2018年度の活動

1.パリヤン野生動物保護林の保全

  • (1)2011年度に立ち上げた本保護林を地元関係者で管理していくフォーラムを支援するとともに関係者との議論に参加し、保護林の保全に関する意見交換を行いました。また、フォーラムと住民による定期パトロールを実施し、保護林内での耕作や伐採、植生回復等に関する情報を収集しました。ジョグジャカルタ天然資源保護事務所と森林火災を防止するためのパトロールを実施し、同事務所主催の森林保全に関する普及啓発、調査及びモニタリング等の各種活動にも協力しています。
  • 焼き畑農業をする住民の監視
  • ジョグジャカルタ天然資源保護
    事務所とパトロール(2本の倒木を発見)
  • (2)新規植林については、植生回復が進んでいない区域の中から、ジョグジャカルタ天然資源保護事務所と協議し、21haを植林サイトに選定しました。2018年度は保護林内における森林被覆率の低い、141区の5ha(3,250本)にエンリッチメント植林(自生種を植林)を実施(1月3日~5日)。また、第1期に実施した約300,000本の植林による森の維持及び管理を図るために、139区に1ha(800本)(12月5日~6日)及び137区に10ha(2,020本)(1月16日~19日)の補植を実施しました。
  • 苗木の管理
  • 植林についての指導28名が参加

2.住民協働型植林

本プロジェクトでは、住民による植林活動(住民協働型植林)を支援するため、以下の通り苗木配布や植林技術指導を実施しています。

(1)住民に対する普及啓発

地域住民に対し、住民協働型植林への理解・参加促進を目的とした普及啓発を通年で実施しています。生計向上や木材市場価格に関する情報提供とともに、保護林内では住民協働型植林の活動が禁じられていることなどの規則についても説明しています。

参加する住民への説明会

(2)苗木生産

住民協働型植林に使用する主な苗木は、昨年度同様に参加住民の需要を考慮した4樹種(ファルカタ、アカシア、グメリナ、ユーカリ)とし、中部ジャワ州クンダル県ボジャにある苗畑で生産しました。

  • ファルカタの木
  • アカシアの木
  • 住民に配布する苗木

(3)苗木配布

苗木の主な配布対象は保護林内の周辺村落及び地域住民とし、配布時の登録を一元化するため、参加者が各自ベースキャンプまで苗木を取りに来る方法を採用しました。配布時に参加者の名前、苗木の種類と数量、植栽場所(予定)を記録したところ、2018年12月~2019年2月にかけて、106世帯に対して計49,814本の苗木を配布しました。

苗木を受け取りに来る農民

(4)モニタリング

苗木配布前に参加者の私有地を確認することはせず、配布後に各サイトを訪問し植栽状況を確認しています。2017年度に配布・植栽された苗木は、一部の水分条件が悪い土地に成長不良が見られたものの、その他の多くの土地での成長はおおむね良好でした。

17年2月に植栽した木
平均樹高は4m

住民協働型植林を開始した理由

  • 早生樹の存在
    パリヤンの周辺地域においてはファルカタ等の産業用早生樹への関心が高まり、既に自主的に植林を開始している住民もいます。ファルカタ、アカシア等の早生樹は通常5年(ただし、乾燥したパリヤンでは7年の見込み)ほどで伐採でき、小規模な農地等において農作物とあわせて育林することで、住民はより安定した収入を得ることが可能となります。
  • 伐採後の販路の存在
    伐採後はジョグジャカルタやマゲラン等の近隣郡市の工場に販売し、得られた収益により再植林を行うことが可能となります。
  • 住民の保護林への依存の抑制
    住民協働型植林を支援することにより、住民の生計向上および地域の持続的な発展に貢献し、パリヤン野生動物保護林への依存度を減らすことが期待されます。

3.農業協同組合の自立化推進

  • (1)第Ⅲ期プロジェクトでは、第Ⅱ期に設立した農業協同組合はジョグジャカルタ天然資源保護事務所の管理下に置かれ、同事務所やグヌン・キドゥル県により、組合の運 営や外部資金のアクセスに関する指導を受けています。本プロジェクトでは同組合の自立を支援する段階として、組合活動のモニタリングと助言を実施しています。毎月上旬に月例会を開催しデモプロットの管理(農作物、社会林業木)について意見交換するとともに、貯蓄貸付活動による資金運用を実施しました。1月には年次総会を開催し会計報告、年次計画及び運営体制について議論しました。

月次グループミーティングの実施(25名が参加)

  • (2)現在、ベースキャンプ付近のデモプロットでは住民協働型植林のパイロット地として産業用樹種を植林していますが、組合員の農業技術及び生計向上を目的とし、間作による農業利用の継続を認め、今年度は新たな取り組みとして高値での販売が期待できるウコン栽培に着手しました。

デモプロットにおける社会植林木の管理等のミーティング

4.環境教育の実施

  • (1)2010年度までは不法伐採を防ぐため、小学生に対して森林の大切さを教えてきました。2011年度、より多くの小学生に波及させるため、対象を地元小学校の先生に変更しました。参加した先生は、関連する教科に組み入れて環境教育を行うなどの工夫をしています。
  • (2)参加した学校の校長先生からは、持続的に環境教育を実施するためには、卒業してしまう生徒より先生を対象とする方が効果的であり、年々進化させることも可能であるとの評価を得ています。

5.パリヤン野生動物保護林の多面的活用

年間を通じて政府機関、大学、地元の小学校等の来訪者を受け入れ、本プロジェクトの概要説明等を行っています。

  • 国立公園からの訪問者に対する説明
  • ガジャマダ大学とマレーシア大学の生徒への説明

6.当社のインドネシア現地法人による寄付活動

  • (1)インドネシア現地法人では本プロジェクト地周辺の小学校に、学習用具・中古パソコン等の寄付を行っています。
  • (2)2014年11月から開催した社員向けツアーでは、インドネシア現地法人が継続的に支援している地元の小学校を訪問し、小学生との交流(楽器演奏・民族舞踊による歓迎、持参した紙風船、あやとりを使った触れ合い等)を行いました。

7.現地視察ツアーの実施(2018年11月21日(水)~25日(日))

  • (1)2014年度に開始した現地視察ツアーは、今回で5回目となりました。今回のツアーは、当社グループ社員・家族18名が参加しました。
  • (2)記念植樹や植林地のトレッキングにより森林が再生している実態を肌で感じ、また、農業技術指導に参加した農民等や訪問した小学校での子どもたちとの交流を通じ、本プロジェクトが植林による森林の再生だけでなく、持続可能な地域社会の形成に大きく貢献していることを参加者全員で体感しました。
  • セミナーハウス前にて集合写真
  • 小学生に手伝ってもらい記念植樹

現在のパリヤン野生動物保護林の再生状況

  • 2005年10月の様子
  • 2020年3月の様子