共同海損の際の手続きは次のようになります。

1. 基本方針の決定

本船から連絡を受け、会社(船主)と保険会社で共同海損となるかどうか、共同海損に認められる損害、費用はいくらぐらいかについての情報、資料を集め、共同海損を宣言するかどうかを検討します。

2. 共同海損精算人を依頼

正式に共同海損を行う場合には精算のために共同海損精算人を依頼することとなります。また、必要に応じて精算に必要な事項を調査するG.A.サーベイヤーを手配することもあります。

3. 共同海損宣言状を発行

会社(船主)は船舶が仕向港に到着する前に受荷主に対し、共同海損事故の発生を通知するとともに、必要書類の提出を要求します。これが共同海損宣言状です。

通常、記載される項目は次のとおりです。

  • (a)船名および航海次数
  • (b)事故発生の日時・場所および事故概要
  • (c)事故後の本船の動静
  • (d)共同海損として処理し、ヨーク・アントワープ規則により精算することの通知
  • (e)共同海損に必要な下記書類の提出依頼
    • (イ)共同海損盟約書
    • (ロ)価格申告書
    • (ハ)仕切状写
    • (ニ)積荷保険者発行の無制限共同海損分担保証状
      (無保険の貨物については供託金の支払いを求める。このため供託金算出基準となる共同海損負担割合を通知する必要がある。)
  • (6)海損精算人住所・氏名・電話番号

共同海損の宣言状 - ①日本文の例

共同海損の宣言状

○○商事株式会社御中

MS-INS海運株式会社

弊社船平成丸座礁事故による共同海損の件

拝啓 貴社益々ご清栄の段お慶び申しあげます。
さて首題の件につきまして、事故の概要および処理方針をご通知申し上げますので、よろしくご協力くださいますようお願い申し上げます。本船MS-INS丸は鋼材約1,000MTを積載して神戸向け航海中、平成●●年●月●日備讃瀬戸において座礁し、このため船底に損傷を受け、検査の結果これ以上の航行は危険と判断されましたので、積荷は弊社船第2平成丸その他適当な代船で転送することといたしました。
この結果、積荷の揚積費用、代船運賃など当初の航海を続行完了するために相当額の共同海損費用を生ずることとなりますので、弊社は本事故を共同海損として処理することといたしました。
つきましては、上記事情ご高承のうえ、保険会社など関係先にはお手数ながら貴社からご連絡下されたく、また貴社貨物お引取りに当りましては、下記書類各一通をご提出くださるようお願い申し上げます。

  • (1)海損盟約書
  • (2)積荷価格告知書
  • (3)仕切状写
  • (4)積荷保険者の分担保証状
    なお精算地は東京とし、精算人には…海損精算事務所(住所、電話番号)

に委嘱いたしましたので、併せてご了承下されたくお願い申し上げます。

敬具

共同海損の宣言状 - ②英文の例

To whom it may concern:

July●●, ●●

Dear Sirs,

M. S. "MS-INS MARU " -GENERAL AVERAGE
Engine Trouble off Muroto Misaki on July ●●, ●●

We regret to inform you that the M.S. “MS-INS MARU” sustained damage in her main engine off Muroto Misaki on July ●●, ●●. Her officers and crew endeavored to repair her main engine but in vain. Therefore, she was towed by a salvage tug to Wakayama for repairs. She arrived there at 07:30 on the following day. Upon completion of her repair, ETA Pusan will be on or about July ●●, ●●.

Under the above circumstances, this will give rise to General Average and we have appointed …… Average Adjusters to state and settle this General Average. We should be much obliged if you would kindly submit to us the following documents prior to taking delivery of your cargo.

  • 1)General Average Bond (Lloyd's form) duly signed by consignees
  • 2)Unlimited Letter of Guarantee issued by your cargo underwriters3
  • 3)Commercial Invoice Coliy

For your reference, the adjusters' full name and address etc. are as follows:

…………Average Adjusters
(Address)
(Tel etc.)

Yours faithfully,

4. 受荷主からの必要書類取付

会社(船主)は後日、受荷主から積荷の共同海損分担額の回収を行うこととなりますので、その保証として下記の書類を積荷引渡し前に取り付ける必要があります。
もし、受荷主から提出がない場合には積荷の引渡しを拒否することとなります。

共同海損盟約書(Average Bond)

荷主から船主あてに提出される共同海損分担額支払の誓約書。

積荷価額申告書(Valuation Form)

積荷負担価額を決定するために荷主から積荷価格の申告を求める書類。

共同海損分担保証状(Letter of Guarantee)

貨物保険者からの積荷分担額を保証する保証状
無保険の積荷については供託金(Cash Deposit)の支払を求めることになります。

5. 精算に必要な書類

精算に必要な書類は共同海損精算人より別途、案内されることになりますが、ご参考までに避難港入港ケースの例をご覧ください。

  • 海難報告書
  • 航海概要日誌(本航海開始より揚荷完了まで)
  • 積荷関係書類(積荷数量、価額が記載されている書類)
  • B/Lまたは運送契約書(写)
  • 避難港、港費明細
  • 本船の修繕費関係書類
  • 本船の船員名簿
  • 船員給料明細(月分)
  • 同年間賞与明細
  • 船員保険料船主負担分(1ヵ月分)
  • 本船の厚生文化費(1ヵ月分)
  • 船員食料代1人当り1日または1ヵ月分単価
  • 本海難により支払った時間外勤務手当明細
  • 本海難のため余分に消費した燃料および飲缶水の明細
  • 同上購入価額立証書類
  • 現場出張旅費明細
  • 電信・電話料
  • 用船契約書、オフハイヤー計算書
  • その他特に支出した費用明細

6. 略式精算

共同海損犠牲損害および費用が比較的小額で、事件の内容が簡単であるときは、船主または、保険会社が利害関係人の了解を得て手続等を簡略化して精算を行うことがあり、これを略式精算といいます。
さらに、積荷分担額が小額の場合、船主は船舶分担額のみを保険会社に請求し、積荷分担額は自己負担することもあります。