法もありますが、低温やけどにはほとんど効果がありません。理由は、低温やけどは皮膚の表面だけでなく、皮膚の奥深くまで損傷している可能性があるためです。

流水で冷やす

やけどを見つけたら、痛みがなくなるまで流水で冷やしてください。目安はおよそ10分~30分です。
また、患部を冷やすには常温の水道水を用いることで、凍傷になる危険性を避けることができます。加えて、もし脱衣ができない場合は服の上から冷やしてください。

水ぶくれ(水疱)はそのままに

水ぶくれは潰さずそのままにしましょう。
なぜなら、皮膚にできた水ぶくれ(水疱)を潰した跡から雑菌が入り込んでしまうと、症状が悪化する危険性があるためです。
もしも水ぶくれを潰してしまった際は、破れた皮はそのままにしてください。
また、ラップにワセリンを塗って傷口の上から巻くと、雑菌の侵入を防ぐことができます。
ガーゼで覆うことは避けましょう。ガーゼに水ぶくれの皮が張り付き、剥がす際に強く痛むためです。ラップであれば皮膚が張り付くことはありません。

低温やけどを防ぐには?

湯たんぽ

気をつけたほうがよい機器

低温やけどの原因となりやすいものとその正しい使い方を解説します。

使い捨てカイロ・ハンディウォーマー|肌に直接触れさせない

使い捨てカイロを肌に直接貼り、長時間そのままにすると、低温やけどの原因となる可能性があります。特に、足やお尻はやけどに気づきづらい箇所です。
カイロのパッケージ等に書いてあるとおり、肌には直接触れないようにしましょう。貼るタイプのカイロであれば、服の上から貼るとちょうどよい温かさになります。
また、ハンディウォーマーは布製の袋に入れて、肌に直接触れないように使用してください。

湯たんぽ・電気あんか|就寝時は使わない

寒い冬の夜を暖かく過ごすために、布団に湯たんぽや電気あんかを入れたまま就寝する方もいるでしょう。しかし、就寝中に体が湯たんぽや電気あんかの熱に触れ続けると、知らぬ間に低温やけどになる危険性があります。
寝ている間は少々の痛みでは目が覚めないことが多いです。そのため、湯たんぽや電気あんかの熱によって皮膚の奥深くまで損傷を受ける可能性もあり、非常に危険です。

たとえ体から離していても、寝返りによって湯たんぽや電気あんかに体が触れる可能性があります。また、タオルやカバーなどで包んでいても、低温やけどになる危険性があります。
湯たんぽや電気あんかは、寝る前に布団を温めるために使い、寝るときは布団から出してください。

電気毛布・ホットカーペット|タイマー機能を活用

電源の入った電気毛布やホットカーペットを体に触れさせたままうっかり寝てしまうと、低温やけどを引き起こす恐れがあります。
そこでタイマー機能をセットすることで、うっかり寝てしまっても電源が自動で切れるようにできます。タイマー機能がある電気毛布やホットカーペットであれば、タイマー機能を積極的に活用しましょう。

また、湯たんぽや電気あんかと同様に、寝ている間は使わないようにしてください。寝る前に布団を温めるだけの用途にするか、もしくはタイマー機能を使いましょう。

スマートフォン・充電器|就寝時は使わない

スマートフォンやタブレットなどの電子機器は、充電する際に熱を帯びます。したがって、充電中のスマートフォン本体や充電器が体に触れ続けると、低温やけどを引き起こす恐れがあります。

また、スマートフォンは充電中以外でも熱を帯びる可能性がある電子機器です。横になってスマートフォンを使っていると、就寝中、スマートフォンの温かい部分が皮膚の同じ位置に触れたままになりやすくなり、低温やけどになる可能性があります。そのため、体から離れた場所に置いて寝るようにしてください。

気をつけたほうがよい人

寒暖差を感じにくい体質の人や、血流の悪い人は低温やけどが重症化しやすいとされます。
特に、以下のような人は注意が必要です。

・皮膚が薄い高齢者や幼児
・体が麻痺している人
・睡眠や服薬により意識がない人
・糖尿病や神経疾患により感覚が鈍い人
・飲酒をしている人

自分や周囲の人が上記の項目に該当する際は、低温やけどを起こしていても気づかない恐れがあります。対象の方は特に機器の扱い方に気をつけてください。

低温やけどは、高温のやけどと異なり非常に気づきづらいやけどです。
しかし、軽症であるように見えても、実際は皮膚が壊死するほど重症である危険性もあります。
また、低温やけどになってしまった際は、軽視せずにすぐ病院で受診してください。

冬場の健康リスクは他にもあります。牡蠣について「牡蠣にあたったら?冬場の食中毒、ノロウイルスのリスクと対策」で、ヒートショックについて「ヒートショックとは?症状や対策、お風呂等での注意点について解説」で解説しています。

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